日立製作所は、このたび、銀行キャッシュカードやGSM-SIM(注1)カードなどのICカード用途向けとし
て、１kバイトから32ｋバイトまでのEEPROMを搭載可能なマイコン「H8/3150、3160シリーズ」を製品化
し、平成11年3月から順次サンプル出荷を開始します。
  本製品は、データの不正読み出し等を防止するため、セキュリティ機能を強化するとともに、搭載す
るEEPROMの容量を最大32ｋバイトまでラインアップすることで、用途に応じて、最適なICカードを実現
できます。さらに、ワークステーションやパソコンなどのアクセスコントロール(利用者の認証)など、
ICカード以外の分野への適用も可能です。

  マイコンを搭載したICカードは、近年、欧州を中心に急速に普及してきており、その用途もクレジッ
トカード、銀行のキャッシュカード、GSM-SIMカード、IDカードなど多様化しています。また、用途に
よって必要なメモリ容量が異なるため、ICカード用マイコンには、メモリ容量の品揃えが求められてき
ました。
  そこで、当社では、これまでICカード用のマイコンとして「H8/3102(8kバイトEEPROM)」、
「H8/3103(16kバイトEEPROM)」を製品化してきました。
  さらに、この度、市場のニーズに対応し、１k、2ｋ、8ｋ、16ｋ、32ｋバイトとEEPROM容量のラインア
ップを揃えるとともに、ICカードを応用する上で重要視されているデータ不正読み出し等など防止する
ために、異常電圧や異常周波数の検出回路、ウォッチドッグタイマ、乱数発生器などの回路を内蔵して
セキュリティを一層強化したシリーズを製品化しました。

  本シリーズは、「H8/300 CPU」をコアとし、0.35〜0.5μｍCMOSプロセスの採用によりチップサイズ
の小型化を図っています。1k、2kバイトのEEPROMを搭載した「H8/3155」「H8/3156」は、単機能なクレ
ジットやキャッシュカード用途に、32kバイトのEEPROMを搭載した「H8/3164」は、今後のサービスの多
様化が予想されるGSM-SIMカードやマルチアプリケーションカードなどデータ容量が増大する用途に適
しています。製品ラインアップの強化を図ることで、幅広い応用分野に適応した製品を提供します。

  出荷形態としては、「ウェハ」「COB(Chip on Board)」と、新たにICカード用途として開発した
「COT(Chip on Tape)」を準備しています。また、今後はSOP-10パッケージを予定しており、ワークス
テーションやパソコンのアクセスコントロール(利用者の認証)など、ICカード以外の用途向けにも適
用できます。

  また、本シリーズの開発環境として「E6000エミュレータ」を準備しています。
・エミュレータ本体：E6000(HS3150EPI60H)
・対応パソコン    ：PC/AT互換機(DOS/V)
・動作環境        ：Microsoft(R) Windows(R) 95/Windows NT(R)(注２)
・PCインターフェースボード：HS6000EII01H(ISAバスボード)
・ユーザーケーブル：本体に付属(ISO7816に準拠したICカード形状のインターフェースケーブル)
・ユーザーインターフェース：HDI(Hitachi Debugging Interface)を本体に付属

注1) GSM-SIM：Global System for Mobile 
              communications-Subscriber 
              Identity Module.
     GSMは携帯電話などの移動体通信の方式。SIM
     カードは利用者情報(本人のID、課金情報や相
     手先の電話番号および各種サービス情報)を記
     憶するカード。本カードをGSM電話機に組み込
     むことで、カード所持者の情報により電話す
     ることができる。

注2) Microsoft(R)Windows(R) 95、Windows NT(R)
     は、米国マイクロソフトコーポレーションの
     米国およびその他の国における登録商標です。

＜応用製品例＞
・ICカード全般：
  GSM-SIMカード、IDカード、電子マネーカード、
  銀行キャッシュカード、マルチアプリケーション
  カード 他
・ネットワークセキュリティコントロール
・ワークステーション、パソコン、セットトップ
  ボックス等のアクセスコントロール

                                   以  上