社会イノベーション事業や環境事業をグローバルに拡大するためには、海外での日立グループの認知度やレピュテーションを高め、社会イノベーション企業としての日立ブランドを確立することが不可欠です。日立グループでは、さまざまな施策によるステークホルダーとのグローバルなコミュニケーションを通じて、日立を正しく理解してもらうとともに、日立ブランドの価値を高め、その毀損を最小限に抑えています。
グローバルにビジネスを展開していくためには、日立グループのビジョンやブランドプロミス(日立が約束する価値)をステークホルダーに正しく伝えていく必要があります。特に海外では、これまで家電メーカーとしてブランドが認知される傾向がありましたが、社会イノベーション企業としての日立ブランドを確立するには、宣伝、広報、CSR活動などを通じての社外とのコミュニケーション、ブランドプロミスに基づく社員の意識向上・行動促進施策等に積極的に取り組むことが必要不可欠です。グループ一体となり、これら各種活動の効果を検証しながら、日立ブランドの価値向上に努めていきます。

北米向け企業広告キャンペーン
日立ブランドのビジョンを体現したコーポレート・ステートメント「Inspire the Next」を、各地域の特性に応じて、ステークホルダーにわかりやすく伝えるため、北米、欧州、アジア、中国の4拠点に、企業コミュニケーションの実行部門を設け、実行業務の現地化を推進しています。一方、地域によって、市場特性や事業活動の内容が異なってきます。そこで、市場ごとに異なる有効なコミュニケーション手段と、核となる事業・ソリューションとを組み合わせ、さらには社会イノベーション企業として環境課題に取り組む日立という一貫したメッセージを効果的に発信しています。
具体的には、中国やインドの新興国においては、マスメディアによる広告が有効なブランド訴求手段として機能していると考え、テレビコマーシャルや新聞広告、Webサイト等による企業宣伝キャンペーンに注力しており、こうした活動を通じて、日立ブランドの認知度・イメージが向上してきています。一方、先進国では、口コミやWebサイトによる訴求手段が有効と考え、インターネットメディアを活用したコミュニケーション活動を展開しています。
また、海外で開催されるエコプロダクツ展などの環境をテーマとした展示会・イベントなどにも積極的に参加し、日立グループの環境課題への取り組みを積極的にアピールしています。
日立では、世界的なインターネットの普及を背景に、有力な情報発信基盤として国・地域のポータルサイト*を拡充し、グループで一貫したブランドメッセージを発信するとともに、各地域のニーズに対応して検索性を高めたり、各地域で注力している事業を中心にコンテンツを制作しています。特に近年は、主要マーケットとして位置づけている新興国でのWebサイトの基盤整備を進めています。
2011年3月末時点で、47カ国・地域、58サイト、27言語に対応しており、共通のデザインフォーマットを活用、ブランドイメージの統一を図っています。
ステークホルダーとの直接の接点となる日立グループの社員は、ブランド形成に最も大きな役割を果たしています。日立ブランドのブランドプラットフォーム(ビジョン、ミッション、バリュー)を社員が心から理解し、自身の仕事でそれを実現していくため、日立グループのブランドプロミスやブランド意識の浸透を図るとともに、望ましい行動を奨励する社内活動をグローバルに推進しています。

ブランド教育用コンテンツ「Growing Brand」
2010年度は、国内外で12回の各種ブランド研修を実施し、1,103人が受講しました。また、ブランド表彰制度「Inspiration of the Year」等を通じて、日立のブランド価値向上に寄与したロールモデルとなる活動を表彰し、ブランド意識の向上を図っています。同表彰制度には、2010年度は382件の応募があり、「英国鉄道事業を通じた日立ブランドの価値向上」に「The Special Top Prize賞」を授与したほか、創業100周年を記念して、例年より授賞件数を増やし、約50件に「グランプリ」「革新・信頼賞」「Eco-Spirit賞」などを授与しました。
ブランド戦略に基づくコミュニケーション活動の効果を検証するために、施策ごとにアンケート調査やインターネットを使った調査を実施し、各施策に対するお客様や対象ステークホルダーの反応・評価を集約し、施策の改善に生かすように努めています。また、年に1回、定点観測として、グローバルワイドで日立のブランド力を測るためのブランドイメージ調査を実施し、ブランド施策全体の効果分析、報告を行っています。
施策評価、ブランドイメージ調査にあたっては、日立のブランドプラットフォームに基づいた評価指標を設定し、ブランド施策のモニタリングに生かしています。
日立グループでは、日立ブランドをグローバルに共有しています。このことは、革新と信頼のブランドとしてグループシナジーを発揮する一方、事故の場合や風評が発生した場合にはグローバルなリスクになります。日立では、こうしたレピュテーション・リスクに対応すべく、海外地域本社にコミュニケーション部門を設け、各国のメディア、政府関係機関、さらには人権や環境問題に高い関心をもつNGOやオピニオンリーダーとの定期的な対話を通じて日立の取り組みを広く認識してもらうとともに、経営と世論との間に生じる認識の齟齬を改善するよう努めています。また、万が一、事故や風評が発生した場合は、本社と海外地域本社とが連携して問題の解決にあたると同時に、他地域、他事業における類似事案についても調査し、影響の拡大と再発の防止に努めています。
日立ブランドは、日立グループの経営理念や社会的使命、あるいは具体的企業行動などを、すべてのステークホルダーに的確に伝えるための重要な約束であり、その目的を達成するためには、日立ブランドを一貫した理念に基づいて、統一的かつ継続的に伝えることが必要だと考えています。
日立グループでは、グローバルに一つの顔(One Hitachi)を発信・展開するために、日立ロゴや日立マークなどの見え方や使い方を統一しています。日立ロゴの使用方法をマニュアル化するとともに、独自に開発したデザインシステムを各媒体に導入するなど、日立ブランドの視覚表現を統一する活動を推進しています。

コーポレート・ステートメント ロゴ
日立ブランドの法的保護活動として、家電製品や各種部品等の模倣品を排除する対策を、そうしたリスクの高い中国、アジア、中近東、アフリカ等で積極的に講じています。特にブランド毀損が多発している国・地域では、現地法人と協力し、模倣品防止のための対応を強化していきます。