総勢41万人以上へのOne to Oneサービスの提供を目指し、
日立の「Cosminexus」で「関大ファミリーポータル」を構築。
SOAによるシステム統合を見通した情報共有基盤づくりに成功
学校法人関西大学(以下、関西大学)では、学生と教職員、父母、校友、総勢41万人以上のステークホルダーすべてを対象に、生涯にわたるOne to Oneサービスを提供できるシステムづくりを進めている。
その一環で、2009年3月に稼働を開始したのが、情報共有基盤「関大ファミリーポータル」だ。
ポータルシステムの構築にあたっては、日立のSOAプラットフォーム「Cosminexus」と大学向けWeb型コラボレーションウェア「UNIPROVE/CW」を採用。システム間の疎結合を実現した拡張性の高いポータルシステムの構築に成功し、SOAによるシステム統合に向けて進化していける基盤も手に入れた。

関西大学
学術情報事務局(IT担当)
次長
得永 義則氏

関西大学
学術情報事務局
システム開発課
砂田 吉史氏

関西大学
学事局
授業支援
グループ
神宮司 健太氏
120余年の歴史を重ねてきた関西大学。2005年に中長期戦略を構想し、「強い関西大学」のビジョンを打ち出した。さらに、長期ビジョン達成のために2006年にスタートした中期計画の柱となっているのが、IT化推進プロジェクトである。
「IT化推進プロジェクトの目的は、情報共有基盤『関大ファミリーポータル』を構築し、One to Oneサービスを実現するとともに、『関大コミュニティ』による広範なフォーラムやコミュニティを提供することです。さらに、ステークホルダーの諸情報を『関大ファミリーカルテ』として集約・一元管理することで、ワンストップ・サービスを実現します」と得永氏は説明する。
IT化推進プロジェクトでは、総勢41万人を超えるすべてのステークホルダーに対して、生涯IDを発行する予定だ。
この構想を実現するためには、大規模システムを安定稼働させるための高い信頼性と拡張性を持った柔軟なシステム基盤を確立しておかなければならない。
そこでIT化推進プロジェクトでは、5年計画で、学事システムのオープンシステム化や周辺システムの改修、ネットワークの強化、認証基盤の確立などを進めてきた。
IT化推進プロジェクトでは、16のシステム開発を同時に進めているが、全体を束ねる重要な役割を果たすのがポータルシステムだ。
生涯を通じてのOne to Oneサービスを実現するには、各システムを連携させることで、システム統合のメリットを活かしながら、41万人を超える利用者のニーズに対応するサービスを提供していかなければならない。
「IT化推進プロジェクトにおいて、『情報システム間の連携』は、16システムに共通する重要なテーマです。特に全体を束ねるポータルシステムは、SOAを意識した将来展開ができることを重視しました」(得永氏)。
ポータルシステムに求められた要件の中で、日立のSOAプラットフォーム「Cosminexus」を採用したのは、現状稼働しているシステムとの連携に対応しつつ、SOAによるシステム構築も実現できる将来性・拡張性を評価したからだ。
「日立には、きちんと将来像を理解し、10年後の目標まで、われわれと共有して進もうとしているという信頼感がありました」(得永氏)。
また、ポータルシステムの最終的な利用者数は41万人を超えるので、大規模システムでの豊富な実績をもつCosminexusの信頼性も高く評価されたのだ。

「関大ファミリーポータル」の
学生用画面(上)と、教員用画面(中)、
職員用画面(下)。
2009年3月末、「uCosminexus Portal Framework」をポータル基盤とした関大ファミリーポータルが稼働を開始。
その日のイベントや時間割情報を表示するカレンダー機能やお知らせなどの機能は、日立の大学向けWeb型コラボレーションウェア「UNIPROVE/CW」を利用して開発した。ハードウェアには日立の統合サービスプラットフォーム「BladeSymphony」を採用し、システムとしての安定稼働を高めている。
日立はポータルシステム構築と並行して、データ連携システムを構築し、これを利用することで、学事システムなどの他システムとのスムーズな連携を実現。将来、サービスバスを用いたSOA環境へ移行することも考慮した疎結合のシステム連携である。ポータルシステムにはデータを保持しないので、各システムの改修やデータ更新を、他システムへの影響を意識せずに実施できるのだ。
また、今まで学生用と教職員用に別れていたシステムを関大ファミリーポータル上に集約すると同時に、アクセス権限に応じた画面表示を実現している。
「別システムだった学生用ポータルシステムと、教職員用グループウェアが1つになったので、システム管理の負荷が半分になり、二重入力も不要になりました」と砂田氏は評価する。
関大ファミリーポータルの画面は、アクセス者に応じて学生用と教員用、職員用の3種類が用意されており、今後は、父母用と校友用が加わる予定だ。
学生がログインすると、自分が履修している授業がカレンダーに表示され、休講などの情報もアイコン表示される。
新しいポータルシステムでは、システム連携の範囲が広がり、利用できる情報が広がった。
教員からは、急な休講連絡を自宅からできるなど、利便性が向上した点が評価されている。学内のイベントも関大ファミリーポータルを見れば、確実に情報を得られ、学生に向けてのレジュメ掲載など、授業に関連しての利用も活発化している。学生からも、図書館システムやSNSシステムなど、ポータルからリンクできるシステムが増え、シングルサインオンで利用できるようになったことが好評を得ている。
UNIPROVE/CWを利用したことで、「個人伝言/お知らせ」や「ワークグループ機能」など、きめ細かいコミュニケーションも実現している。
「連携しているシステムが増えて、しかも、情報をきめ細かい単位で伝達・共有できるようになったことは、業務負荷の軽減にもつながっています。また先生方からは、新しく追加されたワークグループ機能により、研究グループやプロジェクトなど任意のグループ単位で連絡することが可能になり、非常に便利になったと聞いています」と神宮司氏は語る。
さらに大きな成果は、SOA基盤で全体を統合していくための準備ができたことだろう。
IT化推進プロジェクトは、その他の15システムへの適用も見据えて、16システムの中の1つを、SOAPによる連携も可能なシステムとして構築。将来、各システムがSOA対応へと進んでいけば、SOA基盤で全体を統合することが可能となっている。
2011年にIT化推進プロジェクトが完了した後も、高大連携教育や生涯教育まで幅広く使えるeラーニングシステムや、ポートフォリオシステムの充実など、「教育の質の向上と保証」ならびに「学生をはじめとしたステークホルダーに対するサービスの向上」のために、システムの強化は続いていく。
関西大学のOne to Oneサービスの実現に向けてのチャレンジを、今後もCosminexusがしっかりと支えていく。
USER PROFILE
関西大学
[本部所在地] 大阪府吹田市山手町3-3-35
[創立] 1886年11月4日
[学生数] 32,907名(2009年5月1日現在)
[教職員数] 2,605名(2009年5月1日現在)
関西大学では2008年9月、今後10年を見据えた長期ビジョン(将来像)を策定し、「社会を見つめ、変化に挑む。『考動』する関大人が世界を拓く。」をめざすべき方向性として掲げた。さらに、2009年4月には、コミュニケーション・マーク「Global ‘KU’」とタグライン「THINK × ACT(シンク・バイ・アクト)」を導入している。