限られた水を可能な限り多くの人に届ける――それが、日立の構想するインテリジェントウォーターシステムによる社会への貢献です。
21世紀は「水の世紀」ともいわれ、人口増加や都市部への人口集中などにより、水資源の不足や水質汚染がさらに深刻化すると予想されています。世界的に増大する水需要に対し、限られた水資源の保全と活用により、持続可能な生活環境をつくりだす社会インフラの整備がグローバルに求められています。

物理的、経済的な渇水地域が低緯度地域を中心に存在している。人間や生物が利用できる河川、湖沼、地下水などの淡水は地球全体の水の3%にも満たない。また、WHOによると世界で11億人が安全な飲料水を利用できず、26億人が下水道などの基本的な衛生施設を利用できないでいる。

モルディブ共和国マレ島
2010年度には水環境ソリューション事業統括本部を設置し、インテリジェントウォーターシステムのグローバルな展開を強化しています。UAEドバイ首長国では再生水処理により人口増加に伴う水質汚染を改善するプロジェクトに、インドでは海水淡水化システムにより安定的な工業用水の供給をめざすプロジェクトに参画しています。また、モルディブ共和国では上下水道管理システム整備のほか、海洋深層水を空調システムに利用することによってCO2排出量の削減をめざし、UAEアブダビ首長国ではソーラー発電淡水化設備を活用して砂漠に生きる希少動物の保護に努めています。
今後は、中国、東南アジアなど新興国における事業の拡大に努めるとともに、インフラが整備されている先進国では、システムの刷新によりインテリジェントな水循環の最適化を推進していきます。
グローバルに広がる日立の水環境への取り組み
| プロジェクト名 | 主な動き | 日立グループのかかわり |
|---|---|---|
| UAEドバイ首長国の再生水事業 | 2008年8月 合併会社Hi Star Water Solutions LLS設立 2009年2月 水再生事業稼働 |
都市開発のラッシュに伴い、生活排水による水質の悪化などが社会問題となってきたドバイ首長国で、膜技術を利用して生活排水を処理する設備を設置。この設備で処理された再生水を近隣の工場の工業用水として安価で供給する事業を開始している。 |
| UAEアブダビ首長国のソーラー発電淡水化設備 | 2009年9月 受注 2010年10月 1号機納入 2012年11月 一部稼働開始 2013年3月 全15台納入 |
絶滅危惧種のアラビアンオリックスをはじめ、砂漠に生きる希少動物の保護を目的としたプロジェクトに参画。太陽光発電を利用した給水設備「ソーラー発電淡水化設備」によって塩分濃度の高い井戸水を淡水化し、砂漠の生き物たちに供している。 |
| インド・グジャラート州ダヘジの海水淡水化プロジェクト | 2009年12月 日印首脳会議で政府間合意 2012年3月 共同開発契約を締結 2013年1月 給水契約を締結 |
日印政府間によるスマートコミュニティ開発の合意を受け、工業団地に海水淡水化プラントを建設するプロジェクトに参画。30年間(建設期間を含む)にわたり工業用水を安定的に供給でき、給水量は1日33.6万m3を見込んでいる。海水淡水化事業としてはアジア最大級(2013年3月現在)の規模。 |
| モルディブ共和国の上下水道事業 | 2010年1月 上下水道運営会社Malé Water and Sewerage Company Pvt. Ltd. 所有の株式の20%を取得 |
安定した上下水道サービスの提供と経営効率の向上を図るため、上下水道の運営事業に参画。海水淡水化装置を約200基納入し、島全域が首都であるマレ島では配管情報の管理システムを構築。また、海洋深層水を空港やビルなどの水冷式空調システムに利用し、年間12,450tのCO2排出量を削減(試算)。 |