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企業情報CSRへの取り組み

水処理事業における貢献

世界に広がる水問題

21世紀は「水の世紀」といわれていますが、水不足の進行は地球温暖化の影響でさらに加速しています。世界人口約65億(2006年現在)のうち約11億の人びとが安全な飲用水を入手できない状況です。また約24億の人びとが衛生設備(下廃水・し尿処理)のない生活を強いられています。衛生設備の普及が遅れている地域では、深刻な水環境汚染問題も抱えており、水処理技術が地球環境保全に果たす役割はきわめて大きいといえます。

2025年に予測される世界の水ストレス
[グラフ]

「水ストレス」とは、再生可能な水資源量に対して人間が取水する水量の比率で、この値が40%を超える場合、「水ストレスが高い」と言われます。2025年までに、40億人が高い水ストレスに直面すると予想されています。
出典:国連環境計画「絵で見る世界の水環境問題(Vital Water Graphics)」

適切な衛生施設を利用する人の比率(2004)
[グラフ]

出典:ユニセフ「世界子供白書2008」保健指標

日立グループの水処理技術

日立グループは生活の基盤となる安全・安心な水を供給するため、上下水、産業廃水、船舶に搭載するバラスト水などを対象に水処理システム、水処理機器の技術を結集して地球環境の保全に貢献しています。

日立の主な水処理技術
下水処理
産業廃水処理
微生物の力で効率的に下水・産業廃水中の窒素を除去する技術
下水再生利用
工場用水循環利用
膜処理と生物処理を組み合わせた水処理技術
船舶バラスト水浄化 海域の生態系破壊を防止する殺菌剤を用いない「凝集」と「磁気分離」技術を組み合わせた水処理技術

水ストレス、安全な水の確保に向けて

[画像]東京大学生産技術研究所 教授  沖 大幹氏

東京大学生産技術研究所 教授
沖 大幹氏

人口増加や経済発展、都市への集中や気候変動などに伴って世界の水需給はますます逼迫しつつあります。それは乾燥地域で水が足りないから、というよりも、安全な水を安定して供給するのに必要な社会基盤が整備されていないからです。水をできるだけ汚さないように上手に使う智恵や健全な水循環を維持する社会的な仕組みの伝承、水処理技術の移転や資金の提供など、世界の水問題解決へ向けて日立グループを含め、企業が貢献できることはたくさんあります。保健衛生や食料生産だけではなくエネルギー、運輸、さらには教育にも結びつく水分野に対する支援は、開発途上国の持続的な経済発展を支え、世界の安定化をもたらすなど、日本の国益にも大いに資することが期待されます。

安全・安心な水を創生する技術

水環境の汚染解決に向けて

都市化が進む中国では、景勝地として知られる長江下流域の湖、太湖に毎年夏になるとアオコが大量発生し、この湖を取水源とする沿岸地域の水道に強い異臭が生じるなど、水環境の汚染が深刻化しています。これは、生活排水や各種産業廃水の窒素などが河川・湖沼に流れ込むことで富栄養化が進んでいるためと考えられます。
この問題の解決に向けて、日立は独自の技術である「包括固定化担体」を用いた窒素除去システムを展開しようとしています。

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微生物を高濃度で保持している
包括固定化担体(ゲル)

もっとも一般的な下水処理法である活性汚泥法は、下水を流し込んだ槽(生物反応槽)に空気を吹き込むことで微生物の働きで水を浄化します。ただしこの方法は、有機物の分解には効果がありますが、窒素などを十分に除去できません。包括固定化担体とは、窒素の除去に効果がある有用微生物を一辺3mmの高分子含水ゲル中に取り込んだもので、これを生物反応槽に投入することで、窒素除去率を飛躍的に高めることができます。この技術を生かした窒素除去システム「ペガサス」(日本下水道事業団と共同開発)は、すでに国内の下水処理場や民間産業廃水分野で大きな実績をあげています。

能力を実証するための共同研究

新技術を中国で展開するには、実際の廃水を用いてその能力を実証し、それを下水処理場の設備仕様を定める政府および有力設計院に納得してもらうプロセスが不可欠です。日立は、中国の複数の大学との包括固定化担体を使った共同研究を通じて、その効果を検証しています。
上海交通大学との共同研究では、高濃度アンモニア含有廃水への効果を実証するため、広東省の酒造メーカー内にパイロット実験装置を設置して処理試験を行い、良好な結果を得たほか、太湖周辺都市の下水処理場で実地検証を行いました。南京大学とは、学内で包括固定化担体の性能評価を行うとともに、下水処理場で実証実験を行いました。

水資源を繰り返し使うために

日立は、水不足が深刻化する地域における水循環・再生利用を可能にするシステムも開発しています。膜分離活性汚泥処理システム「ペルセウス」です。これは生物反応槽内に浸した膜で活性汚泥をろ過することで、再利用に適した処理水が得られるという特徴を備えています。

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ドバイ市内レイバーキャンプ向け
「ペルセウス」設備。約1,500人の
生活排水を処理している

ペルセウスは、大規模な都市開発で注目されるドバイ(アラブ首長国連邦)において2007年に稼働を開始するなど、すでに実用化が進んでいます。2008年9月には、現地資本と合弁で新会社を設立し、市内の生活排水をタンクローリーで収集し、ペルセウスで高度処理を行った後、産業用水、トイレ洗浄水、灌漑・緑化用水として販売するビジネスも開始しました。
しかし、水不足が深刻化する地域は開発途上国に多いという現実もあり、水再利用技術の普及には、より一層の低コスト化が求められているのも事実です。日立はそのため独自技術をもつ海外大学との共同研究を積極的に推進しています。排水を飲料水として再利用する「NEWater計画」を掲げるシンガポールでは、南洋工科大学と共同研究を開始し、同大学がもつ先端技術を生かした低動力型システムの開発に取り組んでいるほか、四川大学(中国)とは、同大学がもつ高分子材料技術や紡糸技術と日立の膜処理技術を融合させた、低コスト型中空糸膜の製品化のため共同研究を進めています。

(2009年7月掲載)

環境への取り組み(日立グループの環境への取り組みサイトへ)

環境に配慮した製品、オフィスや工場でのエコ事例、社員の活動など、環境と調和したモノづくりをめざす日立の取り組みを紹介します。