RFIDやセンサーなどのユビキタス技術の進展と通信の高速化・ワイヤレス化によって、生活シーンからビジネスシーンまで、さまざまな場面でユビキタス機器が使われるようになってきました。
例えば、携帯電話やカーナビ、ICカードといったユビキタス機器は、すでに生活に欠かせなくなってきています。また、工場・物流・病院といったビジネスの現場では、製品の部品や倉庫の荷物、さらに居室の温度や湿度という現場情報(ファクト)を、これまでは人手で確認したり、計測しなくてはなりませんでしたが、RFIDやセンサーを適用することで、より容易にかつ高速に確認・計測できるようになり、実際の適用例も増えています。
例えば、オフィスビルでの入館時に指静脈認証を行うことで、誰が・いつ・どこに入館したのかという情報を容易に収集することができ、不審者の入館を防ぐセキュリティ向上の他、入退場記録を追跡することも容易になります。
他にも、センサーを使った病院内の患者安否確認、GPSを使ったトラックの位置管理など、これまでとれていなかった大量・多様な現場情報をユビキタス機器で迅速に収集することにより、現場の把握・見える化が容易になってきました。

図1:現場情報の収集
では、ユビキタス機器を使って収集した現場情報は、どれほど有効に活用されているのでしょうか。
例えば、製造現場では、作業者・作業時間・生産個数などをRFIDタグにより情報収集することで、生産状況を詳細に把握することができ、作業配置の最適化といった現場の改善に活用することができます。
物流現場の場合は、商品にRFIDタグを付けて所在やトラックへの積載数などを現場情報として収集することで、荷物の配送効率を把握することができ、配送指示の自動化などの改善に役立てることができます。しかしながら、現場情報は現場に閉じた活用にとどまっており、共有することが課題となっていました。
一方、バックオフィスでは、SFAや生産計画、TMSなどの業務システムがそれぞれの業務の効率化に役立っています。しかし、業務個別には最適化されていても、現場の状況に合わせた的確な指示が出せておらず、現場とのプロセス連携が課題となっていました。 現場情報は、現場の改善に役立てるだけではなく、複数部門間で共有し部門をまたがってプロセス連携することで、事業に関わる様々な人の視点で、改善あるいは改革への気づきの促進、活性化に役立てることが重要です。

図2:現場情報の活用における課題
現場情報の活用事例として、工場の作業指示票にRFIDタグをつけて工程リードタイムを測定し、動態管理を行っているセル生産方式* の製造現場をご紹介します。作業リードタイムを簡単な仕掛けで測定し、現場の課題の可視化を行うことで、現場改善・生産改革を実現するものです。

図3:製造現場と営業部門における現場情報の活用
この製造現場では、RFIDタグ付作業指示票を、各セルに設置されたポスト型のリーダ/ライタに作業者が出し入れするだけのシンプルな操作で、作業開始時間と終了時間を読み取り、実作業時間をリアルタイムに測定できるようになっています。生産状況は、生産ラインの管理者がリアルタイムにモニタリングできます。例えば、日時、作業者、作業工程などの様々な観点で状況を見ることも可能です。
さらに、現場情報を営業部門と共有し、製造現場と営業部門それぞれの業務改善と業務全体の最適化に向け広く活用することができます。
生産ライン管理者の観点では、生産効率を上げるための改善・工夫をするために、工程のボトルネックの把握が容易になります。例えば、現場の状況に応じて作業配置を変更するなど、改善ポイントを現場ラインにフィードバックし、問題への対策を適時実施することが可能です。
営業部門の観点では、生産計画システム上の情報と関連づけることで、計画に対して生産状況が先行しているか/遅れているかがリアルタイムに分かるので、状況に即してより正確な納期をお客さまに連絡することができます。また、状況に合わせて生産スケジュールを見直すなど、現場へのフィードバックやサプライチェーンの最適化も可能になります。
現場では、RFID適用により、現場の作業リードタイムをより簡単・正確に測定できるようになりました。状況を可視化することにより、問題点への気づきや把握も容易になりました。課題に対して適切な改善策を実施することで、リードタイム短縮や生産性向上を実現できました。また、営業部門が生産状況を見ることにより、お客さまへより確かな納期連絡ができるようになりました。
このように、現場情報を他部門とリアルタイムに共有することにより、現場以外の観点も加えて状況を見ることができるので、多様な観点/目的での気づきや施策検討の活性化につながります。
現場情報(ファクト)の活用により、現場の改善だけでなく企業全体の業務の最適化を支援するIT基盤として、日立はファクトプラットフォームを提供します。ファクトプラットフォームは、現場情報の活用先が目的に応じて柔軟にファクトを選択・取得する、データ主体型のプラットフォームです。
例えば、収集した現場情報をファクトプラットフォームで可視化できるので、状況や変化などから問題点が分かり、次回以降同じ問題が起こった時の処置を自動的に行うといった工夫ができます。さらに、企業内での現場情報の共有や業務システムとのプロセス連携により、現場で発生した問題が与える影響を迅速に業務システムに通知することができます。ファクトプラットフォームは、RFIDやセンサーなどの多様なユビキタス機器と、そこから得る現場情報を企業内の各層・各部門、あるいはバリューチェーンで広く活用するためのソフトウェアとで具現化します。
これらのソフトウェアは、現場情報の活用において必要とされる次の五つの機能を提供します。
現場情報の活用で必要とされる五つの機能
ファクトプラットフォームが提供するこれらの機能を目的に応じて組み合わせて、現場情報を活用することができます。

図4:ファクトプラットフォームによる現場情報の活用
ファクトプラットフォームを適用する具体的なメリットとして、以下があります。
ファクトプラットフォームは、組織構造に依存せずに現場情報をフラット化して、幅広いビジネスで容易に現場情報を活用できるよう支援することで、現場の創意工夫と業務の全体最適化を促進しイノベーションを加速します。
日立は、RFIDやセンサー、生体認証などの多様なユビキタスデバイスを適用した各種実証実験や、自社内での構築・運用での実績による豊富なノウハウをベースとしたユビキタスソリューションを幅広く揃え、提供しています。
また、日立のサービスプラットフォームコンセプトであるHarmonious Computing (新規ウィンドウを開く) に基づき、これらのソリューションを支える各種基盤も継続的に強化して参ります。
現場情報を企業内あるいはバリューチェーン間で共有し、柔軟に活用するための基盤としてファクトプラットフォームを提供し、お客さまとともに、現場から始まる改善・改革の活性化を支援していきます。

図5:ユビキタスソリューションを支えるファクトプラットフォーム
本文中で取りあげたファクトプラットフォーム関連製品とソリューションの詳細は、下記のサイトでご覧いただけます。
(メールサービス 2007年8月22日 No.710 にて掲載)