「2012中期経営計画」の目標達成を阻害するさまざまな要因(リスク)を、国内外のグループ全体で網羅的に洗い出し、あらかじめ対策を立てることによって、リスクの発生頻度や影響の低減を図っていきます。
2011年3月11日、東北地方太平洋沖地震が発生しました。日立では、地震発生直後に「日立グループ大規模地震対策統括本部」を設置し、国内の日立グループ全社員およびその家族の安否確認を行うとともに、各拠点の被災状況の把握に努めました。茨城県や福島県の拠点を中心に広い範囲で被害があり、その実態を踏まえて、対策統括本部の機能を拡充し、3月23日に「日立グループ震災復興統括本部(本部長:日立製作所執行役社長 中西宏明)を発足させました。日立グループの司令塔として被災情報の一元化を図るとともに支援要請を集約し、支援・復旧効率を最大化し、グループ一丸となって被災地の復興に向けた取り組みを推進しています。
日立では、内部監査により、各担当部門が業務運営上のリスクを管理しています。また昨今の複雑化するグローバルなリスクに対応するため、グループ全体でリスクマネジメント体制の強化に取り組んでいます。2009年度には、本社コーポレート部門と海外地域本社(米州、欧州、アジア、中国)を対象にリスク調査を行いましたが、2010年度は調査範囲を全カンパニー、グループ会社、研究所に広げ、自然災害リスクや市場環境、原材料価格などの事業リスクといった従来型のリスクに加え、環境リスク、風評リスク、ダイバーシティやサプライチェーンにおける労働条件の不備など人権にかかわる新たなリスク、グループ全体の信用やビジネスの持続可能性に影響を及ぼすと思われるリスクに関する情報を集約しました。
今後は、リスク評価基準を精査するとともに、集約したリスク情報のより詳しい分析・評価を行い、経営レベルでその対策を審議する、包括的なリスクマネジメント体制を強化していきます。同時に、社員一人ひとりのリスクに対する意識を向上させるため、リスク情報の共有化や社員教育などの施策を推進していきます。

社会インフラに深くかかわる日立グループでは、リスクの発生に備えて、事業の中断が社会に甚大な影響を及ぼすことのないよう事業継続計画(BCP)の拡充に取り組んでいます。具体的には、2006年12月より、「日立グループBCP策定のためのガイドライン」を策定し、大規模災害などのリスクに備えています。2010年度は、本ガイドラインを英語と中国語に翻訳し、国内外のグループ各社に提供しました。日立グループの各社・各事業所は、このガイドラインに基づき、それぞれの事業に応じたBCPを作成し、有事に備えています。
[画像]日立グループBCP策定のためのガイドライン(中国語版)

世界的な流行(パンデミック*)が懸念されていた新型インフルエンザに備えるため、日立製作所は2008年度に執行役社長を最高責任者とする専門組織(リスク対策本部)を設置し、パンデミック発生の際は、本部が中心となって、日立グループの社員と家族の安全を確保するとともに、日立グループが提供する医療、治安、ライフラインなど、社会機能の維持に不可欠な事業が中断しないように対策を講じる体制を整えています。2009年には、その一環として「新型インフルエンザ対策ガイドライン」を策定し、2010年度には英語と中国語に翻訳して、日立グループ各社に提供しました。
[画像]新型インフルエンザ 対策ガイドライン(英語版)
日立製作所では、大規模災害に備えて図上訓練を1998年度から毎年実施し、これまでに全国18事業所で訓練を終えています。これは、半年かけて開発した被災シナリオをもとに、シナリオを全く知らされていないプレーヤーチームがさまざまな危機状況を適宜判断し、対応するロールプレイの訓練で、大規模災害に対する防災計画の有効性を検証し、改善することを目的としています。図上訓練を実施した事業所は、リスク対策担当責任者が約200人参加するリスク対策全体会議で、その体験と成果を報告します。こうして、日立グループ全体で図上訓練の成果を共有しながら、大規模災害に対する防災計画の改善に努めています。また、衛星通信システムを活用した月例訓練も実施しています。
1997年度以来、日立グループの全社員を対象に、イントラネットにリスク対策ページを掲載しています。ここには、通信社や外務省の情報、日立グループの社員が経験したトラブルなどを掲載する一方、有事の際は、トップの方針に基づく対策や注意喚起、被害状況などを発信しています。毎日80件程度の最新情報を入力、更新しており、H1N1新型インフルエンザが世界的に大流行した際のアクセス数は100万件、平常時でも平均40万件/月に達するなど、日立グループのリスク対策活動上、不可欠な役割を果たしています。東北地方太平洋沖地震についても、トップの方針や日立グループ全体の被災状況を逐次発信しています。

イントラネット内リスク対策ページ