本文へジャンプ

ミドルウェア

uVALUE 実業×IT

Hitachi

地球温暖化問題への対策が急務の課題となるなか、世界中のITベンダーがサーバやストレージを中心としたハードウェアの省電力化を進めている。だがIT需要の拡大に伴い増え続けるデータセンターでは、設備機器の消費電力も膨大だ。この課題に対し日立は、IT機器のCO2排出量削減をめざす「Harmonious Green プラン」と、データセンター全体の消費電力半減を掲げる「CoolCenter50」によって立ち向かう。さらに、ミドルウェアやソリューションとの連携で、より広範なグリーンITへの対応にもチャレンジしている。グリーンITに対する日立の取り組みを、日立製作所 情報・通信グループ 経営戦略室 事業戦略本部 担当本部長の香田克也に聞いた。

機器の統合と仮想化による熱問題の解決からスタート

香田 克也の写真
香田 克也
Katsuya Koda
日立製作所
情報・通信グループ
経営戦略室 事業戦略本部
担当本部長

――IT関連のエネルギー効率向上によって地球環境保護をめざす「グリーンIT」が注目を浴びています。これに対し日立は、どのような取り組みを行っているのでしょうか。

香田 大きく2つのプロジェクトが進行しています。1つは、日立が提供するサーバやストレージ、ネットワーク機器などの主要IT製品に対し、運用、装置、部品という3つのレベルでの省電力技術を開発していく「Harmonious Green(ハーモニアス・グリーン)プラン」です。この分野では5年間にCO2の排出量を33万トン削減するロードマップを策定しました。これは東京23区の約1.2倍の森林面積に相当する量です。

そしてHarmonious Greenプランの成果を適用し、5年後にデータセンターの消費電力量を最大50%削減しようとする取り組みが、データセンター省電力化プロジェクト「CoolCenter(クールセンター)50」です。ここではIT機器だけでなく、空調機や電源、変圧器、ビル管理なども含め、データセンターを形成する際に不可欠な周辺機器、設備環境の最適化も進めていきます(図1)。

日立は、IT機器と設備の双方に技術とノウハウを持ち、トータルに提供できる世界でも有数のITベンダーです。

図1■グリーンITへの日立の取り組み
画像を拡大する

――まさにグループの総力を挙げた取り組みになるということですね。ではまず、Harmonious Greenプランの具体的な内容について教えてください。

香田 実はこの省電力化プラン、グリーンITというキーワードが広まる以前から、日立のサービスプラットフォームコンセプト「Harmonious Computing(ハーモニアス・コンピューティング)」の中で取り組んできた省電力化技術開発がベースになっています。

Harmonious Computingは、お客さまの経営環境が変化しても、複雑なITシステムの構成や運用管理に煩わされることなく、安心してコア業務に集中していただけるIT環境の実現をめざしています。そこではサーバ、ストレージ、ネットワーク機器の「統合」と、プラットフォーム全体の「仮想化」を進めてきました。

ITリソースの利用率向上と、運用管理の負荷低減を図るための統合や仮想化により、サーバやストレージ、ネットワーク機器といったIT機器の密度を上げていくと、必然的に熱問題が発生してきます。大量のIT機器を限られたスペースと電源量で運用しなければならないデータセンターなどが、まさにその顕著な例です。その熱問題を解消するには省電力化技術の開発が不可欠です。そのため、Harmonious Computingの中でもさまざまな省電力化対応を図ってきました。そして今回、日立独自の仮想化技術や冷却技術、半導体の省電力化技術などにより、部品、装置そのものの省電力化を一段と進展させながら、システム全体として効率のよい運用技術の開発に取り組んでいこうというHarmonious Greenプランへとつながっていったのです(図2)。

図2■Harmonious Computingの進展

運用レベルでこそ、最大の省電力効果が期待できる

――部品、装置、運用という3つのレベルからアプローチしていくわけですね。

香田 部品レベルでは、電源モジュールやLSI、HDDの省電力化を重点的に進めます。装置レベルでは、ハードディスクの回転を制御するMAID(Massive Array of Idle Disks)技術やテープ媒体の活用、高効率回路による電源損失の削減、CPUの効率的な冷却技術などに力を入れていきます。特にこの冷却技術では、日立がスーパーコンピュータで培ってきたヒートシンク方式をオープンサーバにも適用していきます。ヒートシンク内部の空洞で気化・液化を繰り返し、熱を効率よく運び出すという手法です。この方式により、熱抵抗を40%改善し、消費電力を60%削減することができると考えています。近い将来には、同じく気化熱を利用した新方式の冷却技術によって熱抵抗を70%改善し、消費電力を最大80%削減する目標を立てています。

――非常に大きな効果が期待できそうですね。それにしてもスーパーコンピュータの技術をオープンサーバに適用するというのは、日立ならではのアプローチですね。

香田 スーパーコンピュータに限らず、メインフレームで培ってきた冷却技術や省電力技術も新たに練り直し、オープンサーバに適用していくプロジェクトが現在進行中です。

また、部品や装置以上に、最も大きな省電力効果が期待できるのが運用レベルです。ここでベースとなるのが仮想化技術と運用管理技術ですが、仮想化によってさまざまなIT機器を均一なリソースに見せながら、その電力量を監視し、電力制御を自動化し、使用リソースを最適化するという方向で消費電力の削減を図っていきます。

――運用で、大きな省電力効果が期待できるのはなぜですか。

香田 運用レベルにおいて、使わない機器の電源が切れるからです。これがまさに究極の省電力です。例えば昼間は4枚のブレードサーバで業務を実行している。夜間は処理量が減るので2枚のブレード上の仮想化環境で間に合う。そうなれば、夜間は業務を一方の2枚に片寄せし、残り2枚の電源が止められます。ス

――常にミニマムな電力量で、最適なシステム運用が行えるようになるわけですね。

香田 ただし、サーバの負荷状況の変動を判断し、いかに効率よく電源を切れるかは、言葉で言うほど簡単な作業ではありません。ビジネスが進行中なのに、必要な部分の電源を誤って切ってしまえば、それは“事故”になってしまいます。それだけに、長年にわたって多くの企業情報システムを支えてきたJP1のモニタリングや制御技術の信頼性、サービス品質を維持するノウハウに、これからも大きな期待が寄せられているのです。

2ページ中1ページ