今回のテーマは「天気予報」。天気という複雑かつ気まぐれな自然現象を解析・予測するというのがいかに大変なことか――。特集では、スーパーコンピューターを用いて行われる「数値予報」のメカニズムを中心に、最新のテクノロジーを結集した現代の天気予報づくりのプロセスを紹介します。また天気予報は、流通小売業などをはじめ、ビジネスの世界でも業績を伸ばし、リスクを減らすために広く活用されています。天気予報は、私たちの暮らしを見えないところでも支えているのです!
天気予報とは何か――気象と暮らしをつなぐもの 木村龍治(放送大学教授 気象学) 人が空を見て天気を予測する、いわゆる観天望気(かんてんぼうき)から、19世紀の気圧に基づいた天気図による予報、そして20世紀には流体力学方程式を用いた数値予報の時代へ。天気予報の技術の進化の歴史を、気象学者の木村龍治氏にお聞きします。
気象シミュレーション――数値予報のメカニズム 現代の天気予報は、大気の動きを数値計算によってシミュレートする「数値予報」に基づいています。世界中から集まる観測データを基に、計算のための初期値をつくり、物理方程式では表せない自然条件をも取り込んだ高度なプログラムを用いて、大気の運動を予測していく。その複雑なメカニズムを紹介。
数値予報の進化を支える 日立スーパーテクニカルサーバ「SR11000」 気象庁の数値予報システムの核となるのが、日立スーパーテクニカルサーバ「SR11000」。今年2006年3月1日に更新された「SR11000」は、27.5テラフロップスという従来のシステムの約28倍もの演算能力で、日々膨大な数値計算をこなしています。 天気予報番組の舞台裏 ――NHK気象キャスター・平井信行さんに聞く 天気予報番組はどのようにつくられているのか、気象予報士としてNHKの天気予報番組づくりにもかかわる平井信行氏にインタビュー。 気象ビジネス最前線 ――天気予報で売り上げを伸ばせ! 流通・小売業界では、商品の発注や人件費のコントロール、ショーウインドーの飾りつけまで、日々の天気予報が鍵を握っています。天気予報を巧みに活用する気象ビジネスの最前線を取材。
[エッセイ] 技術に会う 5 裏蓋を開けると ムットーニ
「私の作品を一言でいうなら『カラクリ・モーション・BOXシアター』とでもいうべきか。ん〜言葉では伝えにくい。いわゆる、機械仕掛けのミニシアターなのだ。だが、実は私は30歳のころまでは絵描きだった。それがなぜ、ある日突然機械仕掛けの作品をつくり出したか……」
ムットーニ氏が訪れたのは、秋葉原のとあるパーツ屋。そこで出会った見慣れぬ部品が、ムットーニ氏を未知なる制作活動へと導いていく。その唯一無二の作品の裏蓋を開けると……。 日々の暮らしのなかでの「技術」との出会いを、毎回さまざまな方がつづります。
[トーク]
日立グループのさまざまな取り組みや業界の最新動向を、キーパーソンの「talk(語り)」を通して紹介します。さらに「talk」のテーマを、「+(プラス)」で写真やダイアグラム、図鑑などに展開。
デザイナーや技術者、マーケッター、営業などが部署を超えてチームを組み、新たなインタフェースを研究する「ヒューマンインタラクションラボ」。ここから生まれた「シルエットカウンター」は、簡単なジェスチャーで、複数人が同時に操作できる、テーブルカウンター式のディスプレー。2006年4月、科学技術館 日立ブースのリニューアルで「Nature Contact」として登場し、好評を得ています。「+」はヒューマンインタラクションラボが開発したユニークなインタフェースを紹介。 http://hhil.hitachi.co.jp/
企業が長年使ってきた情報システム(IT)は、単なる情報インフラではなく、その企業独自の現場のノウハウが詰まっています。しかしシステム更新の際、従来のようにゼロからつくり直す方法ではコストもかかるうえ、そのノウハウも失われてしまう。既存のシステムを解析し、必要なノウハウを取り出し、新たなシステム環境を構築するなかで生かしていくこと。ノウハウを捨ててゼロから「作る」のではなく、ノウハウを生かしてできるだけ「作らない」。そうして企業独自の強みを継承していくのが、日立のコンサルティングビジネス「作らない開発」です。「+」は情報システム開発技術の変遷をチャート化。
1995年の柏レイソルのJリーグ昇格とともにプロデビュー、高速ドリブラーとして活躍し、'96年には12ゴールを決め、日本代表にも選ばれた酒井直樹選手。酒井は、レイソルユースの前身である日立製作所サッカースクールの一期生で、日立サッカー部〜柏レイソルの歩みとともに成長してきた選手。2003年シーズンで引退した後は、再びレイソルユースに戻り、12歳以下の選手の指導・育成に当たっています。「+」はレイソルU-12の勇姿。彼らはダノンネーションズカップ国内大会に2年連続で優勝、今年も9月にフランス・リヨンで開かれる本大会に出場予定。昨年は世界32チーム中9位という好成績を収めたが、今年はいかに。 http://www.reysol.co.jp/
[写真] technobscure 5 伊奈英次 「FINAL WASTE」
カメラというテクノロジーの目を通して表象される隠れた自然のメカニズム、人工物に内在するダイナミズム――。今回は、都市の変貌をテーマに、建築物や構造物、ランドスケープ、廃棄物など、都市の光景やそこにあるモノを撮ることで、人間の営みを写し出してきた伊奈英次氏の作品。写真は、特別管理産業廃棄物の焼却炉の内部。
[ルポルタージュ] 永瀬唯の サイエンス・ パースペクティブ 5
科学技術ライターの永瀬唯氏が日立グループの現場や研究施設を歩き、レポートします。
今回は山口県下松市の瀬戸内海に面した笠戸事業所を取材。ここは1920(大正9)年に12tタンク式蒸気機関車がつくられて以来、日本のあらゆる鉄道車両を生み出してきた場所。なかでも、世界屈指の高速鉄道である新幹線の車両開発には幾多の困難がつきまといました。その舞台裏を振り返ります。
[ニュース] ダントツさんが行く! 4
夫と二人の子供、おじいちゃん、大型犬とともに暮らすダントツ家の主婦、通称ダントツさんが、生活と密着したさまざまな家電製品などを紹介します。
今回は、2006年4月に科学技術館 日立ブースリニューアルで登場した「Nature Contact」を家族で体験。そのユニークなインタフェースに、子供たちも大喜び!
http://www.hitachi.co.jp/naturecontact/
[[コラム] 技術の日立 今昔 1
新連載、写真で見る日立製品の今昔。1回目のテーマは冷蔵庫。1932(昭和7)年に完成した日立の1号機は、圧縮機と凝縮器を上に載せた、いわゆるモニタートップ型でした。
『ひたち』第68巻第2号(夏号) 2006年7月1日発行 定価315円(本体300円)