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日立グループの技術戦略 安心健康ソリューション
バイオ技術で変ぼうする,これからの医療

猪俣 博
株式会社日立メディコ 取締役社長
猪俣 博

今後の医療と医療機器の展望
今後の医療と医療機器の展望

「“医”の理想を形にするために,
“工”の力が求められています。」

 本格的な少子高齢化社会の到来を前に,医療の現場にも大きな変革の兆しが見えてきた。テーラーメード医療,再生医療,新しい手術支援システムなど,これまで以上に個人の体質と予後の負担軽減に配慮した新しい医療の実現にめどがついている。日立グループでも,医療による社会貢献を視野に含めた技術の結集を始めている。だれもが健康長寿をおう歌できる社会の実現を目指す,日立グループの医療分野における新しい価値の創造とは――株式会社日立メディコの猪俣博取締役社長が語る。


時代の要請と技術の進歩による新しい医療

 「いのちの世紀」,「環境の世紀」――21世紀は,これまで,さまざまな表現で展望されてきた。その一つが「高齢者の世紀」である。厚生労働省の発表によれば,わが国の65歳以上の人口は2000年の段階で2,187万人と,0〜14歳の人口1,860万人を大きく上回っている。さらに,その20年後の2020年には65歳以上の人口が3,334万人,高齢化率は26.9%になると予想されている。実に,日本人の4人に1人以上が高齢者という時代を迎える。

 これは,国民生活のボトムアップと,医療の進歩の成果とも言えるだろう。しかし一方では,「健康寿命」をいかに伸ばすかが,医療の課題となっている。長生きはすばらしいことだが,仮にそれがベッドで寝たきりの生活だとしたら,どうだろうか。

 「少子高齢化社会に対応するこれからの医療は,効率化とパーソナライズという相反する要素を両立させなければなりません。そのために,IT,バイオテクノロジー,機械工学など,幅広い分野の先端技術が必要とされています。例えば,ITシステムは事務処理の効率化と安全確保を,バイオテクノロジーは再生医療や個人の遺伝子に基づいたテーラーメード医療を,最先端医療機器は病気の超早期診断や心身への負担が少ない手術をそれぞれ可能にします。これらが連携してつくり上げる新たな医療が目指すのはQoL(Quality of Life)の向上,つまり,『より生き生きと暮らす』こと。その実現のために今,日立グループの技術力を発揮するのです。」(猪俣社長,以下同)

 現在,医療機器の市場シェアでは欧米企業が大きな割合を占めている。しかし,日本企業が技術レベルで劣るわけではない。電子・光学・計測などの技術を生かした分析・診断用医療機器,発展が期待される再生医療や遺伝子医療の分野では,力を十分に発揮できるはずだ。それがひいては,わが国のみならず,世界全体の医療レベル向上,QoL向上につながる。

 

日立グループの医療分野における展開
日立グループの
医療分野における展開

インテリジェントオペレーションシステム
インテリジェント
オペレーション
システム

光トポグラフィ
光トポグラフィ
高磁場オープンMRI
高磁場オープンMRI
  電子カルテシステム
電子カルテシステム
ブタ歯胚細胞を培養して再生させた歯胚組織
ブタ歯胚細胞を
培養して再生させた
歯胚組織

  PET検診支援サービス
PET検診支援サービス
生化学自動分析装置
生化学自動分析装置
  陽子線がん治療装置
陽子線がん治療装置
 

だれもが,いつまでも,自分らしく生きられる社会へ

 こうしたポテンシャルを生かすためには,開発のスピードアップと低価格化も図らなければならない。そのために,日立メディコは,ビジネス基盤となる開発力・生産効率・セールス力・サービス力に品質を加えた5要素の強化を図っている。さらに,「装置からソリューション提供へ,診断から治療へ」というコンセプトの下で,ビジネスポートフォリオの変革にも取り組んでいる。

 「医療用機器だけでなく,今後は病院内のさまざまな課題にソリューションを提供できるように,広い意味での総合医療サービス業への移行を進めていきます。電子カルテはもちろん,ITによる診療所どうしの情報共有の支援などで,地域医療の基盤づくりにも貢献していく考えです。」

 日立メディコの開発したオープンMRI(磁気共鳴撮像装置)は,検査時の圧迫感がなく被験者に優しいうえに,高画質・高機能であることが評価され,米国の同タイプのMRI市場で54%という高いシェアを占めている。

 「このオープンMRIを利用して東京女子医科大学と共同開発したインテリジェントオペレーションシステムは,脳腫瘍(しゅよう)の治療で高い実績を上げています。こうした新しい価値を持つ診断装置を軸とした高度先端医療の実現が,次のステップです。そして,さらに先には,再生医療という夢への挑戦があるのです。」

 さらに現在,取り組んでいるのは歯の再生である。咀嚼(そしゃく)には脳に刺激を与える働きがあり,健康な歯を保つことは健康な脳機能の維持につながると言われる。産学協同で研究開発を行い,歯の一部の細胞から歯の基になる「歯胚」を再生することで,「第三の歯」の実現を目指す。

 「一昔前なら正に夢のようなことも,今では『実現できる夢』となりつつあります。こうした夢の実現によって,たとえ病気になっても,高齢になっても,だれもが自分らしく生きられるようにお手伝いすること。それが私の夢であり,日立グループの夢でもあるのです。」

 ITを用いたソリューション,遠隔手術まで視野に入れた高度先端医療,そして再生医療。こうした次世代医療の実現には,分野を越えた技術の融合が必要なのは言うまでもない。猪俣社長の語る夢をかなえるために,日立グループが持つ,多種多様な技術力の結集が始まっている。

 

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