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企業情報ニュースリリース

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2014年3月7日

危険を予知して回避する人間共生ロボット「EMIEW2」の自律移動技術を開発

人が死角から飛び出す可能性を推定し、出会い頭での衝突を防止

  株式会社日立製作所(執行役社長 : 中西 宏明/以下、日立)は、人間共生ロボット「EMIEW2」の移動技術を進化させ、死角から人などが飛び出す可能性の高さ(危険ポテンシャル)を推定し、その高さに応じた回避行動をとる移動技術を新たに開発しました。本技術は、死角が多い環境での安全かつスムーズな自律移動を可能とし、ロボットの自律移動技術を大きく改善するものです。

  日立は2007年に、オフィスや公共施設での案内サービスを目的として、人間共生ロボット「EMIEW2」を開発しました。「EMIEW2」は、本質安全のための小型・軽量設計と、人の早足とほぼ同じ時速6kmでの走行を両立しています。また、レーザースキャナによって歩行者や障害物を認識し、衝突を回避しながら自律移動する技術を備えています。
  近年では、ロボットや自動車の自律移動技術の開発が活発であり、特に自動車ではカメラやレーダーなどのセンサを用いた障害物検出・衝突防止機能が実用化されています。しかしながら、実環境下では、曲がり角や建物、柱、設置物の向こう側など、センサからは見ることの出来ない「死角」が多く存在します。特に歩行者の多い環境で安全かつスムーズに自律移動するためには、これらの死角にどのように対応するかが重要となります。
  死角には、頻繁に人が通る扉や曲がり角など「人が飛び出しやすい死角」がある一方で、人が全く通らない扉や壁のくぼみなど「人が飛び出さない死角」も存在します。そこで日立では、人の飛び出す可能性を死角ごとに見分け、その可能性に応じて危険性の高い領域を避け、避けきれない場合は安全な速度以下に減速して進むことで、安全かつスムーズな自律移動を実現する技術を開発しました。開発した技術は、検出した死角から人が飛び出す可能性を、蓄積した知識を基に推定する「危険ポテンシャル推定技術」と、推定した危険ポテンシャルの高さに応じて回避行動をとる「危険ポテンシャル回避技術」の2つです。開発した技術の詳細は以下の通りです。

(1) 知識に基づいて死角での人の飛び出し可能性を推定する「危険ポテンシャル推定技術」
  まずロボットは、巡回中に遭遇した歩行者の通行位置と速度をレーザースキャナによって認識し、歩行者通行情報地図としてデータベースに記録・蓄積します。これによりロボットは、歩行者が頻繁に通行する位置と速度を知識として獲得します。その後ロボットは、検出された死角位置での歩行者通行情報を参照し、そこに記録してある歩行者の速度が速いほど高い「危険ポテンシャル」を設定します。このように歩行者通行情報地図に蓄積した知識に基づいて、死角から人が飛び出す可能性を推定することが可能となります。
(2) 危険ポテンシャルに応じた行動を生成する「危険ポテンシャル回避技術」
  上記(1)の推定技術により生成した危険ポテンシャルに応じて、危険を回避する経路をリアルタイムに生成し、安全に移動します。ロボットは危険ポテンシャルが高いほど、その死角から離れ、危険ポテンシャルのより低い場所をできるだけ速度を落とさずに移動します。また、死角に近づかざるを得ないときは減速して接触しても安全な速度で通行します。この技術により、人が飛び出す可能性に応じて安全かつ効率的な自律移動が可能となります。

  今回「EMIEW2」に搭載した機能を確認するため、一般的な屋内通路を模擬した幅1.2mの通路内で走行実験を行い、危険ポテンシャルの高い死角の回避および回避不可能なときの減速動作を確認しました。その一例を図に示します。①「EMIEW2」が曲がり角のある通路に差しかかります。②センサではまだ人は検出されていませんが、危険ポテンシャルの高さにより、曲がり角から少し離れた方向に進路を変更します。③曲がり角から人が出てきます。④人との安全な距離を確保しながらすれ違うよう、行動します。
  日立では、今後も自律移動技術をはじめ、人と共存し、人をサポートするサービスロボットの実用性向上をめざして開発を推進します。
  なお本技術は、2014年3月13日、14日に開催される「計測自動制御学会・日本機械学会・日本ロボット学会共催 第19 回ロボティクスシンポジア」にて発表予定です。

[画像]曲がり角から飛び出す歩行者を回避するEMIEW2

お問い合わせ先

株式会社日立製作所 日立研究所 企画室 [担当 : 影山]
〒319-1292 茨城県日立市大みか町七丁目1番1号
電話 0294-52-7508 (直通)

以上

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