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業務改革の推進に向け日立オープンミドルウェアを活用し
既存ホスト資産をオープン基盤へスピーディに移行

現行業務の継承と企業競争力の強化を図るため、 既存資産をオープン環境で継続運用させるレガシーマイグレーションが注目されています。

茨城県筑西市に本拠を構える「株式会社 ハウステックサービス」は、COBOL2002やXMAP3、JP1といった 日立オープンミドルウェアを活用し、基幹システムのプラットフォームをMP5400からBladeSymphonyへと移行。
運用コストの低減と、環境変化に即応できるIT基盤の構築に成功しました。

現行資産をオープン基盤へそのまま継承

白田則雄 氏の写真
株式会社
ハウステック
サービス
経理課
課長
白田則雄 氏

「株式会社 ハウステックサービス(以下、HTS)」は、システムバス/ システムキッチンなどの住宅機器事業や、エコキュート・家庭合併槽 などを中心とした環境設備事業を展開している「株式会社 日立ハウ ステック」の多彩な製品群の物流発送業務に加え、包装資材の設計・ 供給、サービスパーツの受付・出荷、合併処理浄化槽やパネルタンク の組立製造、さらには住宅リフォーム事業なども担う、日立ハウステック グループの一員である企業として2001年に発足しました。

HTSは設立以来、他の日立ハウステックグループと同様に、日立 のホストコンピュータを活用した基幹システムを稼働させていました。 しかし、「企業間競争が一段と厳しさを増す中で、ITを活用した本 格的な業務改革を進めるには、まず環境変化に柔軟に対応できる IT基盤へのシフトが必要だと考えました」と語るのは、経理課 課長 の白田 則雄氏。同時期にMP5400の保守期限切れが迫っていた ことや、日立ハウステックが先行的にオープン化を成功させ、コスト低 減をはじめとする数々の成果をあげていたことも、「オープン化への 機運を高める要因になっていた」と白田氏は振り返ります。

また、基幹システムである「資材・発送システム」には、同社の業務 ノウハウのつまったプログラム資産が数多く蓄積されていたため、現 行資産をそのままオープン基盤へ継承することが第一目標に据えら れました。「業務改革と連携した新業務の開発は、新基盤の稼働 後に取り組む方が、安心で効率的だと考えたからです」(白田氏)。

オープンミドルウェアの活用で移行作業がスムーズに進行

移行プロジェクトのパートナーには、親会社である日立ハウステッ クのマイグレーションでの実績もあり、操作性の維持を安全・確実に 行えると高い評価を得ている「日立情報システムズ」「日立システム アンドサービス(以下、日立システム)」「日立化成商事」を中心とし た日立グループが選ばれました。

2007年5月にスタートしたプロジェクトでは、まず移行対象のプログ ラムを必要最小限に絞り込み、修正個所の傾向と規模を把握する ための「棚卸し」が実施されました。その結果、「現行資産の約8割 が移行対象となりました」と語るのは、経理課 システム係の斎藤 大介氏。度重なるプログラム更改で、仕様書が存在しない資産も多 かったため、内容の解析やロジック連携の確認などにかなりの手間 がかかったとのこと。そのぶん、COBOL85との互換性に優れた 「COBOL2002」や、ホスト画面の移行を容易にする「XMAP3」といっ た日立オープンミドルウェアを活用したことで、移行作業はスムーズ に進行。「日立システムのノウハウと優れた変換ツール、そしてオー プンミドルウェアのおかげで、ほとんどプログラムに手を加えないストレー トコンバージョンで移行できました」と、一連の作業の効率性を斎藤 氏は高く評価します。

また、VOSKの対話形式メニュー画面を、オープンシステム上に、 ほぼそのままの形で再現できるオープンミドルウェアである「対話操作 支援」により、以前と同様のインタフェースを実現できたことも、「エンド ユーザーに負担を与えなかった成果の1つ」と強調する斎藤氏。

さらに、オープンシステムでは通常、プリント指示をかけると同時に 印刷が実行されてしまいますが、HTSではホスト時代と同様に、一 度印刷内容を確認してから出力できるようプログラム構成を変更し たり、ホスト内のデータをプログラムレスで検索・追加・更新する日立 ホストの製品であるACE3 E2で構築されていた入力処理について も、新たにVB . NETを使って再構築するなど、ユーザーの利便性と メンテナンス性を損なわないためのカスタマイズを実施しました。

今回のマイグレーション・プロジェクトには、すでに同様の方法でオー プン化を成功させている日立ハウステックのメンバーがアドバイザー として参加したこともあり、トラブルもなく順調に進行。2008年5月、 BladeSymphony(BS320)を新プラットフォームとした新基幹システ ムは予定どおりカットオーバーを迎えました。


「XMAP3」や「対話操作支援」により、ホスト時代と同様のメニュー画面と操作性が再現された。

N+1構成で冗長化されたBladeSymphony

宮田加都夫 氏の写真
株式会社
ハウステック
サービス
経理課
システム係
主任
宮田加都夫 氏

新たなプラットフォームとなったBladeSymphonyについて、「BS320 を3ブレード導入し、2台を本番機、1台を予備としたN+1のコールド スタンバイ構成にしています」と語るのは、経理課 システム係 主任 の宮田 加都夫氏。複数の業務サーバに対して少数の予備サーバ でホスト並みの信頼性と可用性を実現するN+1コールドスタンバイ をサポートしているBladeSymphonyは、通常サーバの冗長化構成 に比べてコストパフォーマンスに優れているのが大きな特長。その ため「高可用なシステムにもかかわらず、導入コストの低減を図るこ とができました」と評価する宮田氏。

また、ホスト時代に比べて処理スピードも大幅に向上し、従来1時 間ほどかかっていた月報ファイル作成(品名マスター/40数万件)が、 わずか1分50秒ほどで終了するとのこと。高性能でスケーラブルな IT基盤を確保したことで、HTSには将来的な機能拡張も容易に行 えるシステム環境が整備されました。

JP1の導入で業務の自動化と障害監視を実現

斎藤大介 氏の写真
株式会社
ハウステック
サービス
経理課
システム係
斎藤大介 氏

HTSの新基幹システムでは、JP1を活用した業務の自動化も推 進されています。

「ホスト時代には、電源投入やバックアップといった作業のほとんど を手動で行っていましたが、オープン化を契機に、運用負担と管理コ ストの低減を図れるよう、JP1のジョブ管理を導入しました」(斎藤氏)。

BladeSymphonyの写真
HTSの基幹システムを担う
BladeSymphony

JP1のジョブ管理は、複数の業務を連携させた複雑な処理や、実 行サイクルに沿った他システムへのデータ配信などの業務運用を、 わかりやすいジョブネットを定義するだけで容易に実現することができます。
これにより、従来は全部門の業務が終わってから作業を開始し、 終了するまで待機するしかなかったバックアップ業務も、 「今ではJP1にすべてを任せて、いつでも帰れるようになり ました。今後は手作業で行っているオペレーションをすべてJP1で自 動化していこうと考えています」と、斎藤氏は笑顔で語ります。

さらに、サーバ全般の障害監視についてもJP1が活躍しています。

「今まではシステムで何か問題が起こっても、ユーザーからの報告 で初めてトラブルを確認し、対処が後手後手に回るケースが少なく ありませんでした。しかしJP1を導入してからは、問題が起こるとPC メールや携帯メールに自動通知されますし、画面に表示されている アイコンをたどるだけで、障害原因の特定や影響範囲も予測できます。 迅速なユーザー対応が行えるようになり、サービスレベルが向上し ました」(斎藤氏)。

オープン基盤を活用し、業務改革に弾みをつける

新基幹システムの稼働に合わせて、HTS内では全社的な「業務 改革プロジェクト」が発足しました。今後は物流業務や資材業務に おいて、ITを基盤にさらなる効率化と省力化を進展させる動きが活 発化していくと期待されています。「新業務を柔軟に開発できるオー プン環境が整備されたことで、業務改革にも弾みがついてくるでしょ う。今期中に要件定義をまとめ、来期以降は具体的なシステム改善 に取り組んでいきます」と語る白田氏。

既存資産を最大限に活用することで、コストとリスクを最小化しな がら、新たなビジネス基盤をスピーディに構築したHTS。次なる課題 となる競争力強化に向けた同社の積極果敢な取り組みを、これか らも日立はオープンミドルウェアを核としたサービスプラットフォーム製 品の拡充により、強力にサポートしていきます。

USER PROFILE


株式会社ハウステックサービス

[本社] 茨城県筑西市下江連1250番地
[設立] 2001年5月1日
[資本金] 3,000万円(2007年3月現在)
[従業員数] 165名
[事業内容] 住宅関連製品の発送業務、包装設計・コンサルティング、産業廃棄物収集運搬業務、労働者派遣事業ほか

特記事項

  • この記事は、「はいたっく 2008年10月号」に掲載されたものです。
  • COBOL2002ファミリーXMAP3JP1の詳細については,ホームページをご覧ください。
  • 記載されている会社名、製品名は、それぞれの会社の商標もしくは登録商標です。
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