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ミドルウェア

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わかりやすいコンテンツ検索機能とパーソナライズ機能を備えた
新感覚の3Dインタフェースソリューションを支える
日立の組み込みデータベース「Entier」

株式会社 エイチアイ(以下、エイチアイ)の主力製品である「MascotCapsule®(マスコットカプセル)」は、携帯電話や携帯ゲーム機器、 カーナビなどで3D映像表現を可能にする組み込み機器向けのリアルタイム3D描画エンジンです。
携帯電話の国内全キャリアはもちろん、米国・欧州・アジアなどのキャリア向け端末にも搭載され、 世界累計出荷台数はすでに4億台を突破(2008年3月末現在)。

そのMascotCapsuleを応用した幅広いデジタル機器向けUI(*1)として開発されたのが「MascotCapsule UI」です。

エイチアイは2008年5月、オーディオ機器向けの「MascotCapsule UI for MusicPlayer」の提供を開始しましたが、 その付加価値をさらに高めるパートナーとして選んだのが、日立の組み込みデータベース「Entier(エンティア)」です。

(*1)
ユーザーインタフェース

3D技術を活用した新感覚のUIを提供

藤澤達也 氏の写真
株式会社
エイチアイ
取締役
マーケティング部  部長
藤澤達也 氏

工藤重人 氏の写真
株式会社
エイチアイ
研究開発部
2研
(デザインラボ)
課長
工藤重人 氏

コンテンツのリッチ化が進む携帯端末の世界で、グローバルにシェ アを拡大し続けている3D描画エンジン「MascotCapsule」。その開 発ベンダーであるエイチアイの次なるターゲットは、「より幅広いデジ タル機器を対象とした3Dユーザーインタフェース(以下、3DUI)です」 と語るのは、取締役 マーケティング部 部長の藤澤 達也氏。「当社 は、Human Interfaceの頭文字を社名に冠しているように、人と情 報との関係をやさしくすることをモットーに、技術的な難しさやストレ スを感じさせないUIの実現をめざしています。携帯端末の3D表現 ではすでに高い評価をいただいていますが、これからはミュージック プレイヤーやカーナビ、家電などの世界でも、MascotCapsuleの3D 技術を活用した新感覚のUIを提供していきたいと考えています」

その具体的なリファレンスアプリケーションパッケージとして2008 年5月に発表されたのが、オーディオ機器向け3DUIソリューション 「MascotCapsule UI for MusicPlayer」です。3D表示されたアル バムジャケットが自在に画面を飛び回る演出や、画面をタップするた び高速に変化していくビジュアルなプレイリストなどは、まさに未体験 の3DUI。デザイン開発にあたった研究開発部 2研(デザインラボ) 課長の工藤 重人氏は、「見た目の美しさ、楽しさに加え、ユーザー の嗜好をインタフェースに反映できるパーソナライズ機能にこだわり ました」と自信をのぞかせます。

「例えば、ユーザーがよく聴くアルバムを、アルバムリスト上位の選 びやすい位置に表示する機能があります。このようなUIのパーソナ ライズにより、たとえ数え切れないほどの楽曲を端末に保存したとし ても、ユーザーは好きな楽曲を少ない操作で簡単に聴くことができ るようになります。さらに、“J-POP”などのジャンル情報に加え“海に 似合う曲”“卒業に似合う曲”といったキーワード(*2)を順にタップして いくと、タップした条件に合わせてすばやく曲を絞り込み、プレイリス トを作成することも可能。こうしたユーザーの操作履歴をUIに即座 に反映したり、複雑な条件でも好みの楽曲をすばやく絞り込めるの は、背後で強力なコンテンツ管理と検索エンジンを担うEntierが存 在しているからです」

(*2)
株式会社メディアクリックが提供する楽曲情報データベースをカスタマイズした「MUSIC SEL(ミュージック セル)」を利用 しています。

パーソナライズとレコメンドの機能を支えるEntier

日立が提供している「Entier」は、業界最小クラスのロードサイズ でありながら、目的のデータをすばやく検索できる軽量・高速な機器 組み込み型RDB(*3)です。「MascotCapsule UI for MusicPlayer」 と「Entier」を組み合わせたリファレンスパッケージが誕生した背景 を、「今までにないオンリーワンのUIを生み出したかったからです」と 藤澤氏は説明します。「これからのデジタル機器は、デバイスの進 化にともなってストレージメディアの大容量化が進んでいきます。そ こにストックされた膨大な楽曲データや写真データをいかに効率よく ビジュアルに見せていけるかを考えていたとき、出会ったのが Entierでした。エイチアイが持つ優れた3D技 術と、高速・高機能なデータ管理と活用がで きるEntierを組み合わせれば、大量のデータ を軽快に操りながら、幅広いメタ情報を可視 化し、ユーザビリティの向上へとつなげられる、 オンリーワンのUIを実現できると確信しました」

大量の楽曲データの中から、ユーザーが どのアーティストの曲を好んで聴くか、どんなキー ワードで曲を選び出したか−−そういった一人 ひとりの細かな操作履歴をEntierで管理す ることで、使えば使うほどユーザーにとって快 適なUIへとパーソナライズされます。

また、膨大なキーワードを使った楽曲の絞り込みには、Entierなら ではの「繰り返し列機能」が活かされており、高速検索だけでなく、 アプリケーションの稼働メモリ削減にも寄与。具体的には、数万曲を 対象に、複雑な条件でプレイリストを作成しても、Entierであれば約 2MBの固定メモリー内で動作し、レスポンス性能も数秒以内と高速 です。さらに、Entierに蓄えた操作履歴情報を活用することで、ネッ トワークにアクセスした際には、ユーザーの嗜好にあった新譜情報 をレコメンド(紹介)して楽曲購買サイトに誘導するといった新しいサー ビスを容易に実装することも可能です。

(*3)
Relational Database

楽曲閲覧・再生画面
ユーザーインタフェースをパーソナライズできるだけでなく、3Dの奥行きを活用し、小さな画面でより多くのコンテンツを表示でき、操作性を向上できる。

楽曲検索画面
数万件の楽曲タイトルから、ユーザーの嗜好に合わせて高速にプレイリストを作成できる。

汎用性の高いミドルウェアが開発作業を効率化

林 孝彦 氏の写真
株式会社
エイチアイ
ミドルウェア
開発部
アシスタント
マネージャー
林 孝彦 氏

今回のリファレンスアプリケーションパッケージの開発では、組み 込み型ミドルウェアとして実績を重ねてきた「MascotCapsule」と「Entier」 それぞれの独立性とOS非依存性が、MVCモデル(*4)としての開発 効率向上に大きな効果を上げています。

「Entierが担うデータ操作部分と、MascotCapsuleのUI部分に開 発作業を分離できたので、実際のプログラム作成にかかった時間 は1か月程度でした」と語るのは、ミドルウェア開発部アシスタントマネー ジャーの林 孝彦氏。「Entierは、ある程度のSQL知識があれば簡 単に扱えますし、日立さんにまとめていただいたデータ入出力部分 のAPI仕様も非常にわかりやすいものでした。また双方のミドルウェ アを活用することで、アプリケーションのOS依存度が少なくなるため、 例えば、Windows Mobile®からLinuxへの移植も簡単に行うことが できたなど、OSポータビリティも向上しました」

続けて藤澤氏も、「MascotCapsule UIとEntierの組み合わせを、 私たちが一気通貫したソリューションとして提供することで、セットメー カーのお客さまは、膨大なデータベース内の情報をビジュアルな 3DUIとして見せるまでの仕掛けを、開発負担なく柔軟に実装する ことができます。これは機能面だけでなく、お客さまの開発効率やコ スト面でも非常に大きな付加価値になるはずです」とアピールします。

(*4)
Model(データ処理部)、View(表示部)、Controller(制御部)という機能ごとに分けた開発手法。

包括的なコンテンツマネジメントのニーズにも対応可能

「Entier」との連携により、強力なコンテンツ管理機能と検索機能 を備えることになった「MascotCapsule UI」。今回のパッケージは、 ミュージックプレイヤーの新しい楽しみ方の提案からスタートしました が、その汎用性とポテンシャルの高さは、より幅広いデジタル機器の UIに新たな潮流を生み出す可能性を秘めています。

「機能的にみれば、フォトプレイヤーやムービープレイヤー、カーナビ などのさまざまなデバイスに適用しても、同じように付加価値の高い UIを提供できる仕組みが整っています。ネットワークに常時つなが るユビキタスな世界が拡大していく中、将来的にはサーバ側、デバ イス側それぞれのデータベースの中身を効果的にビジュアル化して いく、包括的なコンテンツマネジメントのニーズにも対応していけるで しょう」と語る工藤氏。その言葉を裏付けるかのように、今後エイチ アイではオーディオ分野における3DUIのデファクトスタンダード獲得 をめざす一方で、ビデオや写真、書籍、地図など、さまざまなコンテン ツに対応したリファレンスアプリケーションパッケージの開発を積極 的に進める計画を立てています。

「Entierをきっかけに始まった日立さんとのパートナーシップは、これ からますます強固なものとなっていきます。互いが持つ技術の付加 価値を高め合いながら、より新たな楽しいUIの創造と、新市場の開 拓に力を注いでいきます」と、藤澤氏は力強く言葉を締めくくりました。

USER PROFILE

株式会社エイチアイ

株式会社エイチアイ

[本社] 東京都目黒区東山1-4-4 目黒東山ビル5F
[設立] 1989年4月17日
[代表取締役社長 兼 CEO] 川端一生
[資本金] 10億9,400万円(2008年3月31日現在)
[売上高] 23億3,400万円(23億4,300万円/連結)(2008年3月期)
[従業員数] 131名(150名/連結)(2008年3月31日現在)

[事業内容]
ミドルウェアの企画・開発・ライセンス販売・サポート。コンテンツおよびサービス の企画・制作・運用。

特記事項

  • この記事は、「はいたっく 2008年9月号」に掲載されたものです。
  • 組み込みデータベースEntier の詳細については、ホームページをご覧ください。
  • 記載されている会社名、製品名は、それぞれの会社の商標もしくは登録商標です。
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