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Hitachi

日立HCIソリューション

第1回:急速に普及するHCIとその将来展望

HCIの急速な普及が続く

  HCI(ハイパーコンバージドインフラ)は、ソフトウェアを用いてコンピュートとストレージの機能を高度に仮想化し、集約したソリューションである。仮想化の進展に伴って、仮想マシンやストレージの管理の複雑化に伴う管理工数の増加や、パフォーマンスやストレージ容量の不足などの課題が顕在化している。HCIはこうした課題を解決するソリューションとして国内において急速な普及が続いている。IDCの調査では国内ハイパーコンバージドシステム市場は、2016年、2017年の2年連続で前年の2倍近くに支出額が増加しており、ここ数年で市場規模が急速に拡大した。2018年の支出額は250億円を超え、前年成長率は62.5%となる見込みであり、急成長が続いている。

  IDCが2018年に実施したHCIの利用動向調査において、回答総数726人のうち、HCIを利用中または計画/検討中の回答者608人に対しHCIの利用理由を聞いたところ、運用管理コストの削減がトップであった。ハードウェアコストの削減、安定稼働の実現、パフォーマンスの向上が続いた。このほか、スモールスタートへの対応や拡張性の高さ、迅速な導入の実現なども利用理由として挙げられている。2015年以降にIDCが実施したHCIの利用動向調査において、HCIの利用理由として運用管理コストの削減は常に上位となっており、HCIの利用理由として定着したと言える。そして、仮想化環境における管理工数の増加や、パフォーマンスやストレージ容量不足といった課題を解決するためにHCIを導入するだけではなく、小規模な導入やリソースのニーズに応じた小刻みな拡張を迅速に実現するといったITインフラの柔軟性の向上というHCIの導入メリットも浸透しているとIDCはみている。

  また、同調査の回答者726人のうち、HCIを利用中とした回答者は20%を超えており、アーリーマジョリティへの普及が進んでいると言える。今後、HCIの利用を計画/検討中とした回答者は60%を超えており、今後の利用意向も高い水準にある。また、ITインフラの導入や更改の検討に当たっては、いわゆる「3 Tier」と呼ばれる従来型のアーキテクチャ(サーバー、外付型ストレージシステム、ストレージネットワーキングの組み合せ)に加えて、HCIも検討対象とするケースが一般化しているとの意見が多く聞かれるようになるなど、HCIはもはや特別な製品ではなく、仮想化環境向けのITインフラの選択肢として一般的なものとなったと言えよう。

  IDCでは、国内ハイパーコンバージドシステム市場の2022年の市場規模は約460億円になると予測している。2022年にかけて毎年2桁以上の前年成長率を維持し、2017年〜2022年の年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)は23.9%となり、今後も急速な普及が続く見込みである(Figure 1)。国内でのHCIの認知度は向上しており、今後の利用意向が高い状況にあることから、ユーザーのすそ野が拡大し、仮想化環境向けのITインフラとして普及が続くとIDCはみている。加えて、HCIを利用中のユーザーがリソース不足に対処するためにHCIを増設するケースや、HCIを未導入のITインフラに対しても更改時期に合わせてHCIに置き換えるケースなど、HCIの導入範囲が拡大することなども市場の成長を牽引する要因である。

FIGURE 1

国内ハイパーコンバージドシステム市場 支出額予測、2017年〜2022年

国内ハイパーコンバージドシステム市場 支出額予測

Notes:『国内ハイパーコンバージドシステム市場予測アップデート、2018年〜2022年(IDC #JPJ43365218、2018年11月発行)』からの引用
 
Source: IDC Japan, March 2019

HCIの導入効果

  IDCがHCIを利用中の回答者159人に対してHCIの導入効果を尋ねたところ、「運用管理コストの削減」「パフォーマンスの向上」「サーバー(CPU)利用効率の向上」「IT管理者の生産性向上」「ストレージ利用効率の向上」が上位を占めた(Figure 2)。

  HCIの導入によって、運用管理コストの削減やIT管理者の生産性向上といった運用管理の効率化の効果を評価する回答者が多く、HCIによる運用管理の効率化の効果が実感されていると言える。さらに、最新のハードウェアへの更改などによるパフォーマンスの向上、そしてITインフラの集約によるコンピュートリソース(CPU)やストレージの利用効率の向上についても評価が高い。このほか、ダウンタイムの削減による安定稼働の実現、ストレージ投資の削減、迅速な導入の実現による俊敏性の向上などの導入効果が続いている。

  HCIを導入することで、運用管理の効率化を実現するだけでなく、パフォーマンスや利用効率の向上といった仮想化環境の課題の解決に一定の効果が得られていると言えよう。加えて、ITインフラのコスト削減、安定稼働、俊敏性の向上にも効果が得られており、ITインフラの柔軟性の向上にも寄与していることが分かる。

FIGURE 2

HCIの導入効果を得られた項目

HCIの導入効果を得られた項目

n = 346
Notes:
『2018年 国内ハイパーコンバージドインフラストラクチャ利用動向調査(IDC #JPJ42921818、2018年5月発行)』からの引用
複数回答。HCIを利用中の回答者(n = 159)。上位10項目
 
Source: IDC Japan, March 2019

HCIの将来展望

  HCIは、当初はVDI(Virtual Desktop Infrastructure)向けのITインフラとして利用されることが多かった。現在ではサーバー仮想化環境での利用が増加しており、今後もその傾向は続くとIDCはみている。IDCの予測では、国内ハイパーコンバージドシステム市場におけるVDIの構成比は、2017年の27.0%から、2022年には20.4%に低下するとみている。サーバー仮想化環境においても、当初はビジネスへの影響の少ないワークロードでHCIを試験的に導入したユーザーが、ERM(Enterprise Resource Management)やSCM(Supply Chain Management)を含むビジネスアプリケーションなどの、より重要度の高いワークロードでの利用を拡大する見込みである。IDCでは上述のビジネスアプリケーションや、データベースおよびデータアナリティクスを含むデータマネジメントが成長率の高いセグメントになると予測する。

  このように仮想化環境におけるHCIの利用範囲が拡大する見込みである。それに伴ってHCIは仮想化環境の運用効率化や集約による利用効率の向上をさらに進めるであろう。将来的には、デジタル技術を活用したビジネス変革である「デジタルトランスフォーメーション(DX)」の進展によって、ITインフラにはビジネスニーズに対応した迅速なITリソースの提供や、容易な拡張性が求められるとIDCはみている。HCIはこうしたニーズに対応できるソリューションの一つであり、DXに必要な俊敏性や効率性、さらに柔軟性の高いITインフラを実現するソリューションとしても導入が拡大するとIDCは考える。