本文へジャンプ

ミドルウェア

uVALUE 実業×IT

Hitachi

企業資産を守るためセキュリティレベルの
スピーディな向上と効率的な資産管理を実現。
「JP1」でパッチ配布作業と資産管理を統合

福岡県・北九州市に本拠を置く電機メーカーの株式会社安川電機(以下、安川電機)は、セキュリティホールのない安全なネットワーク環境を実現することでビジネスの継続性を確保するため、2004年7月から、さらにIT資産管理を強化している。導入したのは、日立の統合システム運用管理ソフトウェア「JP1 Version 7i」の資産・配布管理ソリューションである。資産情報の自動収集、資産管理、セキュリティパッチの自動配布・インストールという一連の作業をシームレスに行えるため、スピーディかつ効率的にセキュリティレベルを向上させることに成功。グループ会社とあわせて12社、合計約6,000台のPCへと、資産管理の範囲を拡大中である。

ネットワークセキュリティの第一歩は資産管理から

松本豊樹氏の写真
株式会社安川電機
生産本部
情報化推進グループ
システム企画担当
課長補佐
松本豊樹氏

「自社情報資産の保護とコンプライアンスの両面から、情報システムのセキュリティ確保は、企業活動の重要な要素です」と松本氏は語る。

安川電機は、産業機械、工作機械などのモーションコントロール、ロボティクスオートメーション、大規模プラントなどのシステムエンジニアリングの3事業で、世界に知られる電機メーカーである。

2004年1月、同社はさらにIT資産管理を強化することを決意した。Windows®のセキュリティホールを突いたウイルスが急増するなかで、抜本的な対策を講じなければ、企業資産を守れなくなるという危機感を抱いたからだ。

「社内ネットワークには現在約4,000台のPCがつながっています。その中の1台でもセキュリティに問題があるとき、どこに設置されている1台なのかを特定して最短時間で対処することが、会社全体のネットワークを守り、ビジネスの継続性を守るために不可欠なのです」と松本氏は強調する。

セキュリティパッチのインストールは、イントラネットで全社通知された手順により各個人が実施していたが、最終的には個人任せになりがちだった。

「人間が行う作業には漏れもあるし、ミスも生じます。ネットワークのセキュリティを守るためにはまずリアルタイムな資産管理。さらに、管理の可視化・効率化と対策の自動化が大切」と松本氏は指摘する。

資産管理とパッチの配布管理は表裏一体

阿南裕一氏の写真
安川情報システム
株式会社
ソリューション&
サービス事業本部
営業統括部
iDCセンタ課長
阿南裕一氏

いくつかの資産管理製品を比較検討した結果、機能、コストパフォーマンスともに優れた製品として、日立の統合システム運用管理ソフトウェア「JP1」を採用。JP1は7つの管理ソリューションを提供しているが、その中の資産・配布管理ソリューションを選択したのだ。

「特に資産管理が気に入りました。必要な機能を細かいところまで網羅しているうえ、管理画面をカスタマイズできるなど自由度が高い」と松本氏は言う。さらに、阿南氏は、「資産・配布管理ソリューションとして機能がまとまっていて、配布、資産情報の自動収集、資産管理という一連の作業がシームレスに行える点を評価しました」と付け加える。

JP1は、自動収集した資産情報をもとに台帳を作成して資産管理業務を効率よく行えるのはもちろん、クライアントPCの構成情報や利用状況をリアルタイムに把握して、必要なソフトウェアや最新のウイルス定義情報を自動配信できる。「管理の手間を軽減しつつ、穴のないセキュリティを実現したい」という安川電機には、もってこいのソリューションであった。

全社でも、各拠点でも、柔軟性の高い資産管理

安川電機では2004年7月から、社内約4,000台のクライアントPCすべてに、JP1の資産・配布管理を適用した。

クライアントPCの使用状況は、インストールされているエージェントが常に監視しており、変更が生じたときにはセンタへ自動的に連絡し、集計結果も更新される。配布したプログラムがきちんとインストールされているかどうかはもちろん、PCに入れられた未知のプログラムなども即座にチェックできるのだ。

管理画面は階層分けが可能だ。したがって、支社や工場の担当者には担当範囲の情報のみを表示させ、本社センタでは全社の状況を見ている。特に管理したい項目があるときには、その工場だけ表示項目を追加するなど、画面カスタマイズは個別にできる。

構成情報やハードディスクの空き容量などを、必要時にはリアルタイムに把握できるので、プログラムの配布とインストールはスムーズだ。4,000台へのインストールの成否結果は、センタの管理画面を見れば一目瞭然である。

拠点ごとに中継サーバを設置して段階的な配布を行っているが、中継サーバに専用のハードウェアを用意しなくて済むのもうれしいところだ。既存サーバの空きスペースを利用することで、ハードウェア台数がいたずらに増えるのを防ぐことができる。
「原則としてスケジュール設定しておき、決まった日時に一斉に配布とインストールを実行しています。容量の大きいファイルは分割転送してネットワーク負荷を軽減するなど、便利な機能も臨機応変に活用しています」と阿南氏は言う。

資産管理をグループ会社に拡大 合計12社約6,000台を一元管理へ

ネットワーク管理者も利用者も、プログラムの配布やダウンロード・インストールのわずらわしい作業の負担は大幅に軽減された。時間のロスをなくして、穴のないセキュリティを行き渡らせることに成功したのである。

このメリットをグループ全体に拡大するための作業も進んでいる。最終的には、全国12社で約6,000台のPCに導入し、管理は本社センタで一括して行う予定だ。

今後は、すべてのPCにグループ内で一意のナンバーを振って詳細な資産管理を行い、さらにリース管理やソフトウェアのバージョン管理などに範囲を拡大していきたいと考えている。またモバイルPCなどをネットワークに接続する際に、その構成情報をチェックして、ポリシーを満たしていないものは接続を不許可にする「検疫システム」の構築も予定している。

JP1の最新リビジョンでは、PCの操作履歴を自動記録する機能や、ポリシーで禁止している操作をするとユーザーに警告する機能などが加わった。

「セキュリティは、社外からの脅威に備えるものから、利用状況をトレース(追跡)できる体制の確立へと、重心が移ってきています。JP1のリビジョンアップに伴い強化された機能も、積極的に活用していきたい」と阿南氏は語る。

安川電機はいま、会社始まって以来の増収増益が続いている。これは「Win21プラス」という中期経営計画を掲げ、グループ企業が一体になって取り組んできた結果でもある。波に乗っている今だからこそ、ウイルスに感染してネットワークが停止したら大変な損害につながる。JP1の資産・配布管理ソリューションは、安川電機およびグループ各社のさらなる事業の拡大をしっかりと支えているのである。

安川電機 資産・配布管理システム概要
安川電機 資産・配布管理システム概要

USER PROFILE (2005年3月20日現在)

モートマンセンタの外観写真
ロボット工場「モートマンセンタ」

株式会社安川電機

[本社] 福岡県北九州市八幡西区黒埼城石2-1
[設立] 1915年7月16日
[資本金] 155億4100万円
[従業員数] (単独)2,818名 (連結)7,620名


サーボモーターやインバーターなどのモーションコントロール製品、 および産業用ロボットの製造で世界に知られる電機メーカー

特記事項

  • この記事は、「日経コンピュータ」2005年9月5日号に掲載されたものです。
  • このページに記載されている会社名、製品名は、各社の商標もしくは登録商標です。
Adobe Readerのダウンロード
PDF形式のファイルをご覧になるには、Adobe Systems Incorporated (アドビシステムズ社)のAdobe® Reader®が必要です。