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2012年4月16日

最大2,000台のスマートメータの一元管理が可能な
自動検針システムの無線ネットワーク基本技術を開発

国際標準通信規格であるRPLに準拠、
大都市における超高層住宅などでの自動検針に貢献

  株式会社日立製作所(執行役社長 : 中西 宏明/以下、日立)は、このたび、950MHz特定小電力無線帯域を使用し、約2,000台までのスマートメータの検針データを1台の集約装置で一元的に管理可能な、無線ネットワークの基本技術を開発しました。本技術は、国際標準通信規格RPL*1に準拠しており、中国やシンガポールなどといった、高密度化が進展した大都市において、1,000世帯を超える超高層集合住宅を対象とした大規模自動検針システム構築に貢献するものです。

  近年、電力エネルギーの効率的な利用を目的として、スマートグリッド関連などの技術開発が活発に行われており、AMI*2(先進的検針インフラ)は、スマートグリッドを構成する一要素として、通信技術を用いて家庭などの需要家の消費電力量データを定期的に収集できる技術として注目されています。さらに、きめ細やかな電力消費量の「見える化」による、さらなる省エネ行動の促進など、エネルギーマネジメントサービスにより節電を実現していくことが求められています。
  AMIを活用して効果的な節電を図っていくためには、広範囲な地域で、より多くの世帯を対象にしたシステムを構築していく必要があります。そこで、日立は、ネットワーク配線を構築することなく、システム構築コストの低減が可能な無線ネットワークに着目し、2000年から、通信経路を自動で選択するマルチホップ通信を活用することで、柔軟に通信範囲を拡張できるアドホックネットワーク技術の研究を推進してきました。すでにITS*3やビル管理などの分野において、本技術を適用した無線ネットワークシステムを提供しています。今回開発した技術は、これまで培った無線ネットワーク技術を応用し、多数のスマートメータ群の一元管理を実現するAMIへの適用を可能とするものです。この技術を活用することで、より安定した通信を用いて確実な検針データ収集、電力消費量のきめ細やかな把握が可能となります。電力使用量を把握するために、従来行われてきた、検針員の月1回の検針業務の効率化への貢献も期待できる技術です。

  今回開発した技術の特長は、以下の通りです。

1. マルチホップ無線通信技術
IETF*4で標準化されているマルチホップ通信規格RPLを採用し、複数のスマートメータの通信品質を定期的に計測することで、自動的に品質の良い安定した通信経路を選択し通信できる技術を開発しました。本技術を適用することにより、通信障害が発生した場合に自動的に別の通信経路に切りかえ安定した通信ができ、確実な検針データ収集を実現します。
2. 通信スケジュール制御技術
スマートメータデータの収集における通信スケジュールを集約装置が一元管理し、各スマートメータが決まったタイミングに沿ってデータを送信することで、データの衝突や破損を回避できる制御技術を開発しました。これにより、1台の集約装置に多数のスマートメータを接続した大規模なシステム構成の場合も確実なデータ収集を実現します。
今回、スマートメータ間の通信に950MHz特定小電力無線(伝送速度100kbps)を使用し、200台のスマートメータデータを1台の集約装置で30分ごとにデータ収集できることを確認しました。本制御技術を活用することで、集約装置1台に対し2,000台のスマートメータまで拡張可能となります。これにより、東京や中国、シンガポールなど、高密度化が進んでいる大都市の1,000世帯を超える超高層集合住宅においても、集約装置1台で自動検針システムを構築することができます。さらに、スマートメータへの制御電文の伝送時間を数秒以内とできるため、将来普及が見込まれている太陽光発電装置や蓄電池等の遠隔監視・制御(エネルギー管理システム)への対応が可能となります。

  日立は、今後、本技術を国内外の電力自動検針システムへ適用し、他の電力関連製品を含む社会インフラ製品と共にスマートグリッド、スマートシティを実現するトータルソリューションを提供していきます。

*1
RPL : IPv6 Routing Protocol for Low power and Lossy Networks、小電力無線通信向けの通信経路構築に関する国際標準
*2
AMI : Advanced Metering Infrastructure、高機能なメータにより構築される検針インフラ
*3
ITS : Intelligent Transfer System、高度道路交通システム
*4
IETF : Internet Engineering Task Force、インターネットで利用される技術の標準化を実施する組織

自動検針システム構成図

[画像]自動検針システム構成図

お問い合わせ先

株式会社日立製作所 横浜研究所 企画室 [担当 : 塚越]
〒244-0817 神奈川県横浜市戸塚区吉田町292番地
電話045-860-3092(直通)

以上

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