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サーバ仮想化が普及した今、さらなるコスト削減や運用効率の向上のために注目されているのがストレージの仮想化だ。日立はストレージの監視や運用を自動化し、ボリューム追加などの作業を簡単・迅速に行うストレージ管理ソフト「HitachiCommand Suite 7」を提供。ストレージシステム全体の最適化を支援している。

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コスト削減を背景に
定着してきた仮想化技術

青木 誠の写真
株式会社 日立製作所
ソフトウェア事業部
ストレージ管理ソフト販売推進センタ
主任技師
青木 誠

 サブプライムローンに端を発するリーマン・ショック以降、企業は世界的な不況を乗り切るためにあらゆる部門でコストカットを押し進めてきた。不況はIT関連市場にも強く影響し、2008年から2009年にかけての市場の成長率は大幅に落ち込んだ。このため新規投資はもちろん、運用保守のコストなども大幅に抑制されている。

 こうした背景から、既存の物理サーバを集約してITコストを削減できる仮想化技術が注目され、現在では多くの企業がこの手法を取り入れ普及が進んでいる。

 実は仮想化技術の利用はITコストの削減だけでなく、各種ITリソースの柔軟かつ迅速な配備をも可能にする。これによりビジネス状況の急激な変化にも対応できるIT環境が実現できるため、仮想化を取り入れることは企業にとって多くのメリットがあるといえるだろう。以前は大企業を中心とする採用が多かったが、最近では中堅・中小企業においても仮想化技術の利用が定着してきている。

 2010年〜201年は景気の底打ちをきっかけに状況は改善傾向にあり、ビジネスの拡大がより加速すると見ている企業も多い。

プライベートクラウドに必要な
柔軟なインフラの実現

 このようなビジネス拡張に対応するために、現在はプライベートクラウドへの関心が高まっている。ユーザーに合わせてサービスをカスタマイズし、ネットワーク経由で提供するクラウドコンピューティングを企業内で構築するプライベートクラウドは、その運用のために柔軟なインフラが必要となる。

 日立製作所 ストレージ管理ソフト販売推進センタの主任技師である青木誠は「インフラの柔軟性を考える上では、少ないリソースで開始できるかや、ビジネス状況の変化に対応して素早い拡張が行えるかどうかといったことが評価するポイントになります」と話す。

 日立では、こうしたプライベートクラウド構築および運用を着実に進めるべくリソースを管理するソリューションを提供している。サーバについては「JP1/IT Resource Management」により、効率的な運用を支援する。

 そして今日、特に重要性が増しているのがストレージだ。ビジネスの発展に応じて、利用するビジネスデータも増え続けていくが、これを格納するストレージ容量も増加。このため、ストレージの効率的な使用を実現するストレージ仮想化が注目されている。

 サーバの仮想化にストレージの仮想化を組み合わせることで、より柔軟なITインフラが実現されるが、このインフラをさらに効率的に活用するためにはサーバ・ストレージ双方の仮想環境を統合的に管理することが鍵となる。青木は、「ストレージの仮想化によりストレージを効率的に使用するためには、サーバの仮想化と同様に仮想環境の使用傾向に応じた必要最小限の物理ストレージの増強がポイントになります。このため、このようなストレージの運用をナビゲートする『Hitachi CommandSuite 7(以下、HCS7)』の導入が有効です」と話す(図1)。

 ストレージ管理ソフトウェアであるHCS7は、データセンタ内のストレージ資源の一元管理や、頻発する構成変更にも簡単かつ迅速に対応できるインターフェースを持っているほか、何より業務サービスレベルの維持や仮想化環境の最適活用を可能とすることを目的にエンハンスが行われてきた。

図1 JP1/IT Resource Managementによるリソースプール管理

ストレージ仮想化の技術
その概要と特徴

 そもそもストレージの仮想化とはどのような技術なのだろうか。青木はストレージ仮想化の技術の最も重要な特徴は2つあると説明する

 「1つ目は『ボリューム容量の仮想化』です。従来はOSが認識するボリュームと、ストレージの実ボリュームは直接的に対応する関係でした。しかし仮想化を行って複数の実ボリュームを『ボリュームプール』として統合し、ボリュームプールから仮想ボリュームとして各サーバに認識させることで、設定されているトータルのボリュームよりも少ない実ボリュームでの運用が可能になります(図2)。従って初期投資を抑えることができ、コストの削減につながります。もちろん、データやコンテンツの増加に伴って物理ディスクの増設、すなわち実ボリュームを増やすこともできます。

 2つ目の特徴は2010年9月に発表した新ストレージ「Hitachi VirtualStorage Platform(VSP)」の新機能である『ストレージ階層の仮想化』です。この機能は、1つ目のボリューム容量の仮想化で紹介したボリュームプールに高速なSSD(※1)ディスクや低速のSATA(※2)ディスクを混在して登録し、データのアクセス頻度に応じてそのデータを適切なディスクへ自動的に移動する機能です」

 続いては、ストレージ仮想化の管理のポイントと、管理の簡易化および効率化を実現するHCS7 の機能を具体的に紹介する。

※1 SSD:Solid State Drive
※2 SATA:Serial Advanced Technology Attachment

図2 仮想ストレージ環境とは

HCS7 によって容易になる
性能・容量の長期トレンドの把握

 ストレージ仮想化を管理運用する上で重要なポイントが、性能と容量の把握だ。市場の変化に合わせたビジネスの拡張に対応すべく、IT環境もダイナミックに変化しており、多くの企業でデータ量やアクセス量は増加している。これに対し、どのようなペースで実ボリュームを追加していけば投資を最適化できるかを知ることが必要だ。リソースの許容量に使用量が近づいた時、将来の使用量を適切に見積もり、必要最小限の増設をすることで投資の最適化を実現できるのだ。

 容量・性能を管理する上でのポイントとして青木は、「ビジネスの状況に応じて拡張される仮想環境では、仮想と物理両方の稼働統計(使用量・アクセス量)を定期的、かつ長期的に取得することがポイントとなります。短期間の監視では、例えば期首・期末の範囲と平常時では大きく異なるため、増設計画において的確な見積もりができません。このため、年単位での把握がキーとなります。このように定期的な情報取得を長期にわたり実施する場合には自動化が不可欠であり、これを実現するのがHCS7です」と説明する。

 計画的な投資を行うには年単位でのストレージの利用状況を把握するなど、長期トレンドを基にして未来予測を立てることが大切だ。「稼働統計は、定期的かつ長期に採取することが重要です。このため、異常な状態になってから取得するのではなく、今から取得することが大切です」(青木)。

 HCS7ではこうした利用状況をGUI上で確認できるため、蓄積された情報を分析し、長期トレンドを容易に把握できる。また、ストレージ環境を俯瞰して把握することが可能な「ダッシュボード」の画面では、データセンタ全体のストレージ利用状況を把握できるほか、容量を多く利用しているサーバを確認するといったこともできる(図3)。

図3 機種・環境に依存しない一元的なストレージ管理

わずか3ステップで完了できる
ボリュームの割り当て作業

 ストレージ仮想化環境を管理する上での重要なもう1つのポイントは、管理操作が容易であることだ。

 迅速で正確な仮想化ストレージの運用を支援するHCS7ならば、運用操作の作業が簡易化できる。原則として必要最小限の3ステップの操作で設定が完了する。例えば、Windows 環境で、D、E ドライブとしてそれぞれに100Gバイトを割り当てる場合、次の3点を指定する。(1)ボリュームを使用するサーバ(ホスト)を選び、(2)必要なボリューム数、(3)必要容量の指定となる。

 割り当ての作業以外にも、プール作成やボリューム作成、レプリケーション管理などの作業がGUI画面で「よく使うタスク」から選択することで操作できる。ストレージの配備や運用が非常に簡易化されているHCS7を利用することで、IT管理者のトレーニングなどのコスト削減と、業務遂行の迅速化や人為的ミスの減少へとつながる。

システム構成を把握できるので
ボトルネックの解消も迅速

 HCS7ではストレージ使用量やアクセス量などが、あらかじめ設定した業務サービスレベルの維持のために許容可能なしきい値に達した場合、アラートを受け取ることができる。

 ボトルネックなどへの対処も、構成が複雑化するにつれて困難になりがちだが、「システム構成における相関関係を把握し、全体を俯瞰して監視することがボトルネックの解決では重要です。例えば、VMwareの環境では、どのVM、どのアプリケーションからどのストレージにI/Oが来ているかをビジュアル化された画面で容易に確認できます」(青木)。

 この「見える化」によって、例えば仮想マシン1でスローダウンが起こり、その原因を調べる場合、VM がマッピングされている仮想ボリュームはどれで、その稼働率はどうかということが分かる。HCS7では、GUI上でサーバからストレージへと、原因を究明するドリルダウンが可能なほか、ストレージで問題が発生した場合にその影響範囲のサーバはどれか、というドリルアップでの調査が可能だ(図4)。

 「またHCS7には、問題発生時に可能性のある要因のうち、優先的に調べるべきサーバからストレージまでの勘所を日立のノウハウにもとづいて要約しています」(青木)

 その際、GUI上ではサーバ側のレスポンスタイムとストレージのレスポンスタイムを時系列で表示できる。それらを確認し、問題箇所を切り分けて探っていくことが可能だ。例えばサーバとストレージ両方のレスポンスタイムが悪い場合はストレージに問題がある可能性が高く、サーバのレスポンスタイムのみが悪化している場合にはストレージは平常である場合が多い。このように、時系列に沿ってキーとなるポイントを一覧表示することで、原因究明を迅速に行うことができるのだ。

 この方法は仮想マシンを追加する際にもリソースに余裕がある環境を見つけ出すのに役立つ。仮想化されたサーバ全体の運用は「JP1/PerformanceManagement(JP1/PFM)」で管理しているユーザーが多いが、HCS7はJP1/PFMと密に連携しており、同じような画面で管理できるので扱いやすい。このように、HCS7とJP1/PFMによってサーバ仮想化とストレージ仮想化を統合的に行えるのである。

 今後は企業ITシステムのプライベートクラウド化がさらに進むと予想され、その運用管理はより適切かつ効率的に執り行うことが求められる。こうしたことから仮想化によってサーバ環境が最適化された今、さらなる効率改善のアプローチとしてストレージ環境の最適化を視野に入れているユーザーは多い。「日立は多数のユーザー企業さまにご利用いただいているJP1、またこのJP1と親和性の高いHCS7を通じて、お客さまの仮想環境をサーバからストレージまでトータルに支援していきます」と青木は語る。

図4 仮想化環境におけるJP1/Performance ManagementとHitachi Command Suite 7の連携