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ミドルウェア

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Hitachi

親しみ慣れた画面と操作性の継承により
メインフレーム資産を新ビジネスに活かす

経営のスピード化とスリム化が求められる中、いま多くの企業ではIT基盤の標準化と運用コストの低減が大きな課題となっています。

そこで日本有数の総合建築コンサルタント会社「八千代エンジニヤリング株式会社(以下、yec)」では、日立システムアンドサービス株式会社(以下、日立システム)の協力のもと、日立オープンミドルウェアを活用したレガシーマイグレーションを実行。メインフレーム資産をオープン基盤へ移植し、従来の画面と操作性をほぼ変えずに、機能拡張に向けた柔軟性をあわせ持つIT基盤を構築しました。

操作性を変えないレガシーマイグレーション

末田 俊久 氏の写真
八千代
エンジニヤリング株式会社
管理統括本部
業務管理部
副部長 兼
情報システム課 課長
末田 俊久 氏

東京都新宿区に本店を置くyecは、重要な社会資本である道 路/鉄道/河川・砂防/都市・地域計画/建設環境/土木調査など、 さまざまな建設プロジェクトにおいて、その企画・調査から計画、設 計、施工管理、さらには維持管理までをトータルに担う総合建設コ ンサルタント会社です。高度技術者集団であるyecの活躍は、国 内のみならず海外にも広く展開されており、現在100か国以上のイ ンフラ整備に、そのハイレベルな技術とノウハウが活かされています。

数多くの公共事業に携わる性質上、同社の基幹システムには 何よりも高度な信頼性と可用性が求められますが、その重要な役 割を30年以上にもわたって支え続けてきたのが日立のコンピュー タシステムです。

「これまでMP5400(VOS1/FS)で稼働していた基幹システムは、 非常に安定した稼働を続けており、また、業務アプリケーションも特 に問題はありませんでした。そのため何度かオープン化の話は出 たものの、なかなか踏み切れないでいたのです」と語るのは、情報 システム課 課長の末田 俊久氏。

しかし、メインフレームと並行して業務管理システムやグループウェ アがオープン基盤ですでに稼働していたことに加え、システム管理 者の世代交代が進むとともに、運用コストの低減も求められていた ことなどを背景に、全面的なオープン化を決断。「当初はパッケー ジベースでの移行や新規開発も考えた」(末田氏)とのことですが、 主計/出納/資産管理/買掛金/外注管理/人事/業務会計/総 務といった自社開発の大量資産を新たに構築し直すのは現実的 ではないと判断。「ユーザーが長年使い慣れた画面や操作性を 変えないことに重点を置いたレガシーマイグレーションを選択しまし た」と、末田氏は当時を振り返ります。

オープンミドルウェアを活用した高効率なプログラム移行

移行プロジェクトのパートナーには、豊富なマイグレーション実績 を誇る日立システムを中心とした日立グループが選ばれました。

「当社のシステムには、簡易言語NHELP(エヌヘルプ)で記述されたプログラ ムが大量に含まれていました。他社がNHELPをCOBOLに置き 換える方法を提示したのに対し、日立はNHELPソースのままオー プン基盤に移行できる「NHELP実行支援ライブラリ」を持ってい たこと、また、日立システムはメインフレームとオープンシステム双方 に関する豊富な知識とノウハウを持っていたことが大きな決め手 になりました」と語る末田氏。
yecと日立システムは、まず「資産調 査棚卸しサービス」(日立システム提供)を活用して、長年の運用 でブラックボックス化していた現行資産を詳細に分析。約2,600本 あった対話系のES/IEX(*)パネルを400本に、約1,000本あった COBOL85プログラムとJCLをそれぞれ半数以下に絞り込むなど、 徹底的な棚卸しと、変換効率を上げるための事前修正に力を注 ぎました。

そしてメインフレーム資産と親和性の高い「COBOL2002」や「JP1」、 「XMAP3」といった日立オープンミドルウェアを活用し、高信頼か つ高効率なプログラムコンバートを展開。本格的な移行作業を開 始してから約1年後の2008年2月、新たなプラットフォームとなる 日立アドバンストサーバHA8000上に、基幹システムの機能をほぼ そのままの形で移行することに成功したのです。

(*)
VOS1上でのデータ入力やジョブ実行を対話形式で行える日立独自の制御システム

ES/IEX画面やNHELPをほぼそのままの形で移行

植田 真司 氏の写真
八千代
エンジニヤリング株式会社
管理統括本部
業務管理部
情報システム課 主任
植田 真司 氏

「ユーザーが親しみ慣れたES/IEXの画面を、新システムでも 再現していただけたことが何よりもうれしい成果です」と語るのは、 情報システム課 主任の植田 真司氏。

yecでは二十数年もの間、ES/IEXのインタフェースが基幹系のスタンダードとなっていました。 そこで日立システムは、XMAP3のアドオン製品である「対話操作 支援」を適用することで、ES/IEXの画面系プログラムをオープン システムへと移植し、ユーザーの使い勝手や生産性を損なうこと のない環境を実現。

植田氏は、「『対話操作支援』がなければ、画 面系の移行作業にはかなりの時間がかかったと思います。工数 削減に非常に効果がありました」と、その効率性を高く評価します。


システム画面
yecのユーザーが長年親しみ慣れてきたES/IEX(対話形式)画面を、
そのままオープンシステムに再現

本番/テストサーバの同一構成で信頼性を向上

新システムでは、メインフレームと同等の信頼性を適正なコスト で確保するため、システム構成にも工夫がこらされました。メインと なる基幹サーバ、帳票システム用のHOPSS3サーバ、テストサー バのすべてをHA8000による同一ハード構成で構築したのです。 これにより、万一、基幹サーバに障害が発生した場合でも、前日の フルバックアップデータをテストサーバ上にリストアすることで、業務 が迅速に復旧できます。専用の予備サーバを用意する必要がな い点も運用コストの低減に寄与する工夫といえるでしょう。

「オープンシステムに移行したことで、オンラインで基幹プログラム を使っている5支社の運用負担も大幅に軽減しました。従来は各 支社にメインフレーム専用端末と専用プリンタを用意しなければな りませんでしたが、現在はこれらを廃し、すべて自席のPCからシー ムレスに業務を実行することができます」と末田氏。

プラットフォームが最新のHA8000になったことで、処理スピード も大幅に向上しました。「これまで夜間に行っていた3時間ほどか かっていたバッチ処理が、30分で終了するようになりました。また、 JP1を使えるようになったことで、既存のオープンシステムとのデー タ連携やバックアップ作業も非常に楽になり、運用管理面でのメリッ トが、これからますます期待できそうです」(植田氏)

オープンシステムの柔軟性を生かした業務開発に取り組む

一連のマイグレーションプロジェクトを支援した日立グループに 対し、末田氏は「ほとんどトラブルもなく本番稼働を迎えられたのは、 日立システムの技術と、移行ツールとしてのオープンミドルウェアの 機能、性能による部分が大きかったと思います」と評価。今後は、「シ ステム全体のかなめとなる統一データベースの構築や、オープン 基盤の柔軟性を活かして他のシステムとの連携の強化に取り組 んでいきたい」と、力強い意気込みを語ります。

その期待に応えるため、これからも日立は信頼性の高いオープ ンミドルウェアを核としたサービスプラットフォームの継続的な強化 により、yecの経営スピード向上と情報活用の進化を力強くサポー トしてまいります。

USER PROFILE

八千代エンジニヤリング株式会社

八千代エンジニヤリング株式会社

[本店] 東京都新宿区西落合2-18-12
[設立] 1963年
[資本金] 4億5000万円
[従業員数] 875名(2007年6月現在)

[事業内容]
総合建設コンサルタント事業(開発コンサルタント)として、官公庁や自治体、民間企業や国際協力機構などからの依頼に対し、インフラ整備の企画、調査、設計、計画、施工管理などを行っている。

特記事項

  • この記事は、「はいたっく 2008年9月号」に掲載されたものです。
  • COBOL2002ファミリーXMAP3JP1の詳細については、ホームページをご覧ください。
  • 記載されている会社名、製品名は、それぞれの会社の商標もしくは登録商標です。
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