ページの本文へ

Hitachi

企業情報CSRへの取り組み

[画像]
アフガニスタンの子どもたちと雨宮

私が対人地雷の惨状をこの目で知ったのは1994年、商用で訪れたカンボジアです。現在、世界に1億1千万個の地雷が埋められ、所蔵数では2億5千万個にのぼるともいわれます。わずか300円で買える悪魔の兵器は、今も毎日20個の割合で増え続けています。
アフリカでは20分に1人が、地雷の被害に遭っています。アフガニスタンでは、16歳以下の子どもは、1日に4人死亡し、4人負傷しています。アンゴラでは、日本の国土面積以上の42万平方キロに地雷が埋められています。子どもに犠牲者が多いのは、身長が低く被爆しやすいことと、カラフルな地雷の色や形が気をひき、おもちゃと間違えて触ってしまうため。そもそも多くの子どもたちが「危険」の文字を読めません。成長時に手足を失い、想像を絶する苦痛が子どもたちを襲います。義足も一体30万円かかります。

手作業で1000年、機械ならば50年

[画像]
アフガニスタンでの地雷除去実験

地雷は50年以上、威力を保ちます。これを手作業で除去するのは、まさに命がけです。しかも「1000年かかる」という。カンボジアから戻る機内でこの事実を聞き、私の憤りは収まりませんでした。
私の会社で扱う油圧式ショベル*の技術を応用して、対人地雷の除去・処理機をつくろう。開発を心に誓い、帰国しすぐさま社内でプロジェクトを結成しました。とはいえ、社員60名の会社でできるのか。危険も伴います。「田舎の小さな町工場にも国際貢献の道がある。私にぜひ、世界の地雷と戦わせてほしい」。こう訴える私に、社員とその家族は応えてくれました。
1,000℃にも及ぶ爆発温度に耐える強度。石や岩盤に対する摩耗性や耐久性。悪戦苦闘の末、油圧ショベルの先端に、高速回転カッターを付けた試作機が完成したのが4年後。さらに2年を費やし、遠隔操作できる、世界に先駆けた地雷除去機が完成しました。
安全で効率的で、50年で地雷撤去が可能です。現在は、日本国政府を通じ、国連やNGOまた相手国政府に、世界5カ国、50台を納品しており、2004年はアフガニスタンで4,000発以上、ニカラグアで8,000発ほどの除去に成功しました。

  • * 日立建機(株)製の油圧ショベル。山梨日立建機(株)は1980年より日立建機の特販店・指定工場

自立支援への創意

まず地雷を除去しないと、畑も学校もつくれません。アンゴラのように地下資源の豊富な国には、世界の視線が注がれていますが、地雷が前途を阻んでいます。
この開発において特に注力したのは、現地の人びとの自立支援です。操作や管理の技術移転を行うとともに、機械には汎用性をもたせました。アタッチメントを付け替えれば、日常作業に活用することができます。たとえばニカラグアの村では、地雷を除去した後の土地を耕し、果樹園として再生されました。現在は、年間60万ケースのオレンジを出荷しています。
国際貢献として10年汗を流して、やっと認められたと感じています。そしてその先に、グローバルな意味での可能性が広がるのではないかと思います。

(2005年7月掲載)