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第7回 システム全体の「見える化」で複雑なデータ連携の管理をカンタンに 〜FTPアダプタ〜

システム間連携(複数のサーバやクライアント間のデータ連携)の手段として広く利用されているFTPによるファイル交換は、エンドユーザーがFTPソフトを使用することで手軽に実現できます。しかし、その一方で、システムの管理部門では、さまざまなシステム間でやり取りされる転送データなどの膨大な情報を管理しきれない課題を抱えています。このようなファイル交換によるシステム間連携の管理を容易にしたのが、FTPアダプタです。

SOA*1に基づいて複数のシステムを統合するESB*2基盤製品の「自動業務フロー」では、メインフレームやデータベースなど、さまざまなシステムと接続するためのアダプタを備えています。そのアダプタの1つとして、ESB基盤とFTPサーバの連携を実現するFTPアダプタが生まれました。このFTPアダプタを担当した津田さん(顧客支援担当)と、原さん(開発担当)に、開発にかける熱い思いを語っていただきました。

*1
SOA: Service Oriented Architectureの略称。業務システムを「サービス」の集まりとして構築する設計手法。
*2
ESB: Enterprise Service Busの略称。

ITプラットフォーム事業本部第2AP基盤ソフト設計部(左)津田/(右)原
ITプラットフォーム事業本部
第2AP基盤ソフト設計部
(左)津田 / (右)原

  • お客さまの課題(1) :
    システム間の連携状況を「見える化」したい

−システムの管理部門が抱えている課題とはどのようなものですか?

津田:
システム管理者は、定期メンテナンスやトラブルへの対応に備えてシステム全体の状況を把握しておく必要があります。ところが、ファイル交換は1対1のシステム間で手軽に実現できる反面、システム全体でどのような転送が行われているか把握することが困難です。たとえば、転送経路やデータの種類の一覧表を作成しても、次々に新たな転送が行われるため、頻繁に一覧表を更新する必要があります。

−FTPアダプタを開発しようとしたきっかけは何ですか?

津田:
複数のシステム間で複雑なファイル交換を行っていたお客さまから、「システムを改修したいけど、ほかのシステムにどう影響するのかわからない。どのシステムでどんな種類のファイルをやり取りしているか把握して、影響範囲を特定したい」というご要望をいただいたのがきっかけです。このご要望に応えるため、システム間のファイル交換を自動業務フローで制御して、システム全体の連携状況を把握できるようにしようと考えました。

課題「さまざまなシステム間で個別にファイルをやり取り。システムを改修したいけど影響範囲がわからない」対策「・自動業務フローで連携基盤を統一。・システム間の連携状況の見える化を実現」

原:
FTPアダプタでは、システム間の転送経路、時刻、頻度、データ量などの転送状況を履歴データとして出力できるようにしました。これらの履歴データを活用することで、システム間のファイルのやり取りを「見える化」し、システム全体を効率良く把握できるようにしました。
  • お客さまの課題(2) :
    連携状況の把握を確実に実現したい

−自動業務フローでシステム間の連携を行うメリットとは何でしょうか?

津田:
前述のお客さまでは、さまざまな部門向けに複数のシステムが常時稼働している状況でした。このような状況のため、「稼働中のほかのシステムに影響を与えないように、システムの連携状況を確実に把握したい」というご要望がありました。そこで、このご要望に対して自動業務フローによるシステムの段階的統合を解決策として提案しました。
この自動業務フローによって、稼働中の業務への影響やリスクを抑えながら、システムの連携状況を確実に把握できるようになりました。さらに、これまで個別に開発されていたシステム間のデータ変換やプロトコル変換といった複雑な連携処理を、FTPアダプタを使ってコーディングレスで実現でき、お客さまの開発効率や保守性も大幅に向上できました。
  • 開発のポイント(1):
    お客さまの視点に立った利便性・操作効率の向上

−実際にFTPアダプタを開発するにあたって、お客さまのご要望を取り込むためにどんなことをしましたか?

津田:
まず、お客さまの状況を熟知している部署と協力して、お客さまの性能要件・機能要件を満たすシナリオを作りました。シナリオとは、たとえば、「あるクライアントからサーバにファイルを送信したい」や、「クライアント同士でファイルを送受信したい」のように、お客さまのシステムで想定される運用をパターン化したものです。このようなシナリオを作り上げたあと、開発部署で、シナリオを実現するためにどのような機能が必要かを検討しました。

−シナリオを作る上で意識したことは何ですか?

原:
お客さまの要件を満たすことは重要ですが、一部のお客さま限定の機能とならないように、汎用的なシナリオを作ることを意識しました。たとえば、海外拠点との間でファイル交換を行いたいという要件は、一般的なお客さま向けに、運用時間帯が異なるシステム間で非同期に通信を行うシナリオとして検討しました。この結果、海外拠点を持たないお客さまでも、自システムに都合の良いタイミングでファイルを交換するためにこの機能を活用していただけるようになりました。

−FTPアダプタの開発にあたって、どのような点を工夫しましたか?

第2AP基盤ソフト設計部 原

原:
自動業務フローで連携するシステムは、オープン、メインフレームなどさまざまです。そこで、連携するシステムに合わせてファイルの構造や文字コードを変換する機能をサポートしました。システム間のプラットフォームの違いを意識しなくても扱えるように、お客さまの利便性を重視しました。

−お客さまの利便性を重視したということですが、ほかにどのような点を工夫しましたか?

原:
煩雑な操作をできるだけ自動化できるようにしました。たとえば、あるデータを連携元から連携先に送信する際、双方で扱うデータの構造が異なると、データ項目同士をGUIで1つずつマッピングする必要があります。本来、GUIは直感的で操作性が良いものですが、このお客さまの場合、データ項目の数が1,000以上あり、これらの項目をGUIで1つ1つマッピングするのは、非常に煩雑な操作となります。また、操作ミスや確認ミスが発生することも考えられます。そこで、データ名称の類似度を判定して自動でマッピングできる機能を開発しました。
  • 開発のポイント(2):
    関連部署との連携によって達成した性能改善

−開発にあたって、苦労したエピソードはありましたか?

原:
システム間の連携によって運用中に出力される大量の履歴データを、定期的に限られた時間で50万件ずつ削除したいという要件があり、この要件を達成するには他製品を含めた性能改善が必須でした。そこで、他製品の開発部署と連携して内部処理を大幅に修正し、処理件数が増加することによる性能劣化を抑えました。

第2AP基盤ソフト設計部 津田

津田:
この性能改善では、検証作業の豊富なノウハウを持つ品質保証部との協力が不可欠でした。複数のシステムと連携する自動業務フローでは、検証作業でトラブルが発生した場合に、原因が製品によるものか連携先のシステムによるものか特定が難しいことがあります。私達が解決できなかった問題も、さまざまな環境での検証を経験している品質保証部によって、複数システムに影響するOSの設定値が原因であることを特定でき、無事解決に導くことができました。品質保証部のメンバーとSEが毎朝ミーティングを行い、それに私たちも参加して、いろいろなノウハウを出し合ったことが印象に残っています。

−お客さまの反応はどうでしたか?

  • お客さまの声:
    「システム間でどのような情報がやり取りされているか見えやすくなり、管理がラクになりました。」
津田:
既存システムに影響を与えることなく、FTPによる業務連携が整理され、システム全体がどのように連携しているか把握しやすくなったことで、お客さまには大変喜んでいただけました。

−SEの反応はどうでしたか?

  • SEの声:
    「難しいと思っていた構築が意外と簡単にできることを実感しました。」
津田:
実際にお客さまのシステムを構築するSEには、製品の体験セミナーを通じてシステム構築のイメージをつかんでいただきました。最初はESB基盤の構築に対して「難しそう」という印象を持っていたSEも、実際に触ってみると簡単な設定で構築できる製品ということを実感していただけました。
  • 最後にひとこと
原:
近年増加しているビッグデータの案件などで、システム間の連携はニーズが高まってきていると感じます。多くのお客さまに自動業務フローを採用していただけるよう、今後も関連部署と協力して機能強化を推進してまいります。
津田:
お客さまのご要望を満たせるように、真摯に愚直に対応させていただいているつもりです。製品としての機能も充実し、受注件数も増えています。同時に、技術者としても成長していることを実感しています。今後も、お客さまからさらなる信頼を得られるように、高い技術力で対応していきたいと思います。

最後に

操作・性能の面にこだわって作り上げた機能ということが大変よくわかりました。本日は有難うございました。(編集担当)

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