日立は知財活動において、「事業貢献の最大化」を使命としています。知財活動による事業への貢献は、事業ごとに異なりますが、大きく分けて「差別化・牽制」「事業自由度確保」「特許料収入」の3つがあると考えています。「グローバル」「融合」「環境」にフォーカスする経営戦略に即して、知財戦略を推進していきます。
知財活動のグローバル化を推進するためには、海外特許出願数を増やすことが重要です。今後も他社ベンチマークを強化し、さらにポジションを強める活動を推進していきます。
海外特許出願については、2012年度の海外売上高比率目標50%超を前提に、2012年度の海外特許出願比率を55%にすることを目標としています。2010年度の実績は51%でした。
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海外特許出願比率の推移

出願の内訳

日立グループの成長戦略の主要ターゲットは中国・アジアなどの新興国であり、これらの地域での特許出願数を増やしていきます。
日立グループによる過去5年間の中国での特許累計件数は、社会イノベーション事業の主要な競合他社と比較して遜色ない水準を保っています。新興国への出願は、国際特許出願を活用していきます。
日立の知財活動では、「グローバル」「融合」「環境」にフォーカスした経営戦略を知財面からサポートするため、この3分野に対応するテーマを設定して特許網の構築を推進しています。
知財活動の注力テーマ例
| 分野 | 注力テーマ |
|---|---|
| グローバル | ストレージシステム スマートグリッド |
| 融合 | 社会インフラ向け情報基盤 |
| 環境 | 新パワーデバイス インバーター リチウムイオン電池 グリーンモビリティ |
日立グループは、グループ全体の人財、ノウハウ、情報等を活用して、日立の強みとする事業領域を拡大するため標準化をめざして活動しています。例えば、環境配慮型データセンターでは、IT・空調連携制御の機器間インターフェースの標準化に取り組み、規格の大枠を取りまとめています。また、IEC*副会長職、議長職等を務めるなど、国際標準化活動においても重要な役割を担っています。
知財活動はその成果が具体的に事業に反映しないかぎり意味をもちません。「差別化・牽制」「事業自由度確保」「特許料収入」の3つを知財活動の成果としています。
まず、市場ニーズ、技術的潮流などから見て日立の「強み」である技術を中心とした特許網を構築します。これにより他社が日立の技術を採用することを牽制し、日立の製品・サービスについて他社との差別化を図ります。また、競合他社に対抗しうる特許網を構築し、相手方とクロスライセンス関係を結ぶことで、当社が制約なく事業を展開できるようにします。さらに、特許権を他社にライセンスを供与して、特許料を受け取り、その特許料を次の研究開発等に投資します。
この3つを常に意識しながら、発明の発掘、出願、権利化とその活用を通じ、事業に貢献する活動を行っています。
日立は、「他社の知的財産権を尊重」するとともに、他社に対しては「当社の知的財産権の尊重」を求めています。他社の知的財産権については、他社が保有する特許の事前調査を行うことを社内の規則に明記し、特許権を侵害しない製品づくりに努めています。また、他社の知的財産権を使用する場合は、ライセンスを取得して使用しています。自社の知的財産権については、有償による開放を原則としており、使用を希望する企業があれば、原則としてライセンスを供与しています。当社の知的財産権を侵害する企業があれば、交渉を通じてライセンスの取得を促し、必要に応じて法的手段に訴えています。
日立は、充実した発明報奨制度により研究・開発の第一線で働く社員の発明意欲の向上を図っています。改正特許法35条が施行された2005年に報奨金の透明性を高めるとともに、発明者の納得性を高めるため「発明報奨制度」を改訂し、適切に運用しています。発明者に対する報奨には、出願段階で行う出願報奨、登録段階で行う登録報奨、社内における特許技術の使用や特許料収入につながった段階で行う実績報奨があります。特に実績報奨の金額については、上限を設定していません。
日立は、強力に知財活動を推進するために高度なプロフェッショナルスキルを有し、かつグローバル化に対応できる人財の育成に努めています。知的財産権本部は、100人の弁理士、7人の米国・英国の弁護士(2011年4月1日現在)を擁し、さらに海外実務研修制度として、毎年4〜6人を米国、欧州の特許法律事務所に派遣しています。海外実務研修経験者数は累計60人に達しています。