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2003年8月18日
 

イネの生育を分単位で観察する自動モニタリングシステムを開発

−生育環境と遺伝子との相関解明に道−
 
 
 
  日立製作所 中央研究所(所長:西野壽一 以下、日立)は、このたび、数十個体のイネの生育を、分単位で詳細に自動記録・計測して可視化する、新しい観察技術を開発しました。この技術を用いて、発芽後、数ヶ月間に渡ってイネの生育を観察することで、幼植物体が螺旋状に回転しながら成長する様子(回旋運動*1)の可視化や、成長が盛んな時期の葉一枚一枚の伸長速度を測定することに成功しました。今後、これらの測定データをデータベース化することにより、イネの生育環境と遺伝子*2)との相関を、迅速に解析することができます。本技術は、ポストゲノム時代*3)に強く望まれている、ゲノム情報をイネの品種改良に結びつけるための遺伝子機能の定量的計測や、遺伝子機能の解明に大きく貢献する技術です。
  本開発は、農林水産省の国家プロジェクト「イネゲノムシミュレータの開発」(主査:独立行政法人 農業生物資源研究所、総括リーダー:肥後健一 理事)の委託を受けて実施したものです。また、農業生物資源研究所の研究者の方々にご指導、ご協力を頂きました。

  イネの全DNA(デオキシリボ核酸)情報を解読するイネゲノム解読プロジェクトが完了し、現在は、個々の遺伝子機能を調べ、品種改良や栽培技術の改良などに活用する時代へと移行しつつあります。これらを実現させるためには、遺伝子の機能を生育過程の中で網羅的に観察・記録し、定量的に機能情報を計測する技術の開発が求められます。その対象となる遺伝子の数は約3万個といわれていますが、将来、複数の遺伝子群の相互作用を調べることとなると、数十万個体以上のイネについて、生育情報を記録・解析することが必要となります。このためには、多数個体のイネの生育を効率よく記録する、従来にはなかったハイスループットな解析方法が求められているとともに、得られた情報を活用するためにデータベース化することが必須です。
  しかし、これまで用いられてきた、ビデオカメラやその他の計測機をイネ個体の近傍に固定して生育を連続記録する方法では、多数個体の生育を同時に観察、記録することができませんでした。そこで、新たな生育観察技術の開発が課題となっていました。

  このような背景から、日立では、農林水産省の国家プロジェクトに参画し、人工気象器*4)内で多数個体のイネを栽培しながら、その生育を分単位で記録・計測・可視化する、イネ生育モニタリングシステムを開発しました。このシステムは、生育画像を自動的に取り込む"モニタリング装置"と、画像データをもとに計測・可視化を行う"生育画像解析ソフト"から構成されます。

今回、開発した技術の特徴は以下の通りです。
  1. 多数個体を同時に観察する"モニタリング装置":初期生育用(発芽から苗立ちまでの約2週間、基本ユニットの栽培規模:30個体)と、中・後期生育用(基本ユニットの栽培規模:12個体)を開発しました。本装置では固定カメラを使い、試料を順次搬送して全個体の観察を並行して行います。試料搬送制御プログラムの最適化と、搬送ロボット技術の応用により、高い時間分解能での定点撮影を可能とし、発芽から開花までの、全生活史(約2〜3ヶ月間)の網羅的生育モニタリングを実現しました。
  2. 画像処理技術を応用した"生育画像解析ソフト":1個体あたり2,000〜5,000となる静止画像データから、イネ個体の変化量を簡便に計測するとともに、膨大な一連の記録画像を効率よく表示する技術を開発しました。
  今回、このモニタリングシステムを使って、ある特定の遺伝子に変異のあるイネを観察したところ、(1)発芽から約1週間にわたって、イネ幼植物体が螺旋状に回転しながら成長する様子(回旋運動)の可視化、(2)発芽後約8週間までのイネの葉一枚一枚における伸長速度の測定および、(3)複数の葉が同調して伸長する様子の可視化と伸長するタイミングの測定、などに初めて成功しました。この結果、このモニタリングシステムを利用して、イネの生育環境と遺伝子との相関を迅速に解析できる見通しが得られました。
  この技術は、イネ以外の植物の観察にも適用することができるため、今後、様々な農作物の生育や環境調節機構に関わる遺伝子機能の評価、解析を行うことが期待され、農業生物資源研究所や農業技術研究機構作物ゲノム育種センターなどと共同研究を行っていきます。

  なお、本成果の概要は、農業生物資源研究所のサーバーに設置したWebページ(アドレス:http://www.gs.dna.affrc.go.jp/SY-1108/)にて公開中です。

■ 注釈:
(1) 回旋運動:幼植物体の葉や茎や根などの成長先端組織は螺旋状に回転しながら生長する現象が知られており、これが回旋運動と呼ばれる。1882年にチャールズ・ダーウィンが「The power of movement in plants」に詳細に記述していることがよく知られている。
(2) 遺伝子:DNAのうち、意味のある塩基配列、即ちタンパク質の情報(遺伝情報)をもったDNAのこと。
(3) ポストゲノム時代:特定の生物種の全DNA情報(ゲノム)解読が完了した後に、ゲノム情報にもとづいて研究の行われる時代を指す。ポストゲノム時代では、遺伝子の機能を迅速かつ定量的に調べる技術が求められ、医療分野では、遺伝子の機能を病気の診断や治療に活用することが、農業などの分野では遺伝子の機能を品種改良や栽培技術の改良などに活用することが望まれている。
(4) 人工気象器:温度、湿度、照明などを人工的に調節する設備を備えた屋内の植物栽培施設。屋外の気条件に左右されずに、常に一定の気象条件を再現できるので、イネの生育環境と遺伝子機能を詳細に比較するのに適している。
 
 
 
以上
 
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