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Hitachi

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2013年5月14日

従来比約3分の2サイズの
鉄道車両用3.3kV/1,200Aパワーモジュールを開発

最高動作温度150℃で損失を20%低減

  株式会社日立製作所(執行役社長 : 中西 宏明/以下、日立)は、このたび、従来の約3分の2のサイズに小型化した1,500V架線用の鉄道車両用3.3kV(キロボルト)/1,200A(アンペア)パワーモジュールの開発に成功しました。開発したパワーモジュールには、現在主流のSi(Silicon : シリコン)を用いており、主として架線から供給される直流電圧をモーター駆用の交流電圧に変換するインバーターに搭載されるものです。今回開発した技術は、パワーモジュールの小型化、および小型化により発生する温度上昇を防ぎ、鉄道車両用インバーターへの実装を可能とします。これにより、鉄道車両用インバーターの小型化や軽量化、省エネ化に貢献します。

  鉄道は、環境負荷の少ない輸送システムとして、近年世界的に需要が高まっていますが、さらなる高効率化に向けて、車両やインバーターの軽量化に向けた開発が進められています。日立は、1992年に世界で初めてSi-IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)モジュールを適用した鉄道車両用インバーターの実用化に成功して以来、IGBTモジュールの低損失化と高信頼化の技術開発に取り組んできました。Si-IGBTモジュールには、750V架線用の1.7kVと1,500V用の3.3kVの2種類のモジュールがありますが、より高電圧での動作が必要な3.3kVのモジュールには、一般的に140mm×190mm規格が採用されており、インバーターの軽量化に向けて小型化が望まれていました。そこで今回日立は、3.3kVモジュールを従来比約3分の2へ小型化を実現すると共に、小型化により発生する温度上昇に対応し、インバーターへの実装を実現するための技術を開発しました。
  開発した技術の特長は以下の通りです。

(1) Si-IGBT,ダイオードチップの電流密度の向上技術
  パワーモジュールの小型化のためには、チップの電流密度を高める必要があります。今回、IGBTチップをトレンチゲート構造*1とすることによって電流密度を向上させ、セルサイズを約3分の2に縮小しました。また、構造の変更により、従来に比べ損失を20%低減できることを確認しました。
(2) 高温対応実装技術
  パワーモジュールの小型化のために、チップあたりの電流密度を高めると、温度が上昇します。そこで、チップへの熱集中を防ぐために高熱伝導絶縁基板を用いました。また、シミュレーションにより最適なチップ配置を決定、接合材にはスズ銀系半田を、端子の接続部には超音波による金属接合方式を採用することによって、開発品の熱抵抗を20%低減することに成功しました。また、今回開発したモジュールに用いた素材は、RoHS指令*2へ対応するものです。

  日立は、今後も環境性能に優れた技術を開発し、低炭素社会の構築、地球環境の保全に貢献していきます。本技術は、5月14日にドイツで開催される「PCIM Europe 2013」および5月27日に日本で開催される「ISPSD 2013」で発表予定です。

*1
トレンチゲート構造 : 半導体表面に溝を形成し、その内部にゲートを設けた構造
*2
RoHS指令 : 電子・電気機器における特定有害物質の使用制限についての欧州連合(EU)による指令

[画像]当社現行品と開発品の比較

お問い合わせ先

株式会社日立製作所 日立研究所 企画室 [担当 : 滝澤]
〒319-1292 茨城県日立市大みか町七丁目1番1号
電話 : 0294-52-7508(直通)

以上

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