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平成11年10月12日

アルミニウム合金の低温・低ひずみ接合技術を開発

 日立製作所は、このたび、アルミ合金で製造する製品向けに、摩擦攪拌接合法(Friction Stir 
Welding/以下、FSW)に比べて、接合部のひずみを1/3に抑制するとともに、接合部の強度を
20%向上可能な「水中摩擦攪拌接合技術」を開発しました。
 本技術は、接合材を水中もしくは接合部だけを局部的に水冷しながら攪拌摩擦接合する技術で、
現状の大気中で行うFSWでは接合することができなかった摩擦熱の発生が大きい材料や板厚が厚
いアルミ合金等でも、低温で簡単に接合できるようになります。

  アルミニウムは、ステンレスに比べて軽量化を図ることができ、エネルギーの低減に効果があり、
またモジュール単位の取り外しも容易に行えるなど、更新やリサイクルに適した材料であることか
ら、鉄道車両、航空機、自動車、船舶をはじめ、多くの分野で利用されています。
  しかし、アルミニウムは、金属の中でも熱膨脹率が大きいため、溶接するとひずみが大きく、そ
の修正作業が必要となり、加工コストが高く、かつ高度な溶接技術が必要な材料の一つです。この
ため、現状のアーク溶接法に代わる、高品質で低コストの溶接方法が求められています。

 今回開発した「水中摩擦攪拌接合技術」は、FSWで行った接合部の中が金属棒の回転によって
内部圧力が大気圧に比べて高くなっている点に着目し、摩擦攪拌接合を水中で行います。水中で行
た場合、大気中で行った場合と比較すると、接合部近傍の温度とひずみがそれぞれ1/3に抑制する
とともに、接合部の機械的強度は20%向上します。
  本接合方法は、接合中の温度と接合後のひずみを抑制することにより、製品としての見栄えや、
ひずみの修正作業が省略できるため、大幅なコスト低減が期待できます。
 また、用途しては、アルミ合金で作られる各製品だけでなく、アルミ合金よりさらに剛性が大き
く、摩擦熱の発生が大きい銅などの接合及び低温接合が望まれる超電導コイル導体の接合などにも
活用可能です。

 FSWは、摩擦熱による塑性流動を利用した接合方法で、重力の影響を受け難いことから、上向
き、下向きの溶接に向いており、また溶接部のひずみも極めて小さくすることが可能です。当社は、
英国公立研究所で発明されたFSWに着目し、平成5年から実用化開発を進めてきました。既に、
約6年間の実用化開発を経て、平成9年2月に、当社電力・電機グループ笠戸事業所内に、FSW
の自動溶接ラインを整備した車両生産ラインを構築しています。
  今回開発した「水中摩擦攪拌接合技術」は、FSWの基本原理を元に、英国公立溶接研究所との
共同研究メンバーとして当社が開発したものです。


                                                         以 上


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