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企業情報ニュースリリース

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2019年11月26日

再生医療の普及に向け、細胞の3次元培養法の自動化技術を開発

細胞の最適な製造方法を提案する自動製造プロセスの構築支援サービスの提供を開始

[画像]手技および自動培養装置で大量培養した心筋細胞の位相差顕微鏡像、(左)手技 (心筋分化効率*1 68.1%)、(右)自動培養装置 (心筋分化効率 92.2%)

  株式会社日立製作所(執行役社長兼CEO:東原 敏昭/以下、日立)は、日立のiPS細胞大量自動培養装置*2(以下、自動培養装置)を用いて、従来の課題を解決できる3次元培養法*3の自動化技術を新たに開発しました。2次元培養法*4と3次元培養法をともに自動化したことで、ニーズに合わせて心筋細胞などのさまざまな細胞を自動で大量に製造することができます。本技術は低分子化合物を用いて培地コストを低減した、iPS細胞の心筋分化培養技術に強みを持つ株式会社マイオリッジ(代表取締役社長:牧田 直大/以下、マイオリッジ)との共同研究の成果です。
  また、細胞の製造自動化を検討している顧客に、細胞の最適な製造方法を提案する自動製造プロセスの構築支援サービスの提供を2019年12月1日から開始します。本サービスでは、マイオリッジとの共同研究における自動培養技術開発の知見を生かし、顧客の細胞製造プロセスを精査して、重要なパラメータを抽出し、最適化方法を提案します。

  近年、失われた組織や臓器の機能を、細胞を用いて回復させる再生医療の普及が期待されています。再生医療には大量の細胞が必要ですが、再生医療等製品の製造における細胞培養は、ほぼ熟練者による手技で行われており、製造できる細胞の数には限りがあります。再生医療の普及に向け、細胞を一定の品質で大量に供給できる自動培養技術の開発が求められています。

  日立は、iPS細胞を大量に製造するための自動培養技術の開発に取り組み、2017年6月に研究用として自動培養装置を開発しました。この自動培養装置は、培養容器や培地ボトルの無菌接続が可能な流路モジュールを用いた完全閉鎖系を採用しており、無菌環境で細胞の播種、培養、観察を行えるため、品質の高い細胞を大量に製造することができます。
  2019年3月にはGCTP省令*5の適合に必要な機能を有した、日本初*6の装置として、iPS細胞大量自動培養装置iACE2を製品化*7し、販売しています。

  今回、日立はマイオリッジとの共同研究により、培地コスト低減、シェアストレス*8低減、培地交換作業の簡易化の3点を実現する新たな3次元培養法を自動化しました。従来の3次元培養法は、培養容器内で高さ方向に培養させるため、多量の培地を必要とすることや培地の撹拌(かくはん)によるシェアストレス、培地交換作業が複雑、などの課題がありました。日立は、2018年10月からマイオリッジと共同研究を行い、2次元培養法向けの大量培養容器に細胞凝集塊(さいぼうぎょうしゅうかい)を均一かつ高密度に分布させる3次元培養法の自動化技術を開発し、手技より高効率な心筋細胞の製造自動化を実現しました。本技術は心筋細胞以外の細胞にも適用できると考えられ、さまざまな細胞の製造自動化が期待されます。

  また、日立は本開発の知見を生かし、2次元培養法や3次元培養法による細胞の製造自動化を検討している顧客に対し、自動培養装置による自動製造プロセスの構築支援サービスを提供します。再生医療などに用いる細胞の製造プロセスは細胞によって異なっており、自動化には細胞に合わせて自動培養装置の細胞懸濁液(さいぼうけんだくえき)*9の送液速度や大量培養容器の揺動角度などのパラメータを最適化する必要があります。本サービスでは、顧客の細胞製造プロセスを精査し、重要なパラメータを抽出、最適化方法を提案します。本サービスの提供により、顧客の細胞製造の自動化を支援します。

  日立グループは、今後も自動培養装置、自動培養プロセスの構築支援サービス、細胞製造施設、関連機器類、製法開発や受託製造サービスなどをトータルで提供し、再生医療の普及に貢献します。

[画像]3次元培養法の自動化*10イメージ図
3次元培養法の自動化*10イメージ図

*1
心筋分化効率:iPS細胞から心筋細胞へ分化した細胞の割合。本データでは心筋トロポニンTタンパク質の発現量の計測により算出した。
*2
iPS細胞大量自動培養装置は医薬品医療機器等法が定める医療機器ではありません。
*3
3次元培養法:細胞を容器底面などに接着させず、細胞の凝集塊を形成させることで3次元的に増殖させる培養方法。生体内の環境に近く、心臓や肝臓などへの分化が促進でき、再生医療への応用が期待されている。
*4
2次元培養法:細胞を容器の底面などに接着させ、2次元的に単層を形成しながら増殖させる培養方法。
*5
GCTP省令:再生医療等製品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令。GCTPはGood Gene, Cellular, and Tissue-based Products Manufacturing Practiceの略。
*6
日立調べ。
*7
再生医療の普及に向け、iPS細胞大量自動培養装置を製品化(2019年3月11日)
*8
シェアストレス:培地を撹拌した際などに発生する波による細胞に対するせん断応力。
*9
細胞懸濁液:細胞を培地などの液体に混合させたもの。
*10
  特許出願中(2019年11月26日時点)

日立製作所について

  日立は、OT(Operational Technology)、IT(Information Technology)およびプロダクトを組み合わせた社会イノベーション事業に注力しています。2018年度の連結売上収益は9兆4,806億円、2019年3月末時点の連結従業員数は約296,000人でした。日立は、モビリティ、ライフ、インダストリー、エネルギー、ITの5分野でLumadaを活用したデジタルソリューションを提供することにより、お客さまの社会価値、環境価値、経済価値の3つの価値向上に貢献します。

お問い合わせ先

株式会社日立製作所 ヘルスケアビジネスユニット 分析システム事業部[担当:本郷、大友]
〒110-0015 東京都台東区東上野二丁目16番1号 上野イーストタワー
電話 : 03-6284-3041(直通)

以上

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