ページの本文へ

Hitachi

メニュー

企業情報ニュースリリース

このニュースリリース記載の情報(製品価格、製品仕様、サービスの内容、発売日、お問い合わせ先、URL等)は、発表日現在の情報です。予告なしに変更され、検索日と情報が異なる可能性もありますので、あらかじめご了承ください。なお、最新のお問い合わせ先は、お問い合わせ一覧をご覧下さい。

2014年2月6日
株式会社日立製作所
株式会社日立プラントサービス

工場廃水処理向け
アナモックス菌を用いた高速窒素除去システムの初号機が稼働開始

大幅なランニングコスト低減と省スペース化を実現

  株式会社日立製作所(執行役社長 : 中西 宏明/以下、日立)の100%子会社である株式会社日立プラントサービス(取締役社長 : 村山 義治)は、先進の工場廃水処理システムとして、日立が開発したアナモックス菌*1を用いた高速窒素除去システムの初号機が、このたび稼働開始したことをお知らせします。このシステムは、国内大手化学メーカーの工場向けに納入したもので、このシステムを用いることで大幅なランニングコスト低減と省スペース化を実現します。

  今回稼働を開始したアナモックス菌を用いた廃水処理システムは、富栄養化の原因物質として規制の対象となっている廃水中の窒素成分を、アナモックス菌という微生物を用いることにより、高速かつ効率的に処理する特長を有し、世界でも納入例は少ない*2システムです。このシステムは、従来方式を用いたシステムと同等の窒素除去性能を有する*3とともに、約70%のランニングコスト低減*3と約60%の省スペース化*3を実現します。また、今回納入したシステムのアナモックス反応槽の容量は約100m3で、アナモックス菌を用いたシステムとしては国内最大級*2です。日立の開発したシステムの高い窒素除去性能と安定性に加え、システムの維持管理が容易な点などが高く評価され、このたびの納入・稼働に至りました。

  日立は、アナモックス菌を用いた高速窒素除去システムの研究を、2005年11月から3年間にわたり、日本下水道事業団と共同で行うことによって、下水汚泥の脱水ろ液を対象とした基本的な窒素処理システムを確立しました。さらに日立では、2009年7月から独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「省水型・環境調和型水循環プロジェクト」に参画し、新機能微生物利用技術の開発としてアナモックス菌を用いた高速窒素除去システムの産業廃水への適用に取り組んでおり、このプロジェクトで得た各種化学物質がアナモックス菌に及ぼす影響などの成果を活用することで本システムの実用化を実現しました。

  今後は、主に、化学工業、半導体工業などのアンモニアを使用する各種工場廃水処理向けに積極的な拡販を図っていきます。

アナモックス菌を用いた高速窒素除去システムの概要

  従来、廃水中の窒素の処理方法としては、アンモニアを硝化菌により硝酸へと酸化させる硝化工程と、その硝酸を窒素ガスに変換する脱窒工程を経る「生物学的硝化・脱窒法」が一般的に用いられてきました。
  今回日立が開発した、高速窒素除去システムでは、アナモックス菌の特性により、以下の3点を実現します。

(1)
硝化工程では、アンモニアの約半量を亜硝酸に酸化するのみでよく、従来方式に比べて酸化用の酸素供給に要する動力コストを約50%低減*3できる。
(2)
脱窒工程では、従来方法では必要な薬品(メタノールなど)を使用せずに窒素ガスに変換することができるため、従来方式に比べて薬品添加量を約80%削減*3できる。
(3)
アナモックス菌による窒素処理が、従来比で約2倍の速度*3で行えるため、従来方式と比べて大幅な省スペース化を実現できる。

  なお、硝化菌に比べて増殖速度が極めて遅いというアナモックス菌の課題を解決するために、日立では、下水処理・産業廃水処理向けに豊富な実績を有する包括固定化窒素除去プロセス「ペガサス」*4で長年培ってきた包括固定化技術を応用し、アナモックス菌を高分子ポリマーで成形した約3mm角のゲル(固定化ゲル)の中に閉じ込めることで、アナモックス菌を高濃度に保持する独自の方式を採用しています。

*1
アナモックス菌 : Delft(デルフト)工科大学の研究グループにより1990年代初めて報告されたもので、「嫌気性アンモニア酸化(Anaerobic Ammonium Oxidation)」の略称から「アナモックス(anammox)」と呼ばれている。(1)薬品(メタノールなど)を使わずに、アンモニアと亜硝酸から直接窒素ガスを生成できる、(2)処理速度が速いという、特長を有する。
*2
2013年12月現在、日立調べ。
*3
日立試算値 : 試算条件は、廃水処理量500m3/d、廃水窒素濃度700mg/L、窒素除去率80%として、従来の硝化・脱窒法(担体添加法)と比較した場合。
*4
包括固定化窒素除去プロセス「ペガサス」 : 日立が地方共同法人日本下水道事業団と共同で開発を行った下水高度処理システムで、国内下水処理向けに15カ所の納入実績を有している。また、産業排水処理向けにも25件の納入実績を有している。なお、「ペガサス」は、日立と日本下水道事業団の日本登録商標。

システム比較例

[画像]システム比較例

お問い合わせ先

株式会社日立製作所 インフラシステム社 インフラ建設・エンジニアリング事業本部
環境事業統括本部 水処理事業部 開発部 [担当 : 大塚]
〒170-8466 東京都豊島区東池袋四丁目5番2号
電話 : 03-5928-8583(直通)

以上

Adobe Readerのダウンロード
PDF形式のファイルをご覧になるには、Adobe Systems Incorporated (アドビシステムズ社)のAdobe® Reader®が必要です。