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2013年12月18日
独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構
株式会社日立製作所
株式会社みずほ銀行
株式会社サイバーディフェンス研究所

ハワイにおける日米スマートグリッド実証事業の実証サイトが始動

再生可能エネルギーの効率的な利用システムの確立へ

  独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(理事長:古川 一夫/以下、NEDO)および株式会社日立製作所(執行役社長:中西 宏明/以下、日立)、株式会社みずほ銀行(以下、みずほ銀行)、株式会社サイバーディフェンス研究所(以下、サイバーディフェンス研究所)が共同で取り組んでいる、ハワイ州マウイ島におけるスマートグリッド実証事業の実証サイトが、12月17日(現地時間)に、運転を開始しました。
  本実証事業は、日米の政府間合意に基づいて実施されるもので、再生可能エネルギーの効率的な利用や同エネルギー特有の急激な需給変動への対応を、電気自動車(以下、EV)などの活用により可能とする、島しょ域スマートグリッド技術の検証を行うことが目的です。本実証サイトは、2013年12月17日から2015年3月末までの稼働を予定しており、その分析・評価結果を基に、低炭素社会を実現するシステムである島しょ域スマートグリッドとしてビジネスモデルを構築し、マウイ島と同様の環境をもつ島しょ域、亜熱帯地域を対象に展開を図っていきます。

  現在、ハワイ州マウイ島では、2012年時点で再生可能エネルギーの導入比率が21%であり、今後、ハワイ州全体では、2030年までに電力需要の40%以上を再生可能エネルギーとする計画です。こうした再生可能エネルギーの導入が進んでいる環境において、再生可能エネルギーの利用に伴い生じる課題を解決するため、NEDOは2011年より、「ハワイ州マウイ島におけるスマートグリッド実証事業(正式名称:Japan U.S. Island Grid Project)、プロジェクト呼称:JUMPSmartMaui」を開始し、取り組んでいます。日立は、その実証事業の責任者として全体を取りまとめ、みずほ銀行、サイバーディフェンス研究所に加え、ハワイ州、マウイ郡、ハワイ電力、ハワイ大学、米国国立研究所などと共同で、実証サイトの構築を進めてきました。

  本実証事業においては、EVを活用した島しょ域スマートグリッドを実現するため、EVエネルギーコントロールセンターを設置するとともに、マウイ島キヘイ地区の配電系統を制御するシステム(Distribution Management System/以下、DMS)や、電力系統の需給バランスを制御して再生可能エネルギーの効率的な運用を支援するエネルギーマネジメントシステム(Energy Management System-Plus/以下、EMS-Plus)を設置しました。また、再生可能エネルギーの変動影響を緩和するため、需要家側の機器を直接制御するダイレクトロードコントロール(Direct Load Control/以下、DLC)を実施しています。
  これまで、実証に参加するマウイ島のEVユーザーや、キヘイ地区において、自宅に設置している電気温水器の制御実験を行う一般需要家などのボランティアの募集を推進してきました。また、EV用急速充電ステーションの設置や実証サイト全体のシステム安全性を実現するために、米国におけるサイバーセキュリティ基準への適合を進めてきました。
  現在、ボランティアは、EVユーザー向けが約150台、需要家としては約40軒程度の関心を集めています。今後さらなる実証の推進に向け、ボランティア登録を進め、EVユーザーのボランティアを200台、需要家ボランティアを40軒としていく予定です。また、EV用急速充電ステーションは、現在5拠点に20台の充電スタンドを設置していますが、将来的には20拠点まで拡大していきます。

  本サイトの運転開始にあわせ、12月17日(現地時間)に、マウイ島にて運転開始式を行いました。式典には、NEDO 理事 国吉 浩、日立 執行役副社長 田中幸二、みずほ銀行 常務執行役員 中村 康佐、サイバーディフェンス研究所 代表取締役 久保田 誠のほか、ハワイ州マウイ郡からAlan M. Arakawa郡長、マウイ電力Sharon Suzuki社長が出席しました。

  本実証サイトでは、マウイ島に設置されている総出力7.2万kWの風力発電システムと電力系統を用いて、IT(情報技術)を活用しながら、配電系統や需要家側負荷の制御、複数タイプの急速充電器を含めたEVの運用・充電制御システムなどの実証を行います。実証サイトの運転は、2015年3月までの予定で、実証試験の分析・評価結果をもとに、今後、ビジネスモデルの検討、議論を進めていきます。

ハワイ州マウイ島におけるスマートグリッド実証の具体的内容について

  本実証事業は、2009年11月に日米首脳会議にて合意した「日米クリーン・エネルギー技術協力」および2010年6月に、経済産業省、米国エネルギー省、沖縄県、米国・ハワイ州間で交わされた「沖縄・ハワイクリーン・エネルギー協力に関わる覚書」に基づき、NEDOが米国ハワイ州と2011年11月に、マウイ郡と2013年6月に基本協定書を締結して実施しているものです。
  再生可能エネルギーの有効利用率の向上を目的とし、EVを活用した島しょ域スマートグリッドの構築を実現するため、EVエネルギーコントロールセンターを設置し、キヘイ地区に設置したDMSやマウイ電力の電力系統における需給バランスを制御するEMSと連携させることで、島しょ域における統合的なエネルギー管理を実現します。また、EVとEMSの連携により、EVに搭載されているカーナビゲーションやPC、スマートフォンなどを活用したEV充電状況のモニタリングや充電開始時間の自動調整が可能となることから、再生可能エネルギーの余剰電力を効率的にEVへ吸収させる仕組みについて検証します。
  キヘイ地区に設置したDMSは、再生可能エネルギー比率の増加に伴う出力変動の影響を緩和し、配電系統の安定化を図ることを目的に、周波数支援制御*1や蓄電池制御、µ(マイクロ)DMS*2制御、需要家機器を制御するDLCを行います。さらに、住宅や商業施設などの建造物の配電系統を担う低圧系統においては、µDMSによる自律制御を可能とし、トランスへの過負荷防止のための緊急負荷制御や、太陽光発電(Photovoltaics)の出力制御および電圧制御を行うことができます。これらのDMSとµDMSが連携し、階層的に制御を行うことで、配電系統を安定化させる効果を検証するとともに、周波数の異常緩和やDLCなどの系統全体の最適なエネルギーマネジメントの検証を行います。

*1
周波数支援制御:風力発電など再生可能エネルギーの出力が急激に変動すると、電力系統周波数に変化が表れる。周波数が規定値を逸脱しそうになった時に、DMSは緊急性の低い負荷を遮断したり、バッテリーの充放電量を調整することで、周波数の変動を抑制する。
*2
µDMS:低圧変圧器に設置され、配電系統全体の制御を行うDMSの下層システムとして、DMSと低圧配電系統間の双方向通信機能により、家庭内機器制御を担う。

本サイトのイメージ図

[画像]本サイトのイメージ図

以上

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