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企業情報CSRへの取り組み

[画像]ムバラクポンプ場全景
[写真]ムバラクポンプ場全景

300万人が入植する街づくりのインフラとして

ムバラクポンプ場の建設は、1998年から2003年にかけて行われました。エジプトは、日本の約2.7倍の広さがありますが、その大部分が砂漠地帯で、緑地はナイル川流域の6%ほどに過ぎません。そこでエジプト政府は、緑地を増やすために数々のプロジェクトを推進しています。ムバラクポンプ場もそのひとつで、大統領の名を冠した、文字通り最大規模の国家プロジェクトです。
有名なアスワンハイダムの建設によって生まれたナセル湖の湖岸に、日立製の大型縦軸渦巻きポンプ21台を設置して、東京ドーム23杯分もの水を毎日取り入れ、砂漠地帯に供給しようという計画です。東京都とほぼ同一の2,250平方キロメートルの土地が緑地化され、300万人が入植するというのですから、スケールの大きさは想像を絶します。

砂漠でゼロから始まったプロジェクト

[画像]来日した組み立て実習中のエジプト人技術者と共に
来日した組み立て実習中のエジプト人技術者と共に

ポンプ場の建設プランは、30年以上も前から、計画されてきたものでした。日立グループは、そのころからエジプト各地の排水や灌漑施設にポンプを納めてきました。一般には、建物をつくってからポンプ設備を入れるのですが、今回はムバラク大統領の発案により、設計と建設を同時かつ短期間でつくる、世界的なプロジェクトになるというのです。数々の経験を積んできた日立にとっても、まさに技術者魂を揺さぶられるテーマでした。その責任とリスクの大きさから日立は信頼ある英国とエジプトの会社と手を結び、国際コンソーシアムを結成。機械・電気システムエンジニアリングと機器の一括納入を担当しました。
プロジェクトを開始した頃はまだ道路もなく、キャンプ地は40℃以上の暑さと、サソリ、毒ヘビもいる厳しい環境でした。日立グループからは20人ほどが滞在しましたが、英国、エジプトのスタッフとともに、最盛期には約3,000人がここで起居をともにしました。私たちは2000年から本格的に始動し、エジプトで現地コンソーシアム内の調整や、現地製作指導と据付指導を行い、2004年6月まで滞在しました。

低予算化と技術の移転、安全確保に注力

これまでのポンプ製造で培われた経験を生かし、私たちは、全体をコンパクトにし、かつ運用やメンテナンスのスペースをきちんと確保すること、そして厳しい経済状況のエジプトを考え、いかに低予算でつくるかに全力を注ぎました。ポンプのケーシングなどの製缶工程の大半は、エジプト国内の協力工場で行い、コスト削減とともに、現地の雇用の確保や、技術の移転に貢献することができました。これまでの日立は海外での納入実績は多いものの、現地で加工・溶接を行った実績はありませんでした。そこで、国内生産と同じ性能、高品質を保つために、1,000t近い鋼材を輸出支給し、担当スタッフが現地に1年間滞在して、細かな技術指導にあたりました。その甲斐あって、品質の確保と現地の人びとへの技術移転が実現し、当初の目的を達成することができました。私たちが作業において留意したのは、工事現場における事故防止です。日本では想像もできない過酷な状況の中で工事が進められていたからです。これに対しても、日立の経験を生かし徹底的な安全衛生の対策措置を行いました。
世界でも例のない工事だっただけに、計画通りにはとてもできないという声が多かったにもかかわらず、5年で完成にこぎ着けることができたのは、まさにチームワークのたまものであると感じます。
エジプトの地に入って、改めて感じたのは「水の貴さ」です。そして、アジアやアフリカなどの開発途上の国々の多くが、今、水資源を求めています。そうした国々にも、私たち日立グループとして、これからも貢献していけるのではないか。そんな夢をこのプロジェクトを通じて、強く抱いています。

(2005年7月掲載)
(日立グループ ムバラクポンプ場建設プロジェクトチーム)