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企業情報CSRへの取り組み

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日立ホーム&ライフソリューション(株)
取締役 商品計画本部長 兼 日立製作所 研究開発本部員
国際ユニヴァーサルデザイン協議会 理事長 川口 光男

「100%の障害者はいない。100%の健常者もいない。人間は皆、身体(または精神)のどこかに障害部分を持っており、なおかつ健常なる部分をも合わせ持っている。ユニヴァーサルデザインとは、誰でもが豊かで快適な生活を送るためのものである」。日立もその立ち上げから参画している「国際ユニヴァーサルデザイン協議会(IAUD)*1」の総裁である寬仁親王殿下が、組織の設立にあたって述べられたお言葉です。人間は誰しも完璧ではなく、日常に障害を感じることをふまえて、社会のあり方を見つめ直そうとする視点を、この言葉に感じます。

それは人間中心に考えること

普段はあまり意識していなくても、現代の都市生活を改めて見つめると、さまざまな障害に気づきます。たとえば、エレベーターホールの呼び出しボタン付近に灰皿があるだけで、車いすを使用する方は困るでしょう。外国人にとっては、日本語だけの表示もひとつの障害です。あるいは、ユーザーの手に余るほど分厚い取扱説明書などもそうでしょう。
つまり、ユニバーサルデザイン(以下UD)*2とは、特別な発見や革命的な技術ではなく、使いやすさを求め、当たり前のように製品やサービスの設計に導入されるべき概念なのです。
実は、その言葉の生まれるはるか昔より、日本にUDは根づいています。風呂敷や扇子、ふすまなど、大きさを変えたり、移動や使い勝手の自由なモノを生活のあらゆる場面で生み出し、活用してきました。UDは、日本のモノづくりが得意とする発想でもあるといえそうです。
そして、UDは同時に、日立の視点とも重なります。日立は技術で社会に貢献することを使命と考え活動してきましたが、その核にあるのは「人間中心に考えること」。UDをことさら新しい概念としてではなく、人間中心に考えることを再度、教えてくれるきっかけとし、その深化に取り組んでいます。

ニーズの多様性に応えていく取り組み

日立グループは、身近な家電製品から、情報サービス、公共システムなどの基盤設備にいたる、いわば「社会」と「生活」そのものに関わっています。お客様の層は広く、社会性も高いからこそ、私たちはUDを、社会的責任の視点で捉えたいと考えます。そのための具体的な活動として、基礎研究、商品開発、社内啓発、ネットワーク・情報発信に力を注いでいます。
そのための具体的な活動として、基礎研究、商品開発、社内啓発、ネットワーク・情報発信に力を注いでいます。
基礎研究では、視認性に対する研究などを行い、指標となるガイドラインを広域にわたり作成しています。
商品開発では、家電からインフラまで、実際のユーザーにご協力いただき、モニター調査と評価実験を行っています。啓発活動としては、たとえば高齢者のシミュレーションキットを使った社員の擬似体験や教育プログラム、お客様とのワークショップなどを行い、理念としてのUDの理解を図っています。さまざまなノウハウや基礎データは、データベース化しています。そして、前述の国際ユニヴァーサルデザイン協議会をはじめとした各種団体などと協働し、ネットワークの構築と、情報発信を進めています。
こうした活動をベースに、たとえば、商品の安全や信頼性向上に応える、トレーサビリティシステムの開発など、持続可能な社会を導くための、新たな価値創造につなげていきたいと考えます。
UDは、ニーズの多様さに応えていく取り組みです。すべての人を満足させることが難しいように、終わりのない活動ともいえるでしょう。しかし少しずつ、めざす環境に近づくことはできるのです。満足する人を増やしていくこの活動が日常的になり、いつの日か、 UDという言葉が日立の中で、そして社会の中で、当たり前のものになることを願っています。

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*1
国際ユニヴァーサルデザイン協議会=産・学の専門家が集う団体で、2003年11月に発足。日立製作所は理事会にて理事長を務める。
*2
ユニバーサルデザイン=1980年代に米国ノースカロライナ州立大学の故ロナルド・メイスが「できるだけ多くの人が利用可能であるように製品、建物、空間をデザインすること」をユニバーサルデザインと定義

(2005年7月掲載)