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 ここに金庫の鍵があり、金庫の中にはパソコンがあり、パソコンの中には基板があり、基板はソフトウェアを実行していて、ソフトウェアの中にはみどるさんがいて、そのみどるさんの一人は怪盗で、今夜十時に金庫を頂きに参上すると予告状を送付していて、金庫の回りには数多くの警官が配備されていて、水も漏らさぬ構えでいて、名探偵が警部と一緒に現れて、警部は「みどるさんめ、今度こそ逃がしはしないぞ」と言い、名探偵は「はっはっは」と笑い、警部は「そんな態度では困ります」と眉をしかめて、名探偵は「もし僕が変装した犯人だったらどうしますか」と言い、警部は「あなたが犯人だったとしたらわたしが犯人だとしてもおかしくはないわけです」と言い、名探偵はちょっとびっくりした顔つきで「それもそうですな」と言い「いえ二人とも犯人ということもありえるでしょう」と言い出して、「その場合、どちらがどちらを捕まえることになるのでしょう」と警部が困ったように言い「そういうことにはならないでしょう」と名探偵が言ったところで、部屋中の電気が消えて真っ暗になり、警部が「どうした」と叫んだところで、それまで金庫だったものの外側がめりめりと音を立てて裂けていき「はははは、今まで金庫に見えていたこのわたしこそが怪盗だったのだよ」と宣言し、「なんと」と息を呑んだ警部の横で名探偵がくすくすと笑いはじめて、顎の下に右手をかけると顔の皮を一気に上へ引き上げ、その下からは黒くて固くて冷たく平たい金庫の表面が現れてきて「こんなこともあろうかと、わたしは名探偵のふりをしていたのだ」とかなり意味のわからないことを言い出し、警部は面食らった顔つきのまま「するとわたしが、名探偵ということになるのでしょうか」と呟きながら、自分の皮を引っ張ってみるのだけれど警部はやはり警部のままで、名探偵のふりをしていた金庫は「なにをやっているんだ警部、早く怪盗を捕まえるのだ」と声を励まし、我に返った警部が暗闇を一歩前に進むと、怪盗はくるりと身を翻して「この怪盗もまた仮の姿」と言い終えてマントをはずすとそこに立っているのは警部と瓜二つのこれも警部で、警部は二人に増えてしまって、ここで金庫が「はははは」と高笑いをはじめ、自分で器用に扉を開けて金庫の姿を脱ぎ捨てると、そこにはパソコンを抱えた怪盗の姿があり、その怪盗はみどるさんの一体で、普段はソフトウェアの実行を手伝っていて、ソフトウェアは基板の上を走り回って、基板はパソコンの中に据えられていて、パソコンは金庫の中にあり、二人の警部は「しまった」と叫び、怪盗は見事、このお話を書いているパソコンを盗み出して窓の外に跳び出していき、でも着地したのは真っ暗な部屋でそれはどうも金庫の中で、外側から「落ち着きたまえ、名探偵はわたしだったのだ」ともう一人の警部に告げる一人の警部の声がして、鍵穴に何かが差し込まれる音が響いて、その手に握られているのがこの金庫の鍵。

クイズに答えて、みどるちゃんグッズをもらおう!


※商品画像はイメージです。

中間小説の隠しテーマを探せ!―この小説のお題はなんでしょう?

この中間小説は、実は事前に設定されたある「お題」に基づいて書かれています。
お題は毎回かならず変わります。
お題は毎回かならず「る」で終わる動詞です。
たとえば、第8回『**な草をあなたに』のお題は「忘れる」。
第7回『みどらみどりみどれみどろ』のお題は「見破る」。

さて、ここで問題です。

今回の『王国の鍵』に設定されたお題は何でしょうか?
いつものように、「〜〜る」で終わる動詞です。

SF的な宇宙で安全に暮らすっていうこと

SF的な宇宙で安全に暮らすっていうこと
応募方法:タイトル下の「ツイート」ボタンからツイートしてください。
(Facebookでの投稿は受け付けておりません)

応募締め切り:2014年10月14日

結果発表:2014年10月15日に、作者である円城塔さん(@enjoetoh)がTwitterでつぶやきます。

応募者の中から抽選で5名様に『SF的な宇宙で安全に暮らすっていうこと』」(円城塔さん直筆サイン入り)を、また、20名様に、「みどるちゃん手ぬぐい」もしくは「みどるちゃん付箋紙」をプレゼントいたします。
(当選者には、Twitterのアカウント宛てに担当者よりご連絡させていただきます)

みなさんのご応募、お待ちしております!