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みどるな市議会議員 これからの“コミュニティ”のあり方 文:西村 佳哲

政治家の仕事はなんだろう。

政治をすること? 投票者を代表すること?
人々と政治の現場をつなぐこと?

まちで店を営んできた若いオーナーが、ある流れで市議選に出て、当選し、
4年目のいまどんなことを感じているのか、岡山でお話をうかがってきた。

みどるな市議会議員

 森山幸治さんは岡山市議会議員。39歳。と同時に、市内で数軒のカフェやバーを営む経営者でもある。

 市町村の議員を地元の店主や農家が担うのは珍しくないが、岡山のような人口70万人以上の都市では政党や財界や企業など、なんらかの大きな組織を背景にした人物がつとめる方が一般的だ。しかし彼にそうした後ろ盾はない。

 あるといえば店を介した人々とのつながりで、公務のあと、スタッフが切り盛りするカウンターで一緒に飲物を出している晩もある。兼業禁止規定には抵触しない形をとっているのだろう。DJでもあり、仲間たちと野外フェスティバルや芸術祭のオーガナイズも行っている。ユースカルチャーを背景にした新進の政治家というふうでもない。やり手の青年実業家というふうでもなく、話しかけやすい新任の先生のような風通しの良さが印象に残る。

 彼はいま4年目で、来春は再選をはかる選挙をむかえる。市議会議員は、地域住民と行政のあいだで機能する存在だ。森山さんはその仕事をどう考え、働いているのか? 予定より3時間も長びいたというその日の議会を終えた彼と、店で会い話を聞いた。

若い人たちと政治をつなぐ

森山 僕は大学4年のときに起業して18年間、ただ目の前のことに向き合ってきただけで、政治家を目指していたわけではないのに議員になってしまった。

 自己評価がすごく難しい仕事なんです。お店やイベントはお客さんが何人来たとかそんな形で支持されていることがわかるけれど、極端な話、議員は4年に一度の選挙だけだから「どこまでやればみんな満足するんだろう?」とか「自分も満足できるのか」わからなくて。半年ほど前まで、ずっとしんどかったですね。

──他の議員に受け入れられなかったとか、そういうことも?

森山 いや、そんなことは。僕なんて取るに足らない感じだったんじゃないかな。でも議員になって1年経たない頃、岡山でいちばん読まれている山陽新聞が、30代に焦点をあてたシリーズ記事の第1弾で僕を一面で取り上げてくれたんです。議会でもそこでガラッと評価が変わり「ようわからんけどなんか面白いらしいな」と関心を持たれる、ということはありました(笑)。

 新聞が紹介してくれたのは、最初に取り組んだ「マチナカギカイ(街中議会)」という政策です。これは選挙に出たときから実現したかったもので、岡山市政についてみんなで語り合える場が、もっとまちにあればいいなと。そしてそこで出た意見等を僕が議会へ持っていければと。

 第1回のテーマは「震災瓦礫の広域処理」。カフェを会場に、市内でお店をやっている人、クリエイティブな仕事をしている人、子育てをしている同世代のお母さんなど若い人を中心に集まってもらい、議員さんにも1人来ていただいたかな。「岡山市として瓦礫を受け入れるべきか?」という話を、70人くらいで語り合ったんです。議会は議論の真っ最中で、賛成・反対の是非が問われる日がすぐ後に控えていた。大きな問題ですよね。その後も市の担当職員を交えて「中心市街地の活性化」を語り合ったり、商店街のこと環境のこと、いろんなテーマでつづけています。

 他には「30代の若手議員の討論会」も。政党の枠組みを越えて、若手議員が一堂に会して話す機会は過去に例がなかったらしい。

 去年の秋は市長選にむけて「岡山市長選の討論会」を開きました。4名の全候補と、あとクラブの経営者やNPOで働いている女の子、大学の先生など、まちで活動している人にも一緒にテーブルについてもらい、候補者全員の話を目の前で聞ける機会をつくった。「僕らのような若い層にも政策を訴えて欲しいし、とにかく投票率を上げたい」と口説いて回って。そういうのを市議会議員が仕掛けるのはレアケースというか、ほぼないんじゃないかな。

 こういう場が、僕たちのような感性で開かれる機会があるといいと思ったし。フライヤーも洒落た感じでデザインして、150人くらいの人々がホールに集まって一緒に話を聞きました。

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