ページの本文へ

Hitachi

企業情報CSRへの取り組み

電気をつくる

バブコック日立(株)呉事業所安芸津工場(広島県)の燃焼・排煙処理一貫研究設備と研究開発スタッフ

再び注目される資源、石炭

IEA(国際エネルギー機関)は、世界で約16億人がまだ電気を使用できない環境にあると推定しています。ここからもうかがえるように、開発途上国の経済成長に伴って、電気消費量は今後大幅に増加すると見られています。
では、増加する電力消費をどのようなエネルギーが支えることになるのでしょう。IEAでは、今後の発電量の推移をエネルギー別に推定していますが、それによると今後も石炭火力発電は増え続け、2030年には電力全体の46%を占めるようになると予測しています。
その最大の理由は、石炭が安定的に供給可能な資源である点にあります。埋蔵地の地域的偏りが少ないことに加え、今後同じペースで採掘を続けた場合、石油が41年で、天然ガスが61年で底をつくのに対し、石炭は155年分の埋蔵量があり、将来も安定供給が可能です。酸性雨の原因物質と考えられる窒素酸化物(NOx)や硫黄酸化物(SOx)を除去する脱硝・脱硫技術の進歩もあり、相対的に安価な電気を安定して供給できるため、石炭が再び注目されているのが現在の状況といえます。

発電設備の動向
[画像]発電設備の動向 石炭火力発電は今後も一貫して伸び続けると予測されています。安定供給可能な資源であることと、発電コスト面での有利さがその理由の一つです。[出典]1971-2002:IEA, Energy Balances of non-OECD countries(2004年版) 2005-2030:IEA, Energy Outlook 2007(Reference Scenario)

石炭火力の効率向上をめざして

その一方で化石燃料である石炭は、発電の過程で多くのCO2を排出するという課題があります。その改善に向けて日立が取り組んでいるのが、石炭火力発電の効率化です。言い換えれば、少ない石炭でより多くの電気をつくることによってCO2排出量を減らしていこうという考え方です。
石炭火力発電では、粉砕した石炭をボイラ内で燃やして水蒸気を発生させ、その圧力で発電機のタービンを回すのですが、その際、水蒸気が高温・高圧であるほど発電効率は高まります。超臨界圧火力発電と呼ばれる技術はこのような考え方に基づくもので、私たちはすでに蒸気温度620℃、圧力25MPa(大気圧の250倍)という世界最高水準の超々臨界圧発電の実用化に成功しています。
投入したエネルギーが電力に変換された割合を示す送電端効率は、これにより従来の30%台から42%に向上しました。これは従来型の発電所に比べ、CO2排出量を約2割(相対値)削減することができます。現在は蒸気温度を700℃まで高めることによって、送電端効率48%を達成しようと努めています。

高効率石炭火力発電プラント
[画像]高効率石炭火力発電プラント
粉状にした石炭をボイラ内で燃やし、その熱で発生させた蒸気でタービンを回すのが石炭火力発電の基本的な仕組みです。燃焼排ガスは、脱硝・脱硫装置で浄化し排出します。日立はこの発電プラントに必要なすべての技術を保有しています。

信頼性を支える高度解析技術の開発

火力発電所の建設には、通常着工から36カ月かかります。つまり、新技術を実証するには最低でも3年が必要になるということです。この制約を乗り越えるべく、日立はボイラ内の燃焼状態をコンピュータ上でシミュレーションする解析技術の開発を進めてきました。現在、粉状にした石炭が燃える様子をシミュレーションする精度は、世界的にも最高水準に到達しています。
超々臨界圧火力発電の実現には、超高圧に耐える信頼性の高いボイラが不可欠なことはいうまでもありませんが、それをいち早く実用化できた背景には、このようなテクノロジーの存在があります。
日立は1980年代初頭から、将来の石炭火力発電に向けた技術を積み上げてきました。脱硝・脱硫装置分野で4割のシェアを持つことはその表れの一つです。超々臨界圧火力発電所は国内で8機、海外では米国のウォルタースコットジュニア4号機など21機を建設してきましたが、これは世界でもトップクラスの実績です。

[画像]ウォルタースコットジュニア4号機
ウォルタースコットジュニア4号機

また石炭をガス化し、ガスタービンの燃料にすると同時に、排熱で蒸気タービンを回す石炭ガス化複合発電の実用化に向けた取り組みも開始しています。電源開発(株)と中国電力(株)と共同で行うこのプロジェクトでは、排気中のCO2回収技術の確立にも取り組んでいます。
人類に産業革命をもたらした石炭利用技術は、今日の生活に不可欠なものです。日立は、今後も新たな技術の開発に努めていきたいと考えています。

(2008年7月掲載)