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News Release

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平成11年3月31日

X線コーンビームを用いた3次元X線撮影技術を開発

−肺がんの早期診断や整形外科での精密診断に道を拓く−

                                                                          株式会社日立製作所
                                                                        株式会社日立メディコ

  

  株式会社日立製作所(以下、日立)と株式会社日立メディコ(以下、日立メディコ)は、この度、一
辺0.4mm画素という世界最高級の解像力を持つ3次元のX線像撮影技術を開発しました。
  この撮影技術は、被写体に円錐状のX線ビーム(X線コーンビーム)を照射して回転撮影を行い、
計算機を用いて、合計1億3千万個の画素から成る3次元像を生成する3次元X線計測技術です。肺や
関節における微細な構造をX線吸収係数の違いを利用して3次元像として撮影し、色々な方向からの断
面像や立体像として表示することが可能です。
  この技術により、肺がんの早期診断や、整形外科での精密診断への道を拓くものと期待されます。

  現在、肺がんに代表される肺の病変や、関節脱臼に代表される骨の異常の診断は、正面および側面か
らの単純X線像や、X線CT(Computed Tomography)装置で撮影された断面像に基づいて行われています。
単純X線像は解像度が高いという特徴をもっていますが、人体の2次元透過像であるために、骨や心臓
の像と重なる肺の病変や、他の骨の像と重なる微細な骨の損傷を見つけにくいというのが現況です。一
方、X線CT像では輪切りの断面像が得られますが、断面に直交する方向に対して解像度を上げるため
には、断面の間隔を細かくし、数多くの像を撮影する必要がありました。したがって、断面内とその直
交方向で同等の解像度を得ることは、撮影時間の増加やX線被曝量の増大を伴うために事実上困難であ
り、連続的な人体の縦方向の情報を得ることには限界がありました。

  日立は、このようなニーズに対応し、日立メディコと共同で、X線コーンビームを用いた3次元X線
計測技術を開発しました。
  今回の開発技術では、X線のセンサを面上に配置した2次元の検出器を用いることにより、X線CT
装置で不可欠な人体の縦方向への繰り返し撮影が不要となるため、短時間で3次元像の作成が可能とな
ります。また、人体の縦方向にも断面方向と同等の高い解像度をもち、全ての方向に等しい解像度を持
つ3次元像を作成することができます。
  本技術の評価は、日立総合病院、神戸大学医学部付属病院、信州大学医学部付属病院、慶應義塾大学
病院と共同で行いました。
  その結果、、肺野や関節における微細な構造を3次元像として描出することが可能となりました。
  今後、肺がんなどの早期診断や整形外科における精密診断への適用の有用性を検証する予定です。ま
た、従来困難であった人体の軸方向の連続性を観察することができるため、病変の発生や成長過程の解
明に役立つ可能性があると考えています。
  今後は、患者に負担をかけずに簡便に高解像度の3次元計測が可能である特徴を活かして、種々の部
位や症例への応用を進めていく予定です。

  なお、本研究の成果は、4月6日より東京で開催される日本医学放射線学会(JMCP)で紹介され
る予定です。

<開発技術の詳細>
(1) 人体の回転撮影中に、被写体の形状に応じてX線透過像は変化しますが、これをリア
       ルタイムで解析し、投影角度毎に撮影条件や光学系を最適に制御する技術を開発しま
       した。これにより、計測に必要な総X線量を約35%にまで低減することができました。
(2) 2次元検出器を用いる装置では避けることのできない散乱X線成分を除去するために、
       計算機を用いたフィルタリング技術を開発し、画像コントラストの改善、定量性の向
       上およびアーチファクト(画像ノイズ)の低減といった測定精度の向上を実現しました。
       これらの技術を、高解像度のCCDカメラを用いた3次元X線撮影装置に搭載するこ
       とによって、高解像度で、かつ高画質の3次元X線像の撮影を可能としました。


                                              以  上


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