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みどるな市議会議員 これからの“コミュニティ”のあり方 文:西村 佳哲

まわりが「すごい」

開催中の瀬戸内国際芸術祭 2013と同時期に、岡山で森山さんたちが開催した「瀬戸際世界芸術祭」は、障がい福祉をめぐるバリアーを、アートの表現力をつかって越境する人々が集ったワンデイ・イベント。選挙ポスターの写真は以下のURLより転載。
開催中の瀬戸内国際芸術祭 2013と同時期に、岡山で森山さんたちが開催した「瀬戸際世界芸術祭」は、障がい福祉をめぐるバリアーを、アートの表現力をつかって越境する人々が集ったワンデイ・イベント。選挙ポスターの写真は以下のURLより転載。
開催中の瀬戸内国際芸術祭 2013と同時期に、岡山で森山さんたちが開催した「瀬戸際世界芸術祭」は、障がい福祉をめぐるバリアーを、アートの表現力をつかって越境する人々が集ったワンデイ・イベント。選挙ポスターの写真は以下のURLより転載。
開催中の瀬戸内国際芸術祭 2013と同時期に、岡山で森山さんたちが開催した「瀬戸際世界芸術祭」は、障がい福祉をめぐるバリアーを、アートの表現力をつかって越境する人々が集ったワンデイ・イベント。選挙ポスターの写真は以下のURLより転載。
http://photozou.jp/photo/show/1276530/
74400591

森山 でも選挙はみんなでやるものです。同世代の商店主で集まって一人ずつ語り、「やろうぜ」と団結出来たから出ることにした。話を持ってきた人の条件は、民主党の看板で出ることと、あと彼の地区から出てくれと。僕は岡山生まれ、広島育ちで、いまはこのまちに住んでいるけど、いずれにせよ別の地区なので落下傘候補。最終的に判断したのは1月でしたから、まともに選挙活動をやれるのは2ヶ月間。まず勝つはずないけれど、これを一所懸命やることには意義があるよねと話し合って始めた。

 けど、店を介してつながっていた仲間たちの全員が全員、両手を挙げて賛成ではなかったんです。それは後からはっきりしていった。「なんでお前のとこのオーナーは政治に行くんだ?」とか「魂を売ったな」とか。あるいは「森山は好きだけど民主党は嫌いだ」というようなことを、結構近しい人たちから急に言われるようになって。

 政党の枠組みで選挙に出たのは、ある意味、流れにすぎなかったのに。さらに自分にならまだしも店のスタッフが浴びせられることが多く、彼らもしんどかった。お客さんもリアルに減り。それでも頑張っていたのだけど、3・11の震災が起きて立ち止まらざるを得なくなって。一度は「もう、選挙いいわ」とも思いました。でもそのとき、つながりのある店を訪ねて回る機会が個人的にあって、やっぱり自分たちのように日々店に立っている人間が、自信を持ってまちにかかわり、そこを面白くしていかないといけないと思えるようになって、つづけられた。

 けど本当にしんどかったんです。ちなみに民主党からは去年の夏に離党して無所属になりました。身近なコアメンバーはそれですごくテンションが上がった。僕らが選挙に出たきっかけは、あくまで声をかけてくれた国会議員さんです。彼にはとても大きな恩を感じている。特定政党の活動としてやってゆく意識ではなかった。でも、その政党に対する人々の評価や好き嫌いが思いのほか激しくて、自分たちにはどうにもしようがないところで難しさが生じていて、それぞれ胸のうちに抑えていたものがあったのだと思う。

 とはいえ、当選してからの約2年間は、自分自身の体調はボロボロでした。いろいろ動き回りながらも、尿管結石で救急車で運ばれ、尋常性乾癬という何万人に一人の確率の皮膚病を患い、首の椎間板ヘルニアになって眠ることも出来ず。医者に診てもらっても全て原因不明。でもこの半年は、やっと手応えが感じられるようになってきた。病状も自然に回復して、「なんかくぐった」感があります。すごくいい感じで、やり甲斐もしっかり持てている。

──この半年間の具体的な違いは?

森山 「そういうことがやりたかったんだね」「だったら俺ももっとかかわりたい」と言ってくる親しい人が、今年に入ってすごく増えてきた。まちの店の経営者、デザインの仕事をしているグループ、演劇分野の人たち。最近だと特別支援学級の保護者の人たちからの引き合いがすごく増えているのだけど、話を聞きたいとか聞いて欲しいとか。単純に言えば求めてくれるというか。面識のない人もお店に来て珈琲を飲みながら、「どうすれば公園を使ってフリーマーケットができるんだろう?」と話しかけてきたり。

──森山さんという「橋」を渡る人が、増えてきている。

森山 そうなってもらえたら嬉しい。でも議員ってそれが仕事だと思う。個人では行政に取り合ってもらえないことが多々あると思うんです。もちろんなんでもOKではないけれど、間に立ってつなげてゆくのが議員のあるべき姿だなと思います。

──それが、自分にも合っている?

森山 そうですね。合っているのかなあ…。もちろん最初の旗は自分が立てます。そうしないと見えない。けど、始まったら後は任せてしまうパターンが多いか。お店もそうで、最初は「もう俺は一生これをやる!」ようなつもりで一所懸命向き合っているのだけど、全部自分でやってしまいたいとは思えない人なんです。

 お店で出した珈琲を「不味い」と言われたことがあるんです。それはそうで、近くのスーパーで買った豆をただコーヒーメーカーで淹れていた。その人が、「ペーパードリップでこう淹れるんだよ」と教えてくれて「わかりました」と。洋服屋をしていたときもTシャツのたたみ方はお客さんから教わった。段ボールを入れてたたんで、最後にスッと抜くんですって。

 なんかこう、みんなが教えてくれるんですよね。「中身がない」と言ったらそれまでだけど、僕は本当に結構そういう感じなんです。まず見切り発車をして、するとそこにいろんな人が来る。中には本当に実力のある人たちがいて、彼らに応えてゆくのが自分も面白いし、そうやって珈琲を淹れると本当に美味しい。そんなふうに、いまに至っている。ありきたりな言葉だけど、人にすごく恵まれていると思っています。仕事もしていないようなヤツから、一流企業の人材まで、すごく幅広い人に来てもらっていて。

 その中で自分は、何が面白いんだろう…。洋服屋だったときも、服が売れることより、そこに人が来て話をして、それがイベントになったり、どんどん発想して形にしてゆくのがすごく面白いなと思っていて。

──「やりたいことを実現してゆく」のとは、少し違う?

森山 もちろん自分が沸き立たなければ出来ない。原動力はそこにしかないのだけど、存在としては受け皿というか花瓶のようなもので、いろんな草花を挿して欲しいというか。かかわってくる人がいないと僕もまったく機能出来ない。そんな意識はずっとあります。

 そういう意味では、政治家は究極的に向いているのかもしれない。天職かも。いま話しながら思ったんですけど。議員というと、前に出たがる人が多かったり、喋り始めると長い人が少なくない。そういうところが人々を政治から遠ざけてしまっている部分はあるんじゃないかな。少なくとも自分は違う。森山幸治を支援するというより、そのまわりにいろんな人が来て、すごく輝いて活動している人がいて互いに「すごいな」と共感している。そんなシーンが、もっと広がってゆくといいと思っているんですよね。

この“縁”を自覚して

2014年5月末に、森山さんが経営するカフェ「城下公会堂」で開催された「モリヤマギグズ」。特にお題を決めず「これからのマチナカのことを喋ろう」という気軽な場づくりのリハーサル。市政とマチナカの住民たちを、自分たちの感覚を損なわずにつなぐ回路を、いろいろな形で試みている。
2014年5月末に、森山さんが経営するカフェ「城下公会堂」で開催された「モリヤマギグズ」。特にお題を決めず「これからのマチナカのことを喋ろう」という気軽な場づくりのリハーサル。市政とマチナカの住民たちを、自分たちの感覚を損なわずにつなぐ回路を、いろいろな形で試みている。
2014年5月末に、森山さんが経営するカフェ「城下公会堂」で開催された「モリヤマギグズ」。特にお題を決めず「これからのマチナカのことを喋ろう」という気軽な場づくりのリハーサル。市政とマチナカの住民たちを、自分たちの感覚を損なわずにつなぐ回路を、いろいろな形で試みている。

──嬉しそう。2期目も当選するといいですね。

森山 まだ生まれたばかりのよちよち歩きだけど、やっぱりこの状況を育てていかないと。地縁や血縁に依らない僕らの"趣味とか志向の縁"がいま立ち上がる瞬間でもあると思うから、そういう意味でも負けるわけにはいかないし。

──趣味という言葉を聞いて「そんな無責任な。好き・嫌いくらいのことで政治をしているの?」と思う人もいるかも。

森山 お店で出会った人たちとは地縁も血縁もないけれど、単なる飲み仲間かというとそうではなくて、これは"第3の縁"だと思っているんです。

 たとえば学生時代にうちの店によく来ていて、卒業と同時に東京に行った子が、今月10年ぶりに岡山に帰ってくるんですよ。地元は名古屋なのにここに帰ってきて、就職先もこのまちにすると言う。そういうのは結構あるんです。帰省でもしているように、盆と正月に顔を出しに来る子もいたり。

(──旧来の縁が力を弱め、核家族や会社など昭和期の縁組みもこれまでのようには機能しなくなってゆく中で、「何を大切にして生きているか」という価値観や美意識でつながってゆく縁というのは、確かにあるかも)

森山 僕もここで生まれたわけじゃないし、中心市街地には地元出身ではない住人も少なくない。震災以降、岡山は移住先としての注目も高く、新住民と旧住民がどう折り合ってゆくかという課題もある。そこをつないでゆくのも"第3の縁"だと思うんですよね。

 "趣味や志向の縁"はこれから、ある場面では地縁や血縁を凌ぐほどでなければと思うし、従来の縁と、いいコラボレーションを実現してゆきたい。いまは「まあ友達」くらいの感覚でも「これはすごい縁なんだ!」ということを自覚して、「この土地で生きてゆこう」という覚悟と合わさったとき、地域は本当の意味のコミュニティになってゆくんじゃないかな。そんなふうに思っているんです。

森山幸治 Moriyama Koji

1974年、岡山市生まれ。サウダーヂエンタテインメント(有)代表。岡山市議会議員、無所属。ニューワールドパーティ代表。市民文教委員会副委員長。大学在学中に洋服店を開業。4年後、岡山市北区天神町にカフェバー「サウダーヂな夜」を開業。その他もいくつかの店をつくりながら〈人と人〉〈人と文化〉が出会う場づくりにこだわりながら、音楽イベントや野外ライブを企画。2011年、議員選挙に立候補し2280票を得て当選。発達障害の個性を持つ息子さんとともに、新しい児童福祉へのアプローチも模索している。
モリヤマコウジ http://kojimoriyama.net/

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