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社会貢献活動

【日立ボランティアセミナー】
第49回「感動に耳を傾ける~世田谷美術館ボランティア~」

2014年7月12日(土) 10:00~12:00

  • 人づくり
  • ボランティア支援

緑豊かな砧公園の一角にある世田谷美術館。その美術館には、子どもから大人まで毎日大勢の人々が来館しています。世田谷区立の小中学校では「美術鑑賞教室」を学校行事として位置付けており、毎年約8,000人もの子どもたちが世田谷美術館を訪れています。その案内役として活躍しているのが「鑑賞リーダー」とよばれているボランティアの方たちです。
今回のセミナーでは、"美術館ボランティアの活動を知る"ことを主体として、世田谷美術館で実際に活動されている鑑賞リーダーの方たちに少しだけ展覧会を案内していただき、子どもを含む来館者に向けて行っているワークショップを実施していただきました。

左:世田谷美術館/右:「創作室」の様子

感動に耳を傾ける ~世田谷美術館ボランティア「鑑賞リーダー」~

美術館ボランティアの活動は、展示作品の解説や館内の案内、講座やワークショップの企画・運営などさまざまであり、美術館と地域・市民を結ぶ重要な役割をしています。
世田谷美術館のこうしたボランティアは「鑑賞リーダー」とよばれ、その主な活動のひとつは「美術鑑賞教室」でやってくる子どもたちの案内です。子どもたちが感じたことに耳を傾ける「聞き役」となり、また美術館でのマナーや作品の楽しみ方を伝えています。どうすれば子どもたちに美術館を好きになって楽しんでもらえるかを考えながら、他にもワークショップを企画したり、イベントの補佐なども行ったりしています。

「創作室」の様子

はじめに、学芸員の東谷氏より鑑賞リーダー発足のきっかけについて、お話いただきました。
「世田谷美術館で『鑑賞リーダー』が始まったのは1997年です。当時、世田谷美術館では毎日100人ほど訪れる小学生たちへの対応が課題となっていました。それは担任の先生ひとりが大勢の生徒を引率していたため、他に鑑賞をしている一般の来館者に迷惑をかけてしまうことや、作品破損への懸念もあり、また子どもたち自身も鑑賞の仕方がわからず美術館に何をしに来たのかよくわからないという状態でした。
一方、18歳以上の大人向けには、世田谷美術館設立(1986年)の翌年より独自に行っている『美術大学』という大変人気が高い美術講座があります。それは世田谷区民を対象に5月から12月までの約半年間開催し講義・実技・鑑賞を組み合わせた他の美術館にはない総合美術講座となっており、受講生たちは世田谷美術館に非常に愛着を持っていて、『修了後も引き続き世田谷美術館と関わっていきたい』という強い要望がありました。そこで双方のニーズをマッチングさせる形で、修了生たちに子どもたちと一緒に展覧会を鑑賞するボランティアをお願いしたことが鑑賞リーダー発足のきっかけとなりました。」

世田谷美術館 学芸員 東谷千恵子氏

はじめは40名足らずだった鑑賞リーダーの人数も年々増え、現在では450名もの方々が登録されています。これにより、ひとりの鑑賞リーダーに対し5人ほどの子どもたちを引率できる日が増え、より充実した美術鑑賞教室が行えるようになったそうです。少人数制により、子どもたちが作品をしっかり鑑賞できるようになったことで、作品の素晴らしさに気が付くようになり、美術館でのマナーも守るようになったのだそうです。鑑賞リーダーも、感性豊かな子どもたちと同じ作品を繰り返し鑑賞し、また、子どもたちひとりひとりの声に耳を傾けることによって新たに得るものがあるのだと言います。東谷氏は美術大学の講義だけでは伝えることがなかなか難しい「自分の眼と心で作品にふれる」ということも、この活動をすることによって、子どもたちだけではなくボランティア側にも伝えられるのだとお話くださいました。
鑑賞リーダーの活動にはマニュアルは一切ありません。作品の見方には正解はなく、子どもの数だけ見方があります。作品の解説をするのではなく、子どもが立ち止まるのを待ったり、子どもたちが感じたことに耳を傾けたり、「どうしたら今目の前にいる子どもたちに楽しく展覧会をみてもらえるのか」といろいろな方法を考えているそうです。その時々によって、また鑑賞リーダーによっても案内の仕方がさまざまであり、子どもたち自身に「正解がなく、自分で考えなくてはいけないこともある」ということを美術館で学んでもらえたら嬉しいと、東谷氏はお話くださいました。

案内してもらう立場を体験!

東谷氏のお話の後、参加者は2グループに分かれて、まず半数が、鑑賞リーダーに展覧会を案内してもらう立場を体験しました。限られた時間の中でしたが、ガイドなしで鑑賞しているときには気がつくことのできない視点を教えていただいたり、子どもたちの案内の仕方を教わったりなど、いろいろなことを感じることができた体験でした。

参加者からは"時間が足りなかった"という意見が多かったのですが、他に「普段来場した際には絶対見過ごしてしまうような場所等を案内してくださり、美術館での新しい楽しみ方も教わり、大変嬉しく思いました」「同じ話や作品を見ても、大人と子どもでは見方や感じ方等、全く反応が違うという話を伺い、とても興味深かったです」「ボランティアの方によって説明の仕方も感じ方も違うと思うので、他の方のガイドも聞きたかったです」などの感想が寄せられました。

100円ワークショップでオリジナルうちわ作成を体験!

半数が展覧会を見学している間、もう一方のグループは100円ワークショップで日本の伝統的な柄を使用したオリジナルうちわの作成を体験しました。このワークショップは、美術館に来場した子どもたちや一般の方にもっと美術館を楽しんでもらえるようにと、毎回鑑賞リーダーが企画・運営しています。鑑賞リーダーの方たちがワークショップの中でどのような役割をしているかを教えていただきながら、今回の展覧会『ボストン美術館 華麗なるジャポニスム展』のテーマにそったオリジナルうちわを作成しました。はじめに台紙の柄を選び、骨組みにのりで貼る作業をしました。100円は10枚のオハジキと交換になり、そのオハジキを菊や桜や鶴など、好きな柄のシールと交換します。大きさや柄によってオハジキの枚数が異なる仕組みです。あとはシールを自由にうちわに貼っていくのですが、大人も真剣に悩みながら時間をかけて楽しく作成していました。

うちわ作成の様子

参加者からは「展示会に相応しい内容であり、季節にもマッチしていて、老若男女が楽しめるすばらしい企画だと思いました。」「ワークショップで自分の手で作成するということにより、新たな発見や面白さを実感できると思います。」「人によって組み合わせが全然違ったりして、とても楽しめました。」などの感想が寄せられました。

事務局より

当日は弊社のセミナーのために、本当に多くの鑑賞リーダーの方が集まってくださり、少人数ごとに展覧会を案内していただくことができました。
社会人で休日のみ活動している方、定年後に地域貢献として活動している方など、さまざまなスタイルで長年鑑賞リーダーを続けている方が大勢いらっしゃいました。とてもやりがいを感じて活動をしているそうです。中には鑑賞リーダーを始めたことにより、人生のキャリアが変わったという方もいらっしゃいました。
地域の小中学生を全員招待している美術館は、全国でもわずか数館です。世田谷美術館に来館する子どもたちは一日平均100人に上るため、まだまだ鑑賞リーダーの数は足りないとのことです。
子どもたちが美術に触れる機会のお手伝いに、鑑賞リーダーをはじめてみてはいかがでしょうか?興味がある方は、世田谷美術館のWEBサイトをご覧いただき、ぜひ登録してみてください。

世田谷美術館 鑑賞リーダーの皆さま

連絡先

世田谷美術館WEBサイト
世田谷美術館WEBサイト 美術館ボランティアについて
東京ボランティア・市民活動センター

事業所・グループ会社 日立製作所
講師 公益財団法人せたがや文化財団 世田谷美術館学芸員 東谷千恵子氏、他ボランティアの皆さま
進行 東京ボランティア・市民活動センター 若林明子 氏
場所 公益財団法人せたがや文化財団 世田谷美術館
参加者 日立グループ従業員とそのご家族総勢31名
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