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企業情報ニュースリリース

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2020年10月23日

オープン協創拠点「協創の森」にローカル5G実証環境を開設し、
社会インフラ向けの高信頼なエッジコンピューティング運用技術を実証

北米のシリコンバレーリサーチセンターに続き実証環境を構築、お客さまとDXを加速

[画像]オープン協創拠点「協創の森」にローカル5G実証環境を開設し、社会インフラ向けの高信頼なエッジコンピューティング運用技術を実証

  株式会社日立製作所(執行役社長兼CEO:東原 敏昭/以下、日立)は、日立アメリカ社の研究開発部門の一部であるシリコンバレーリサーチセンターに続き*1、東京都国分寺市の日立製作所中央研究所にある協創の森*2に商用局免許でのローカル5G実証環境を開設し、5Gを活用したデジタルソリューションを現場に迅速に導入して、安定的に運用できる、高信頼なエッジコンピューティング運用技術(以下、本技術)を実証しました。本技術は5Gを活用した高信頼なシステムを実際の現場で実現するための基盤となるもので、お客さまの現場システムやネットワーク環境に応じて、アプリケーションの要求品質を満たす形の通信環境を提供し、その上でリアルタイム処理機能を迅速に配備することが可能です。
  今後、日立は独自のデジタルソリューションであるLumadaを5Gと掛け合わせることでさらに高度化し、お客さまとの協創を通じて、インダストリー、モビリティ、エネルギーなどの社会インフラ分野への適用を進めることで、ニューノーマル時代におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進を加速していきます。

*1
2020年9月25日 米国カリフォルニア州のシリコンバレーリサーチセンターにおいて、5Gによる産業用IoTソリューションのテストを開始。
*2
協創の森:東京都国分寺市にある日立製作所の中央研究所内に開設したイノベーション創生を加速するための研究開発拠点。

  高速大容量、高信頼低遅延、同時多接続などの特長を持つ5G(第5世代移動通信システム)は、IoT(Internet of Things)の技術と組み合わせることでさまざまな産業のDXを加速させることが期待されています。
  5Gの特性を生かした映像伝送技術やシステム制御技術を現場のシステムに導入することで、生産性が飛躍的に向上することが見込まれますが、同時に、安全と品質を担保する社会インフラ事業のシステムには高い信頼性が求められます。今回、日立は、さまざまな社会インフラ分野におけるDX推進の仮説検証の場として、協創の森にローカル5G実証環境を整備し、稼働を開始しました。さらに、お客さまが5Gを活用する際の基盤となる、5Gソリューションの導入と運用を容易にする本技術を開発しました。本技術の特長は以下の通りです。

1. アプリケーションに応じた信頼性の高い5G通信環境を迅速に提供する技術

  お客さまごとに機器制御や映像伝送などのアプリーケーションに求める通信品質は異なり、また、現場では、これら複数の通信が混在しています。本技術では、配備するアプリケーションの通信要件と現場のネットワーク環境に応じて通信品質を保証する最適な通信方式を選択します。これにより、アプリケーションに応じた信頼性の高い5G通信環境を迅速に提供することができます。

2. 柔軟なシステム運用を実現するアプリケーションの最適機能配備技術

  アプリケーション要件を満たすためには、通信遅延を削減できる現場(エッジ)での処理と大量の演算を行えるクラウドでの処理を最適に組み合わせる必要がありますが、その設計や配置には多大な工数を必要としていました。特に、現場ではスペースや電力、レイアウトなどから生じるコンピューティングやネットワークの制約があり、配置設計は複雑になっています。本技術では、これらの制約を把握して、現場のシステム環境などに応じて最適な機能の配備と追加を容易に実施できるため、柔軟なシステム運用を可能にします。

3. 制約のあるエッジデバイスで高負荷なリアルタイム処理を実現するエッジAI*3技術

  現場のエッジデバイスにはコンピューティング性能に限界があり、画像認識などの高負荷なAI処理のリアルタイム実行が困難でした。本技術では、エッジデバイスで動かすディープニューラルネットワーク(DNN:推論モデル)の認識精度を維持しつつ、不要な計算部分を削減するための学習を効率的に行うアルゴリズムにより、推論モデルを自動的に軽量・圧縮生成します*4。これにより、制約のあるエッジデバイスで高負荷なAI処理のリアルタイム実行を可能にします。

*3
AI: Artificial Intelligence。人工知能。
*4
18th IEEE International Conference on Machine Learning and Applicationsにて関連技術を発表済。

  今回、開設したローカル5G実証環境で、製造ラインの機能変更が頻繁に発生する多品種少量生産の製造現場を模擬し、映像による作業者支援の検証を行いました。その結果、機器制御や映像伝送など複数系統の無線通信が混在する環境でも、システムの運用に必要な、高信頼(パケット誤り率*5技術 0.0001%)で低遅延(遅延時間50ミリ秒以下)の、高品質な通信環境を構築することができました。さらに、従来1時間以上掛かっていたアプリケーションの配備を、専門的な知識無しに1分以内で実施することができました。この結果から、本技術により長時間の生産ライン停止を抑制でき、5Gを活用したシステムの導入・運用が容易にできることを確認しました。
  また、本技術は製造現場だけでなく、多くのエッジデバイスにより高度なOTの技術を必要とする鉄道やプラントなどの社会インフラにおけるデジタルソリューションへの活用も期待されています。

*5
パケット誤り率:デジタル通信では、データは通常パケット単位で伝送され、処理もパケット単位で行われており、1パケットが正常に受信されるかどうかの指標。

  日立グループは、長年、蓄積してきたOTのノウハウと、AIなどの先端のデジタル技術を活用し、お客さまのデジタルイノベーションを加速するLumadaソリューションを展開しています。今後も、Lumada×5Gによって、OTとIT融合のさらなる進化とソリューションの高付加価値化を図り、グループの総力を結集してさまざまな社会課題の解決に貢献していきます。

Hitachi Social Innovation Forum 2020 TOKYO ONLINEでの紹介について

今回の取り組みを含めた日立グループの5Gへの取り組みは、日立が2020年11月4日(水)〜6日(金)に開催する「Hitachi Social Innovation Forum 2020 TOKYO ONLINE」において、ご覧いただけます。11月5日(木)10:30から開催する「Lumada×5Gで描く新しい社会」の中で紹介する予定です。

日立製作所について

  日立は、OT(Operational Technology)、IT(Information Technology)およびプロダクトを組み合わせた社会イノベーション事業に注力しています。2018年度の連結売上収益は9兆4,806億円、2019年3月末時点の連結従業員数は約296,000人でした。日立は、モビリティ、ライフ、インダストリー、エネルギー、ITの5分野でLumadaを活用したデジタルソリューションを提供することにより、お客さまの社会価値、環境価値、経済価値の3つの価値向上に貢献します。

お問い合わせ先

株式会社日立製作所 研究開発グループ

以上

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