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社会貢献活動

社会貢献イブニング講座:第21回
「チャリティ上映第2弾『ガレキとラジオ』〜東日本大震災を見つめなおして〜」

2014年3月4日

  • 人づくり
  • 地域貢献
  • ボランティア支援

東日本大震災発生から3年がたちました。
この3年という年月と、耳にする“復興”という言葉から、被災した方々が生活に落ち着きを取り戻してくれたかのように感じてしまいがちです。しかし、今もなお多くの方が、故郷を離れ避難したり、仮設住宅で不自由な生活を強いられているなど、被害をうけた地域に暮らす方々は思うように進まない復興の現状や心の傷に苦しんでいます。
3月11日を前に東日本大震災を見つめなおし、企業として、個人としてどう向き合い、復興のために何ができるのかをもう一度考えるため、映画『ガレキとラジオ』をチャリティ上映しました。上映後には、震災以降、南三陸町で復興支援活動を行う特定非営利活動法人 故郷まちづくりナイン・タウンの事務局長 伊藤氏より震災当初の被災地域や住民の様子や復興を進めるなかで生じる課題などについてご講演いただきました。

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会場の様子

映画「ガレキとラジオ」

舞台となるのは東日本大震災で甚大な被害をうけ、60パーセント以上の世帯が被災し、8,000人以上が避難生活を送る宮城県南三陸町。仕事や家、それぞれに大切な何かを失ってしまった男女9人はラジオ制作・放送の経験もなく、被災した人たちを笑顔にしたいという思いで南三陸災害エフエム「FMみなさん」の仕事を通じて震災の爪あとが残る町に明るい情報を届けていきます。不慣れゆえに生放送で失敗してしまったりすることもありますが、住民とともに明日へ明日へと進んでいく日々を追った2012年製作の復興支援映画です。

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映画「ガレキとラジオ」

地域の明日を創る ~故郷まちづくりナイン・タウン 伊藤寿郎 氏~

特定非営利活動法人 故郷まちづくりナイン・タウンは、2010年3月より宮城県南三陸町から40キロメートルほど内陸部に位置する登米市にて少子高齢化、人口減少などの課題に取り組むべく、企業・行政とともに地域住民主体の“協働のまちづくり”を実践するために組織されました。そして、東日本大震災以降は南三陸町で物資の供給や炊き出しなどの緊急支援をはじめ、地域情報誌『桜通信』の発行と配布、農産加工場の開設、南三陸の産物やそれらを使用した味噌や弁当、お菓子などの製造販売を行う『南三陸直売所 みなさん館』の設置・運営サポートなど被災された方々の生活再建とまちづくりに取り組まれています。

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故郷まちづくりナイン・タウン 事務局長 伊藤寿郎 氏

はじめに日立グループにおける取り組みとして2013年9月に実施した「東北復興支援スタディツアー」について日立製作所 CSR・環境戦略本部 CSR推進部 部長代理 松島より紹介しました。映画を上映した後、故郷まちづくりナイン・タウン事務局長 伊藤寿郎氏より震災発生時や支援などについてお話いただきました。

初めに 映画「ガレキとラジオ」出演者・FMみなさん スタッフ平形さんからのコメント

伊藤氏は平形さんとフェイスブック友だちで、このご講演にあたり事前に平形さんからコメントをいただいてくださいました。

平形さん:

被災者自身はもう自分から助けてって言えない時期にきています。まだまだ復興にはほど遠いのに3年もたって世の中が通常モードに戻ると、「いつまでも被災地、被災地って甘えてるように思われるんじゃないか」と日本人独特の遠慮がうまれます。そんな人たちのためにもこの映画があるんだと思っています。「私たちはここにいる、そして生きている」ことを伝えるために日本中、世界中の方々からのご支援に心から感謝し、またこれからもご支援・ご協力をお願いしたいと思っております。

震災発生後の緊急支援について

東日本大震災が発生してから停電・断水・電話不通などが続く3月16日、故郷まちづくりナイン・タウンの事務局長 伊藤氏のもとへ大阪の公益社団法人 アジア協会アジア友の会から「南三陸町に支援に入りたいので、受け入れと道案内を頼みたい」、「特に支援の届かない地域に入りたい」との連絡をきっかけに緊急支援が始まりました。

初めて現地に入ったときはあまりの被害の大きさに衝撃を受けました。また、そのときの緊急支援先は電話もつながらず、自由に使える車もなく、情報の収集・伝達が困難な状況でした。約束より1時間早く到着した伊藤氏らは地域の代表者に「約束を守ってほしい。早く来られても対応できない」と注意されるほど逼迫した状況だったそうです。その後、3月19日から5月半ばまで炊き出しを1日あたり600食(合計24,400食)と周辺の住民への食事のデリバリーなどを地元ボランティアの調整をしながら行いました。

また、物資供給は大阪など被災地域外から調達をしていたが、一日も早い地元商店の復興のために、店主たちと連絡をとり、支援物資や仮設住宅入居にあたっての必要な物資一式を買い付ける仕組みをつくられたそうです。

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ご講演される伊藤氏

緊急支援や物資供給は5月連休後に終了し、伊藤氏らは活動の終了を考えましたが、震災直後に現地を見たときの衝撃、生き残った方々に接するなかで元気に生きてほしいと強く願う気持ち、行政・警察・消防などが思うように動けない状況下でNPOのような身軽に動ける団体の必要性、そして、アジア協会アジア友の会スタッフの助けたいという強い志に打たれ、支援継続を決心されたそうです。伊藤氏は「人を助けられるのは人の力である」と感じ、自分にできることがあれば今、精一杯やろうと心に決めたと話されていました。

公益社団法人アジア協会アジア友の会 WEBサイト

緊急支援から長期的な復興支援の段階へ

緊急支援としての物資供給が続き、自分たちは物資を“与える側”、被災した方々は“与えられる側”という状況が定着してしまってはいけいないと、被災された方それぞれの自立に向けた生活再建のための経済活動、生産活動に向けて動き出しました。

1. 復興支援のための地域情報紙『桜通信』を発行

南三陸町の被災地域では情報が足りないし、行き届いていないことを痛感し、5月7日から復興支援の情報や地域の人たちの様子などを中心とした『桜通信』の発行を開始しました。
(月2回/各1,000部/2014年3月4日現在)

2. おふくろの味復活と雇用の創出 農産物加工場「石泉ふれあい味噌工場」

南三陸町や登米市周辺ではそれぞれの自宅で味噌を作る食文化があったが、津波で味噌樽は流されてしまったため、地元の人たちが慣れ親しんだ手作りの味噌を作るために味噌プロジェクトを実施。そのときの参加者のうち地元の女性6名が中心になって認定NPO法人ジャパンプラットフォームからの助成金で2012年4月に工房を建設し、商品開発や運営管理などを行い、2013年1月~6月には29トンを生産することができました。

特定非営利活動法人 ジャパン・プラットフォーム WEBサイト
当社は人道支援に取り組むジャパン・プラットフォームへ2007年より継続的に支援を行っています。

3. 地場産業の活性化 『南三陸直売所 みなさん館』

地元経済と産業の活性化を目指すため、味噌工房で作られた商品や地元の人たちが特産品を売る場所として「南三陸直売所 みなさん館」を設置しました。直売所建設当初はすぐ揃うものをカタログで販売して、運転資金を確保しました。現在では、地域の主婦の方や漁師さんが作る加工品や、地元でとれた野菜や海産物が並び、それらを使ったお弁当を買って食べる休憩コーナーもあり、その他名産の加工菓子なども充実し、観光・地域のコミュニティの役割も担っています。

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「南三陸直売所 みなさん館」で販売されている味噌やお菓子(本講座の販売会にて)

新たな課題

被災地は3年の間ずっと重い課題と向き合いながらも、次から次へと新たな課題がうまれています。これらはすべて容易に解決できるものではなく、長期にわたって被災住民はその一つひとつに立ち向かっていかなくてはなりません。

1. 被災地域に存在するギャップ

<支援: 助成金、仕事、高台移転、時間など>
行政からの支援を受けるためには書類の作成が必要であり、若い人は比較的対応できるが、高齢者には慣れない作業への対応が難しいケースがあり、行政や各種団体の支援などにおいて締め切りがあるものは対応できる人とそうでない人が出てしまうそうです。

<所得: 賃金、職場、農地、働き方など>
被災住民の間で賃金格差が生じています。復興関連事業における雇用は短期的ではあるが賃金が高いため、賃金の差が埋められず、地元で事業を再建しても人材を確保することが難しい状況にあります。

<地域間: 沿岸部と内陸部、移住地など>
津波の被害が深刻な沿岸と、被害が比較的少ない内陸では行政からの補助金や政策の違いがあり、大きな格差を生んでいます。

2. “復興に向けた”ことについてまわる負担

<まちづくり: 住まい、子育て、コミュニティづくりなど>
高台移転などで土地勘がない移転先での新たなコミュニティづくりや、申請などの締め切りで決断を急がれるなどの課題や問題が被災者たちを苦しめています。

<仕事: 農地、作業場、船、加工場など>
仕事の環境を一人で復旧するのは難しいため、これまでのように地域の人たちと共同で進めていく方がよいのだが、場所や人によって受けられる支援のギャップが出てしまい足並みがそろいにくいのが現状です。

<家族: 住宅、進学、就職、結婚、お付き合いなど>
南三陸など沿岸沿いでは独特の“契約会”という組織があり、共同で財産をもち、そこで作業・収穫して収益を得ていました。しかし、震災以降、移転や仕事のギャップなどでそれが崩壊しつつあります。

3. 不慣れな事務処理負担によるストレス

  • 補助金、助成金の申請書類作成。
  • 申請書類に添付する提出資料作成。記録保存。
  • WEBやPC操作に対する理解不足など。

⇒これらは対応できる人が限られており、できる人たちへ負担がのしかかってしまっている。

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会場の様子

新たな課題解決のためにできること

1. すぐにできること

  • 話を聞く・情報を仕入れる
    ※地元の人それぞれの時間軸に合わせて接する。
    支援という強い後押しで被災された方々を押し倒してしまわないようにしましょう。
  • ツアーなどで現場に行ってみる
  • 自分のできることリストをつくる

2. 時間をかけてすること

  • つながりづくり
  • 自分が持っている能力を伝え
  • コミュニケーションを育てる

3. これからの息の長い支援のために必要とされること

  • “被災地”ということでひとまとめにしない
    そこにはたくさんの家族や企業があり、それぞれに状況が異なるので多様な窓口をもつようにすると同時に、地域か抱える課題を理解するよう心がけましょう。
  • 現地キーマンが疲れないような支え
    現地で活発に動いている人のところに人が集まりすぎてしまい、思うように動けないようにしてしまったり、自分の活動のために動かし過ぎて疲れさせてしまったりしてしまわないように注意しましょう。
  • 共に育つ
  • 活動の効果を急いて求めず、継続的に関わる
  • 外の力を活かす  など

“地域課題を理解している”、“外とつなぐ力を持っている”、“ビジネススキルを持っている”、“継続して関わる”などの、人と人とをつなぐ『通訳』が求められており、これらの力を強化することにより地域の方の安心感が強まると考えています。今後も『通訳』を担う人たちを育成していくとともにさまざまな協力を得て私たちも育っていきたいと、伊藤氏は最後にお話くださいました。

事務局より

参加費としていただいたひとり500円とし、事務局も合わせて日立グループ従業員68名分 34,000円と募金1,724円を故郷まちづくりナイン・タウンへ寄付し、復興支援活動に役立てていただきます。
講座が始まる前と終了後に、『南三陸直売所 みなさん館』の商品販売会も行い、大盛況のもと完売しました。販売には同団体が東日本大震災で緊急支援をするきっかけとなった公益社団法人アジア協会アジア友の会の松井氏が応援に来てくださいました。
また、会場内には継続的で日立らしい復興支援のあり方を考えるきっかけづくりを目的に、2013年9月、日立グループ従業員を対象に参加者を募り実施した「第1回 東北復興支援スタディーツアー」の写真展も同時開催しました。準備にあたっては、同ツアー参加者にはボランティアとして協力いただきました。

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左:宮城県の産地商品販売の様子 右:寄付金の進呈

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「東北復興支援スタディーツアー」写真展の様子

連絡先

特定非営利活動法人 故郷まちづくりナイン・タウン
〒987-0601
宮城県登米市中田町石森字小人町71-2 TEL:0220-44-4301
故郷まちづくりナイン・タウン

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事業所・グループ会社 日立製作所
場所 日立製作所 秋葉原ダイビル 18階大会議室
講師 事務局長 伊藤 寿郎 氏
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