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2003年12月12日
 

次世代システムLSIに向けたhigh-k絶縁膜トランジスタの
性能予測シミュレーション技術を開発

プロセス条件最適化や開発期間の短縮化に寄与
 
 
 
  日立製作所中央研究所(所長:西野壽一、以下日立)は、次世代の高性能デバイスとして期待される高誘電率ゲート絶縁膜*1(以下、high-k膜)を用いたトランジスタの電気的性能を、高精度に予測するシミュレーション技術を開発しました。これにより、性能指標となるキャリア(電子と正孔)の移動度*2に影響を及ぼす絶縁膜厚さ、表面の凹凸、プロセス温度などの影響を定量的に求めることができるようになりました。今後のシステムLSI開発に向けて、high-k絶縁膜トランジスタを導入する際のプロセス最適化や開発期間の短縮化に寄与するものとして期待されます。

  ブロードバンドの普及に伴い、画像情報や音楽情報の通信環境が整備され、パソコンや携帯情報端末で扱う情報量は益々増大しており、情報機器の頭脳となるシステムLSIには、一層の高速化・低消費電力化が求められています。従来、システムLSIの高速・低消費電力化は、トランジスタのゲート長の微細化と絶縁膜(シリコン酸化膜)の薄膜化によって進められてきました。しかし、絶縁膜の薄膜化はすでに限界に来ており、ゲート絶縁膜を流れるトンネル・リーク電流の増大によって、消費電力の低減は困難になっています。そこで、酸化膜に変わる絶縁膜材料として誘電率の高いhigh-k膜が注目されています。high-k膜は誘電率が大きいために、シリコン酸化膜と比べて、厚い膜が使えます。そのため、リーク電流が改善されることは確認されてきました。しかし、肝心のトランジスタの性能(駆動電流)については、これまでのところ十分な結果が得られておりません。この要因の一つとして、キャリア移動度の劣化が考えられてきましたが、物理的な現象を踏まえたモデル化は、まだ不十分な状態でした。

  このような背景から、日立中央研究所は、high-k絶縁膜トランジスタの性能予測シミュレーション技術を開発しました。これは、トランジスタの電子ならびに正孔の移動度に影響を及ぼすと考えられるすべての物理的要因((1)絶縁膜中の固定電荷、(2)絶縁膜表面の凹凸、(3)絶縁膜中の相分離、(4)絶縁膜中の結晶化)を考慮することが可能です。上述の物理的要因のそれぞれについて、実験データと整合性の高い"量子力学の線形応答理論*3に基づいたモデル"を適用し、その上で、全ての要因を含んだ包括的モデルを構築することによって、各要因が与える影響度を定量的に求める手法を使っています。

  このシミュレーションでは、今回、次の現象が新たに解明されました。
(1)電子移動度の劣化の原因が、high-k膜に印加される電界によって異なることを見出しました。電界が低い場合には"固定電荷"が影響するのに対して、電界が高い場合には、"絶縁膜上部の界面の凹凸と絶縁膜中の相分離や結晶化"が影響することがわかりました。
(2)電子移動度が大きく低下しても正孔移動度の低下が少ないという現象の原因を明らかにしました。この原因は、正孔の方が電子より有効質量が重く、フォノン散乱*4の影響が支配的になるため、high-k膜の影響を受けにくいためです。

  今回得られた知見は極めて基本的なものであり、今後、high-k絶縁膜トランジスタを開発していく上で、最適な絶縁膜厚の設計やプロセス設計に有用なシミュレーション技術となるものと期待されます。

  なお、本成果は2003年12月7日から米国・ワシントンで開催された電子デバイスに関する国際会議「2003 International Electron Device Meeting(IEDM)」にて発表されました。
 
■用語
(1) 高誘電率ゲート絶縁膜(high-k膜):従来のシリコン酸化膜より誘電率の大きい材料を用いたゲート絶縁膜。比誘電率をkで表す事が多いため、high-k膜と呼ばれる。誘電率が大きい分だけ物理的な膜厚を厚くできるため、トンネル・リーク電流の低減が可能。
(2) 移動度:キャリア(電子またはホール)の動きやすさを表す物理量。単位電界当たりの速度として定義される。移動度が大きいほど、キャリアが早く動くため、高速でLSIを動作させる事ができる。
(3) 線形応答理論:電界などの外場を印加した場合の物理量の変化(応答)が外場に対して線形に変化(比例)する事を仮定し、その比例係数を求めるための理論。外場の大きさが、系の状態を大きく変えないほど小さい時に極めて有効な一般的理論。提唱者の名前をとって、久保公式とも呼ばれる。
(4) フォノン散乱:結晶中の原子が振動する事によるキャリアの散乱。結晶中の原子は、互いに力を及ぼしあい、あたかもバネで結合されているような規則正しい振動をしている。この振動の周波数は、結晶の対称性(原子の並び方)などを反映して、離散的に量子化されており、その最小エネルギー単位をフォノンと呼んでいる。フォノンはあたかも粒子のように振る舞い、実際、キャリアと衝突すると、散乱現象を引起す。格子振動は高温になるほど激しくなるため、室温や高温では、フォノン散乱による移動度低下がデバイスの特性に重要な影響を与えている。
 
 
以上
 
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本文ここまで


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