[エッセイ]
技術に会う 11
福岡伸一
(青山学院大学教授
分子生物学)
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生命とは何か、それは効果である
「現在、私たちのまわりには生命をめぐるさまざまな問題があります。たとえば遺伝子組み換えをめぐる是非、クローン技術やES細胞などの生命操作、あるいは臓器移植の問題など枚挙に暇がありません。実はこの背景には、一つの明確な生命観があります。それは、究極的に、生命とはミクロな部品が集まってできたプラモデルである、という見方、つまり機械論的な生命観です……」
一方で、分子生物学は全く別の生命観を暗示する。それは「部品」自体が常に分解・合成を繰り返し、その部品同士の動的なバランスが生命現象を生み出すという、流動的な生命のあり様だ。
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