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拠点間の知識ノウハウの共有を1か月でサービスイン、
プロセスの標準化で、業務効率と品質の向上を実現

厳しい経営環境の中、企業が持続的な成長を維持するためには、個人の知識や経験を組織で共有し、 現場力の底上げを図るための仕組みづくりが重要です。

INAX製品のメンテナンスや住まいのリフォーム事業を全国展開する「株式会社 INAXメンテナンス(以下、INAXメンテナンス)」は、 拠点ごとに異なっていた業務プロセスの標準化を図るため、日立の業務ポータル「uCosminexus Navigation Platform」を導入。
さまざまな業務手順をフローチャートで「見える化」することで、属人化していた知識やノウハウの全社共有をスピーディに実現。

企業競争力に直結する業務効率とサービス品質の継続的な向上を推進しています。

業務プロセスの標準化を図るJ-SATプロジェクトを始動

平松 英明 氏の写真
株式会社 INAXメンテナンス
事業本部
サービス開発担当
担当課長
平松 英明 氏

衛生陶器や住宅設備機器の大手メーカーとして知られ、建材 メーカーのトステム株式会社とともに「住生活グループ」を形成し ている株式会社 INAX。そのアフターサービス事業を担う専門 会社として1980年に設立されたINAXメンテナンスは、INAX製 品の修理やメンテナンスに加え、住まいのリフォーム、ビル・ホテル などのリニューアル、水まわり関連商品の通信販売なども手がけ る「住まいの総合サービス業」を全国展開しています。

同社は2010年5月より、本部や各拠点における業務全体の見 直しと改善を図る「J-SAT(*1)プロジェクト」を立ち上げ、業務プロ セスの標準化に着手しました。その経緯を、事業本部 サービス 開発担当の担当課長である平松 英明氏は「当社では全国に 営業所を7か所、受付センター(コールセンター)を4か所、サービ スセンターを70か所設置しており、受付センターから入った案件 を各地のサービスセンターに展開し、サービスマンがお客さまのト ラブルやご要望に対応する流れをとっています。しかし長年にわ たる事業展開の中で、業務プロセスが拠点固有のものになって いたり、一部のスタッフに属人化することで、人事異動などの際 に支障を来すケースが発生するようになってきました。そこで標 準的な業務プロセスをマニュアル化することで、業務品質のさら なる向上を図るJ-SATプロジェクトをスタートさせたのです」と振り 返ります。

J-SATプロジェクトの基盤整備を担当したシステム課では、当 初Excelで作った業務マニュアルをイントラネットにアップして情 報共有を行う仕掛けを検討しました。ところが、業務によって手 順が異なるため、記述に統一感を持たすことが難しく、コンテンツ 数が増えるほど運用やメンテナンスも大変になるといった問題が 顕在化。「そこで、記述や運用を容易に標準化できるツールはな いかと考えていたところ、半年ほど前に日立さんから提案を受け ていたuCosminexus Navigation Platform(以下、業務ポータ ル)の存在を思い出したのです」と語るのは、経営管理本部 業 務部 システム推進課の葛谷 憲治氏です。

(*1)
JOB-Standard All INAXメンテナンス

導入からわずか1か月でサービスイン

葛谷 憲治 氏の写真
株式会社 INAXメンテナンス
経営管理本部
業務部
システム推進課
葛谷 憲治 氏

日立が提供する業務ポータルは、業務の流れをわかりやすくフ ローチャート化し、ガイダンスで操作手順をナビゲートすることで、 「何をどの順番で、どう行えばいいのか」をWeb画面上で視覚化 できるソリューションです。さまざまな業務の流れに沿って、必要な 情報をタイミングよく表示できるため、経験の浅いユーザーでも質 の高い業務が効率よく行え、ベテランが築き上げたノウハウを組 織内にスピーディに展開できます。

業務の流れの中で必要となる各種Webサービス、ワークフ ローシステム、データベースなどといった既存のバックエンドシステ ムとも画面上で連携できる仕組みを備えているため、業務変化に 柔軟に対応したシステム構築が行える点も大きな特長です。

「デモ機を操作させていただいたところ、GUIエディタによって 誰でも業務がフロー化できることに驚きました。作成したフロー チャートも容易に修正できるので、運用後の改善も迅速です」と平松氏は笑顔で語ります。葛谷氏も、「導入決定後、1時間ほど操作方法を教えていただいただけで、すぐに操作できるようになりました。直感的な操作が可能なため、日立さんに操作方法を問い合わせる必要もありません。あとは私が講師役となり、プロジェクトのメンバーに操作方法を教え、その日のうちにコンテンツ制作をスタートさせることができたほどです」と話します。

各部署の業務フローを精査して書き表した仕様書にあたる「標準シート」が、J-SATプロジェクトの活動ですでにできあがっていたため、入力/レビュー作業はスピーディに進みました。そして導入からわずか1か月後には業務ポータル第1弾となる本部管轄系の標準化マニュアルがイントラネットにアップされ、迅速なサービスインへとつながっていったのです。

業務品質の底上げに加え、業務改善にも大きく寄与

業務ポータル上で提供されている標準化マニュアルは、「工 事」「受注」「在庫」「業務管理」「遵法」「問い合わせ」など30業 務以上にわたっており、PC環境を持つ社員約500名が、引き継 ぎ時や研修時、判断に困った時などにWeb上から参照・確認で きるようになっています。

業務の最適なフローと、その時々で必要となる資料やノウハウ が全社的に共有されたことで、「個人の判断で進めていたムダな 作業が、どんどん削ぎ落とされていることを実感しています」と平 松氏は語ります。これまでマンツーマンで伝承するしかなかった サービスセンター長の管理ノウハウや業務手順もマニュアル化 することができたため、引き継ぎ期間も2週間から3日へと大幅に 短縮化されました。なかでも業務ポータルが特に高い効果を発 揮しているのが、教育研修への適用です。

「例えば受付センターでは、派遣・パート職員の入れ替わりが 激しいため、従来はどうしてもスキルに高低差があり、均一な応 対品質を確保するのが難しい状態でした。しかし業務ポータル を使うと、表示される手順に沿って質問や回答をしていくだけで 的確な対応が可能となり、1回の研修だけで、すぐ現場に入って もらうことができます。教育期間の短縮やコスト低減だけでなく、 指導員ごとに異なる教え方の癖にも依存しないため、教育品質 にバラつきがなくなったのもうれしいポイントです」。

また、すべての業務フローが「見える化」されたことで、部門間 での意思疎通上の問題点やボトルネックなども浮き彫りとなり、 「抜本的な業務改革を進めるための大きなヒントになりました」と 平松氏は続けます。具体的には、受付センターとサービスセン ターとの連携手順を少し変えるだけで、業務の流れや双方の関 係性が「驚くほどスムーズになった」とのこと。業務ポータルの導 入が、業務効率の向上や業務品質の底上げだけでなく、業務 改善にも大きく寄与していることを平松氏は高く評価します。

さらなるベストプラクティスを追求

「あと1年ほどでINAXメンテナンスのすべての業務が業務 ポータル上で標準化される予定です。次なるフェーズでは、Web で構築された業務システムから順次業務ポータルと連携させ、よ り効率的な業務運用に生かしていければと考えています」と、葛 谷氏はシステムのさらなる進化に期待を寄せます。平松氏も、 「標準化で最も重要なポイントとなるのが運用後の改善です。業 務ポータルは誰でもコンテンツを作成できるので、現場主導で作 成と改善が実行できる点が非常に助かります。今後は適宜各コ ンテンツの見直しを図り、お客さま満足を最大化するためのベス トプラクティスの追求を図っていきます」と力を込めます。

業務に必要な知識とノウハウをWeb画面上で融合させ、現場 力の底上げとともに、業務改善への大きな“気づき”も与える日立 の業務ポータル。これからも日立は、INAXメンテナンスをはじめと する企業の競争力向上とイノベーションの促進を、業務ポータル の継続的な機能強化によって強力にサポートしていきます。

J-SATプロジェクトのポータル画面
J-SATプロジェクトのポータル画面。 Web画面上で業務の流れがわかりやすく表示されている

USER PROFILE

株式会社INAXメンテナンス

株式会社INAXメンテナンス

[本社] 愛知県知多市北浜町25-7 (株)INAX知多事業所
[設立] 1980年4月21日
[資本金] 2,000万円
[従業員数] 295名(2010年10月現在)
[事業内容]
●便器・洗面器・流しなどの衛生陶器、水栓金具、温水洗浄便座、電気温水器、 システムトイレ、ユニットバス、システムキッチンなどの修理・保守・販売・施工
●建築物の管理・清掃、各種設備機器・昇降機の点検・保守・管理
●土木・建築工事の設計・管理・請負 など

特記事項

  • この記事は、「はいたっく 2011年4月号」に掲載されたものです。
  • 記載されている会社名、製品名は、それぞれの会社の商標もしくは登録商標です。
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