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企業情報ニュースリリース

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2021年2月22日

社会イノベーション事業における「AI倫理原則」を策定

人間中心のAIの開発・社会実装により、安心安全でレジリエントな社会の実現とQoL向上に貢献

  株式会社日立製作所(執行役社長兼CEO:東原 敏昭/以下、日立)は、複雑化する社会課題の解決に向け、Lumada*1をエンジンに推進する社会イノベーション事業において、人間中心のAIを開発・社会実装するために「AI倫理原則」を策定しました。AI倫理原則は、3つの「行動規準」と、安全性や公平性、プライバシー保護などの観点で定めた7つの「実践項目」で構成されています。
  日立は、創業当時から社会に貢献するために、社員一人ひとりが高い倫理観を持ち誠実で公正な行動を重んじて事業に取り組んできました。今後もお客さまやパートナーからの信頼に応え、ともに安心して協創活動に取り組めるように、こうした不変の指針に加えて、AIについて明文化した新たな倫理原則をもとにAIに内在するリスク評価や対策を実践していきます。そして、人間の尊厳が守られた安全かつ快適でレジリエントな社会の実現と、人々のQuality of Life(QoL)向上に貢献していきます。

*1
お客さまのデータから価値を創出し、デジタルイノベーションを加速するための、日立の先進的なデジタル技術を活用したソリューション・サービス・テクノロジーの総称。

  AI倫理原則の策定に際し、執行役社長兼CEOの東原敏昭は「日立は「優れた自主技術・製品の開発を通じて社会に貢献する」を企業理念として掲げ、創業以来社会に役立つ技術を世界中に届けると同時に、「損得より善悪」を重視して企業活動を行っています。AI倫理原則を定めることでAI開発における倫理課題を改めて理解し、社会課題を解決して人間中心の社会を構築するAI技術の発展に貢献していきます。」と述べています。

  世界中で気候変動や高齢化などの課題が顕在化し、また、最近では新型コロナウイルス感染症拡大というこれまで経験したことのない危機に人類が直面する中、AIやIoTなどの最先端のデジタル技術が世界中の多くの人の生活に役立ち、社会を支えています。日立は、創業より110年にわたり社会を支え、安心で快適な世の中を実現するために、お客さまやパートナーとともにOT*2領域とIT領域の双方で、さまざまなイノベーションを創出してきました。そのイノベーションの源泉としてAIの重要性は拡大しており、鉄道分野での運行管理やエネルギー分野での送配電計画の最適化、医療や製造分野での機器メンテナンスの高度化、金融分野での与信管理など幅広い分野へと適用されつつあります。日立の社会イノベーション事業において、社会インフラに直結するOT領域ではAIの異常動作や外部からの悪意を持った行為により、社会全体や人命に関わる重大な影響を及ぼすリスクがあり、IT領域ではAIの開発を誤れば差別や偏見、格差を助長するおそれがあります。日立は、これらの課題を深く自覚し、AIの開発や社会実装に内在する倫理的リスクを抑制するため、日立の「AI倫理原則」を策定しました。

*2
OT(Operational Technology) : 制御・運用技術

  具体的には、日立は、「計画」「社会実装」「維持管理」の3つのフェーズにおける「行動規準」と、全てのフェーズに共通する7つの「実践項目」を定め、この原則に基づき、AIを利活用します。

AI倫理原則:行動規準

1. 持続可能社会実現のために、AIの開発、利活用を計画します

  AIの潜在的な倫理的リスクを抑制し、新たな価値の創出を図るには、計画の時点において、サービス、ソリューションやプロダクトにAIを利活用しようとする目的が適切であることが重要です。日立は、社会の多様な課題を解決し、快適で強靭な持続可能社会の実現や、世界中の人々のQoL向上のためにAIの開発と利活用を計画します。

2. 人間中心の視点で、AIを社会実装します

  AIの判断結果が、個人を尊重し、社会の利益に資するよう、責任をもってAIを社会実装し、AIと人間との共生を可能とすることが重要です。日立は自由、公平、公正の理念にのっとり、人間中心の視点でAIの社会実装を行うとともに、AIが想定通りに機能するよう検証に努めます。

3. 提供価値が長期間にわたり持続するよう、AIを維持管理します

  AIの社会実装後にも、AIが長期かつ安定的に価値を提供し続けることが重要です。日立は、AIの提供価値が社会や環境の変化に応じ継続的に受け入れられるよう維持管理に努めます。



  日立は、AI倫理原則に先立ち、2014年7月にプライバシー保護対策を統括する「パーソナルデータ責任者」「プライバシー保護諮問委員会」を設置し、消費者意識の変化や社会的許容度などを捉えながら、多種多様なデータ利活用案件に対してリスク評価・対策を支援し、プライバシーの保護にも配慮したデータ利活用に取り組んできました。6年間で700件以上のプライバシー影響評価を実施し、実事例で直面した課題や国内外の動向、インシデントなどを踏まえ改善を図り、さまざまな運用のノウハウを蓄積してきました。また、1984年に設立した国内企業で最大規模の「日立技術士会」*3においても、技術者倫理の啓発・研鑽を社内外で実践しています。このような実績や運用ノウハウも活用しながら、データサイエンティストのトップ人財やAI研究者が中心となり、AI倫理原則を策定しました。
  現在、社会イノベーション事業における先進の協創プロジェクトが多く集まる「Lumada Data Science Lab.」を中心に、「AI倫理原則」をもとにしたチェックリストを活用することで、AIの利活用目的の確認や社会実装へのリスク評価、対応策立案など具体的な運用を開始しています。また、対応策の一つとして、Explainable AI(XAI:AIを説明するための技術)の適用なども積極的に行っています*4

*3
技術者の国家資格である技術士資格を有する日立グループ社員とOB、OGで構成される組織。日立グループの発展に寄与し、技術を通じて社会へ貢献することを目的とする。 日立技術士会
*4
理由を説明できることでデータの信頼性や公平性が生まれ、間違いが発生した際も改善点を導き出すことができるようになるため、AIの社会実装および維持管理において、安全性や信頼性を高めることが可能になる。

  今後、日立は、AI倫理確立に向けた取り組みをホワイトペーパーとして公開することで、社会全体での議論活性化に貢献するとともに、ステークホルダーの多様な意見を取り入れながら、継続的に検討し、内容や運用の改善、啓発を図っていきます。

AI倫理原則:実践項目

1. 安全重視

  AIおよびAIを活用したシステムやソリューションが想定通りの動作をするよう品質を検証し、利用者やそれに関係する者の生命や健康をはじめとする人権、財産、名誉、信頼、信用を守ることに努めます。また、同時に、地球環境の破壊あるいは悪化を防止し、人々に安全な暮らしを提供するAIの実現、運用に努めます。

2. プライバシー保護

  AIの学習、評価、運用に利用する入力データおよびAIが出力するデータに関して、個人情報を適切に扱い、プライバシーを含む権利を保護するようAIの実現、運用に努めます。

3. 公平性実現

  AIの判断結果が、多様なステークホルダーの利益に資するとともに、人種、性別、国籍などによる差別や偏見を発生させたり助長させたりすることがないようAIの実現、運用に努めます。

4. 適正開発・利活用

  AIが設計された用途や動作条件から逸脱した使い方をされないよう、AIの具体的な利活用シーン(ユースケース)におけるリスクポテンシャルを踏まえた開発を行い、AIの適正な利活用に努めます。また、利用者や運用者等に対し利用方針、利用条件等を示すことでAIの適正な運用に努めます。さらに、AIが利用される動作環境の変化、AIやその判断結果に対する人々の意識や社会状況の変化などを随時確認し、AIの適切な維持管理に努めます。

5. 透明性・説明責任重視

  AIの判断結果の根拠などを検証し説明できるようAIの透明性確保に努めるとともに、AIやその判断結果に関して用途や状況に応じ、説明責任を果たすよう努めます。

6. セキュリティ重視

  情報漏洩、改ざん、システムの破壊、サービスの妨害などを防止するよう、システムや運用レベルでの対策も含め、セキュリティを重視したAIの実現、運用に努めます。

7. 法令遵守

  利用される国や地域の法令を遵守した、AIの実現、運用を行います。

関連情報

日立製作所について

  日立は、IT(Information Technology)、OT(Operational Technology)およびプロダクトを組み合わせた社会イノベーション事業に注力しています。2019年度の連結売上収益は8兆7,672億円、2020年3月末時点の連結従業員数は約301,000人でした。日立は、モビリティ、ライフ、インダストリー、エネルギー、ITの5分野でLumadaを活用したデジタルソリューションを提供することにより、お客さまの社会価値、環境価値、経済価値の3つの価値向上に貢献します。

お問い合わせ先

株式会社日立製作所 Lumada Data Science Lab. 事務局

以上

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