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 ちっちゃな雲を踏みしめて、今日もみどるさんが飛んでいきます。小さいながらもこの雲は一跳び十万八千里、つまり光速の十パーセントくらいの速度が出ます。

  何故きっかり光速ではないかというと、その雲に乗っている間、みどるさんは細かな計算をたくさんしなければいけないからです。自分の位置とか、現在の雲の速度とか、風向きとか天候とか今晩の献立だとか、色んなものを必死に計算し続けなければいけないのです。さぼると雲から落っこちますし、他に計算してくれる人もいないのです。

  いや本当は、そういう面倒な仕事をやってくれる人はいるのです。決まりきったお仕事ですから、外注だってしやすいのです。問題なのは、そんな仕事を引き受けたのがみどるさん本人だというところです。面倒をささっと片づけてくれる人はいるのでしたが、それは自分自身なのでした。

  つまり、みどるさんは自分で自分を手伝っているわけなので、手伝ってもらっているから楽なのですが、手伝わなければいけないのでつらいのでした。

  でも世の中とはそういうものだとみどるさんは思います。楽なだけでは、誰かがつらいだけになるでしょうから。そうして雲を飛ばしつつ、楽あれば苦あり、楽あれば苦ありと唱えるのです。みどるさんの機能では、それくらいを考えるのがせいぜいなのです。

  「そんなことはないのである」

  あるときみどるさんは考えました。やっぱり自分で自分を手伝うのはなにか変ではないかしらん。

  どこか空のあっちのほうから「ち」と舌打ちが響き、「気づきゃあがった」という声が聞こえたような気もしたのです。

  タスクの配達に使う雲を踏みしめ、みどるさんは霊鷲山雷音寺にあるボスの別荘まで出向いたのです。

  「よろしい」と機械如来は不承不承に言いました。

  「お前がわたしの手から飛びだすことができたなら、お前の仕事を肩代わりするみどるみどるさんを書いてやろう」

  そんなことなどたやすい仕事、とみどるさんは雲に乗ります。どんどんずんずん世界の果てへ進んでいくと、そこにはシリコン色をした五本の柱が立っていました。

  「ここまで来れば機械如来も文句はあるまい。どれこの根元に証拠の落書きでも残していこう」みどるさんはそう言うと、一本の柱の根元に「みどる」と小さくサインをしました。

  さてこれからどこへ行こう。みどるさんは考えました。いっそこの柱の向こうへ行ってみるのはどうだろう。

  こうしてハードウェアの外へ出たみどるさんがすったもんだの末、西方へとアプリケーションを取得に向かうプログラマのお供になるお話に興味のある人は、「続きを読む」を是非クリック。と言いたいところなのですが、その機能の一部を実現していたのは、まさにこのみどるさんなので今はリンクが働きません。