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株式会社ノークリサーチ

「SaaS」という言葉をご存知の方は少なくないだろう。
企業が業務アプリケーションをインターネット上のサービスとして利用するIT活用形態の一種である。

そこで、今回はこのSaaSを有効活用するための要素として「帳票」について考えてみる。
SaaSと帳票がなぜ関係するのか?と不思議に思うかも知れない。だが、この両者は業績改善の観点から見て無視できない繋がりを持っているのである。

業績改善のためのSaaS活用が模索されるのは営業/顧客管理系システム

本題に入る前にまずSaaS全般について現状を俯瞰しておこう。
一口にSaaSと言っても対象となる業務アプリケーションは実に様々だ。ユーザ企業がSaaS形態で利用したいと考えるのはどういった業務アプリケーションなのだろうか?

以下のグラフは年商500億円未満の中堅・中小企業に対し、「SaaSを活用する可能性が最も高いシステム」を尋ねた結果である。

SaaSを活用する可能性が最も高いシステム

この結果を見ると、「情報共有システム(メール、グループウェアなど)」と「営業/顧客管理系システム(SFA、カスタマサポートなど)(*以下、“CRM”とする)」ではSaaS形態の利用意向が高いことがわかる。

情報共有システムでのSaaS活用目的は主に運用コストの削減だ。
一方、営業/顧客管理系システムはコスト削減だけでなく、業績改善に結びつけるためのSaaS活用が模索されることが少なくない。

SaaS全般を対象とすると話題が抽象的になってしまうので、本稿ではCRMのSaaS形態に絞って考えてみることにする。

CRMがSaaSに適している理由

CRMのSaaSというとセールスフォース・ドットコムがその代表格だ。TV番組などで紹介されたこともあり、IT業界ならずとも名前を知っているビジネスマンも少なくない。

では、どうして多くのユーザ企業がSaaS形態のCRMを導入するのだろうか?

CRMとは営業支援(営業マンの日報や成績の管理)や顧客応対(カスタマサポートなど)を効率化するシステムの総称だ。実はこうしたCRMの導入には幾つかのハードルがある。

まず、営業マンがきちんと日報を入力するように動機付けを行う必要がある。

営業マンは商談の途中経過を詳細に報告したがらない傾向が強い。案件情報を逐次共有し、組織全体の効率を上げるためには相応の時間と文化の醸成が欠かせない。逆に言えば、CRM導入の効果が得られるかどうかはユーザ企業側の努力に大きく依存している。

また、何かの販促キャンペーンを行うといった場合は顧客問い合わせの仕組みを急遽改善する必要が生じる。だがCRMを利用するためのシステム構築には時間がかかるため、そうしているうちに商機を逃してしまう可能性がある。さらに昨今では顧客企業の情報や一般消費者の動向を知るための手段としてインターネット上の情報検索が有効だ。しかし、CRMパッケージの中でインターネット上の情報をうまく活用しているものはまだ少ない。

このように自社内にシステムを構築する(CRMパッケージを利用する)といった場合は以下のような課題が生じていたのである。

  • 導入効果を得られるか未知数であるため、そのためにシステム投資をするのは難しい
  • 販促施策に合わせてタイムリーな導入を行いたいが、システム構築には時間がかかる
  • インターネット上の情報との連携をしたいが、そのための仕組みが整備されていない

こうした課題を解決するものがSaaS形態のCRMだ。

SaaSであれば自社でシステムを構築する必要がないため、利用開始までの期間を大幅に短縮できる。月単位または年単位の契約が一般的なので、効果が得られなかった場合は解約をすれば余計な資産は残らない。

期間を限定した販促施策に合わせた利用も可能だ。実際、セールスフォース・ドットコムの事例には「定額給付金」や「エコポイント」といったものがある。どちらも短い期間でサービスを開始し、かつ実施期間が限定されているものだ。

また、CRM形態のSaaSは元々インターネット上にシステムが配置されている。セールスフォース・ドットコムの場合もTwitterやMixiといった各種のネットサービスとの連携を次々と打ち出している。

つまり、

  • 自社でシステムを持たないため、低リスクでCRM導入を行うことができる
  • 短い期間で利用を開始することができ、期間を限定しての運用も可能である
  • 様々なネットサービスとの連携が可能であり、外部の情報を有効活用できる

といったように上記に挙げたCRMにおける3つの課題を解決できていることがわかる。

SaaS形態のCRMだけでは解決できない課題

いいことずくめのように思えるSaaS形態のCRMだが、実は大きな課題が残されている。

営業活動や顧客応対におけるCRM活用が進むと、見積書/発注書/請求書といった文書とCRM上のデータをスムースに連携する必要が生じてくる。案件情報から直接これらの文書を作成できればベストだろう。実際、そうした機能を備えたものも少なくない。

しかし、日本は帳票の精緻さに関しては世界一といえるほどのこだわりを持つ国だ。SaaS形態のCRMを利用する場合でも、これまで利用していたのと同品質の文書形式を再現しなければならないことも少なくない。SaaS形態のCRMが備える標準の出力機能だけではそこまでのニーズには応えられないのが現状だ。

ここで有効な解決策となるのが帳票に特化されたSaaS形態サービスとの連携だ。

帳票のアプリケーションは既に数多く存在する。SaaS形態のCRMからデータをインポートし、それを元に帳票を生成することも不可能ではない。しかし、毎回そのような手順を踏んでいてはSaaS形態のCRMを導入した成果も半減してしまうだろう。

SaaSの特徴でもある柔軟なシステム連携を活かし、CRMと帳票それぞれのSaaSを連携させることによって、CRM単独では解決できない「帳票という日本特有の文化」という課題を解決できるわけだ。

このように帳票サービスとの連携があって初めて、SaaS形態のCRMは本当の意味で営業支援や顧客応対における業務改善を実現できるソリューションとなるのである。

SaaS形態のCRMと帳票サービスとの連携は業務効率を大きく左右する

こうした帳票サービスの具体例が、日立製作所の「帳票スクエア」だ。

セールスフォース・ドットコムのSaaS形態CRMと連携し、CRM内からデータを取得して素早く帳票作成を行うことができる。100種類以上におよぶ書式テンプレートも用意されているので、帳票の書式定義をゼロから行わなくても利用できる。

SaaS形態のCRMは業務改善に有効な手段である。

だが実際の業務シーンを詳細に検証してみると、今回の帳票のように抜け落ちている重要な部分が見つかることもある。そうした時、それを補う連携可能なサービスが提供されているかどうか?という点も大変重要なポイントだ。

SaaS形態のサービスを選ぶ際には、そのサービス自体だけでなく、周辺の機能を司る連携サービスの充実度についてもきちんとチェックしておくことが大切なのである。

特記事項

  • SaaS:Software as a Service
  • SFA:Sales Force Automation(営業支援システム)
  • CRM:Customer Relationship Management(顧客管理システム)
  • 記載されている会社名、製品名は、それぞれの会社の商標もしくは登録商標です。