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News Release

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平成10年12月1日

日立と米国Equator Technologies,Inc.がセットトップボックスやデジタルTV
などマルチメディア製品の開発を加速する新プラットフォームを製品化

−汎用プロセッサと画像処理・デジタル信号処理の機能を一つに統合した
初めてのメディアエンジン−

                                                                            株式会社 日立製作所
                                                                       Equator Technologies,Inc.


  株式会社日立製作所(以下日立)と米国Equator Technologies,Inc.(以下イクエーター)は、本日、セッ
トトップボックス、画像処理装置、高精細度デジタルテレビ(HDTV),ビデオ編集機、プリンタ・コピーな
どの各種デジタルメディアおよび画像関連製品向けに、両社で共同開発した新しいプログラマブルメ
ディアプロセッサプラットフォーム「MAP1000」の製品化発表を行いました。「MAP1000」は、仮想空間
サポートが可能な汎用プロセッサと、画像処理・デジタル信号処理の機能を一つに統合した初めての
メディアエンジンです。
  「MAP1000」は、マルチメディア製品の中核となる機能を高レベルのアプリケーションソフトウェアで
実現できます。また、製品のコストや開発の複雑さを増大することなく、デジタルTV製品で使われてい
るMPEGなどのハードワイアードLSIを、デジタルメディアや画像処理ソフトウェア等が動作する高性能
プログラマブルエンジンで置き換えることが可能です。
  また、ソフトウェア開発ツールとアプリケーションソフトウェアリファランスを提供するため、マルチメデ
ィア、ビデオ、デジタル信号処理製品の開発期間を短縮し、製品の早期市場投入が可能です。

  「MAP1000」は、先進のアーキテクチャーとコンパイラ技術の組み合わせにより、デジタル信号処理
の領域をオーディオ帯域からビデオ帯域へと拡大し、デジタル信号処理や画像処理を簡単に実現す
ることが可能です。本製品のアーキテクチャーは、高性能な画像処理をVLIW CPU(Very Long 
Instruction Word Central Processing Unit)に統合することで、従来のハードワイアードのマルチメディ
アエンジンやDSP(Digital Signal Processor)に置き換えることができます。また、オーディオ、ビデオ、
通信、3次元グラフィックスの処理を同時に実行でき、さらに先進のコンパイラ技術を用いたため、標
準のANSI準拠のソフトウェアで開発されたメディアアプリケーションにより、プロセッサの最大性能を
引き出すことも可能です。
  本製品の主な特徴は以下の通りです。
・セットトップボックス、デジタルTV、画像処理装置の中核機能をソフトウェアで実現可能です。
・C言語ですべてプログラム可能です。これにより、ハードワイアードLSIによるMPEG2や3次元グラフィ
  ックス機能をプログラマブルなプロセッサで置き換えることができます。
・先進のアーキテクチャーにより、一秒間に32億回の積和演算性能を有し、様々なメディアプロセッサ、
  DSPやMPEGのエンコーダ、デコーダを上回る機能・性能を有しています。
・製品開発者の高い生産性、製品の機能の融通性、製品の低価格化を実現します。

新しいプロセッサプラットフォーム
  「MAP1000」は、日立とイクエーターによる共同開発プロジェクトの最初の成果です。日立の池田情報
事業企画本部企画本部長は、「日立のVLIW技術と先進の半導体プロセス技術の成果である
「MAP1000」は、マルチメディア関連製品に幅広く活用されると期待しています。日立はイクエーターと協
力し、このプロセッサをマルチメディアの領域における世界的標準にしていこうと考えています。」と言っ
ています。
  またイクエーターの共同設立者の一人であり、プレジデントのオドネルは、「この共同開発プロジェクト
において、日立は次世代のデジタル家電製品や画像処理製品を開発しているユーザーに、先進の技術
と安定したLSI供給を提供します。また、コンパイラ技術が引っ張る先進のプロセッサアーキテクチャー
が成功の鍵であり、その意味で「MAP1000」は、画像処理、ビデオ、オーデイオ、消費者向けエレクトロ
ニクス製品に革命的な方向を示しています」と述べています。

  革新的な「MAP1000」アーキテクチャーと先進で成熟したコンパイラ技術の組み合わせは、以下の消費
者向けエレクトロニクス製品やハイエンド画像処理アプリケーションに大きく寄与します。

・医用応用、マシンビジョン、リモートセンシングなどの画像処理装置
・ビデオ編集機器、産業用等監視機器、高精細度TVエンコーダ
・ハイエンドカラーコピー機、その他のオフィスオートメーション機器
・無線ならびに有線の通信サーバー(携帯基地局用、多重DSL/モデム装置)
・次世代デジタルTV、セットトップボックス
  医用画像処理装置は、「MAP1000」が持つ特別の動作命令や、メモリからの高スループットデータ転送
 による膨大な画素処理能力を、また次世代のデジタルセットトップボックスやHDTVセットは、高精細度TV
 デコードや複数チャネルの標準精細度TV同時デコード能力を活かすことができます。

  さらに、ソフトウェアを第一とするアプローチにより、インターネット対応のプログラムは、「MAP1000」を
ベースにした製品に容易に組み込むことができます。米国RealNetworks社の上級副社長バレット氏は、
「我々は「MAP1000」の発表を歓迎します。次世代の消費者向けマルチメディア製品は、「MAP1000」の
ようなプログラマブルで高性能なメディアプロセッサをベースとするでしょう。日立とイクエーターの提供す
るプラットフォームは、このようなデバイスを期待していた当社のG2システムアーキテクチャーに良く適合
します。」と述べています。

<技術的詳細情報>
汎用プロセッサとDSPを統合したソリューション
  「MAP1000」は、仮想空間サポートが可能な汎用プロセッサと、画像処理・デジタル信号処理のエンジ
ンの機能を一つのCPUに統合した初めてのメディアエンジンです。一秒間に200億回の画素処理演算能
力を持つため、他のプロセッサDSPやハードワイアードLSIのMPEG2エンコーダ、デコーダの性能を大幅
に上回っています。また、本製品は、ホストプロセッサとともに動作するコプロセッサにも、さらにはホスト
プロセッサにもなり得ます。ホストプロセッサとしては、新しい各種オペレーテイングシステムをサポートし、
高価なホストプロセッサとのプロセッサ間同期を避けることが可能です。

先進のCPUとデータトランスファー機構の内蔵により
主要なメディアアプリケーション機能をソフトウェアで実現
  「MAP1000」は、心臓部に強力なデータトランスファー機構と超高性能VLIWCPUを持っています。CPUは、
200MHz動作時で一秒間当たり32億回の16ビット積和演算、16億回の32ビット浮動少数点演算、200億回
の画素演算を実現します。汎用演算性能としては、一秒間に8億回の命令実行能力を有します。
  また、データトランスファー機構はプログラマブルであり、I/OやDRAMとCPUとの間のデータ転送をCPU
命令の待ち時間なしで可能にし、DRAMのピークデータ転送能力を引き出すことができます。

  「MAP1000」は、画像処理やグラフィックスの応用に最適化したANSI準拠の先進C言語コンパイラである
iMMediaCにサポートされ、従来のDSPとは異なり、C言語でプログラム可能です。これにより、製品開発に
おける高い生産性、他のプロセッサからの短期間でのソフトウェア移植、ユーザーのソフトウェア開発への
投資の保全を実現します。

  従来のハードワイアードLSIやDSPは複数のアプリケーション実行時、なかでもデータレートや処理負荷が
高い場合、性能上の問題を生じる場合があります。本製品のアーキテクチャーは、複数の処理を同時に
サポートしつつ、信頼性の高いリアルタイム応答性を保障するように最初から設計されています。キャッシュ
およびレジスタの構造、データトランスファー機構、オペレーテイングシステムのスケジューラの設計がすべ
て統合され、複数メディアアプリケーションの効率良い多重同時実行を提供します。

必要に応じた短期間の製品仕様変更が可能
  C言語による融通性のあるプログラミングにより、短期間に製品の仕様変更を可能にします。また、広範
囲のオペレーテイングシステムのサポートが可能であり、様々な製品へ適用できる融通性を持っています。

LSIチップ上にシステムレベルの機能を実現
 「MAP1000」は、チップ上に2つのPCIインターフェース、デジタルビデオ、オーディオ、アナログビデオ、ネ
ットワークなどの広範囲なマルチメディア入出力システムを統合しています。また、広範囲な入出力システ
ムを簡単で効率良く行うように設計されており、最大で64メガバイトの外部SDRAM/SGRAMを130MHz以上
の速度でサポートします。

簡便で完全なソフトウェア開発用ツールセット「iMMediaTools」
 「MAP1000」とソフトウェア開発用ツールセット「iMMediaTools」は、高性能の画像処理を簡単に理解しやす
いソフトウェアの領域に移すことで、先進のアーキテクチャーの潜在能力をすべての設計者に供給します。
  「iMMediaTools」は、メディアアプリケーションソフトウェアを開発するための完全な環境を提供し、ソフトウ
ェア開発者は、C言語でソフトウェアコードを書くことができます。従来のDSPでは、性能の良いソフトウェア
のコードを書くためにはアセンブラ言語を使う必要がありましたが、「iMMediaTools」で提供されるiMMedia 
C言語コンパイラを採用することで、アセンブラの低レベルプログラミングの場合のように、低レベルの命
令細部仕様や単調な作業に煩わされることがなくなるとともに、アプリケーションソフトウェアの汎用性が高
まり、ソフトウェアの開発と移植の期間を著しく短縮することが可能です。

  「iMMediaTools」には、ソフトウェアライブラリセット、ソースコードレベルおよび命令レベルデバッガが含ま
れます。また、ソフトウェアライブラリセットにはstlib(数値演算ライブラリ)、trsim(各種詳細情報出力可能な
高性能シミュレータ)、casim(仮想マシン環境を形成するシミュレートサイクルが正確なシミュレータ)が含ま
れています。

Windows NT (R)環境に統合されるリアルタイムオペレーテイングシステム
  リファランスプラットフォームは、「MAP1000」の処理能力を完全にWindows NT(R)環境に統合し、Win32の
API(Application Interface)とホストプロセッサとの間の通信を容易に提供します。Talisman技術構想のもと
でマイクロソフト社によって開発されたリアルタイムオペレーテイングシステムMMOSAは、イクエーターによ
り機能拡張され、マイクロソフト社のWindows NT(R)プラットフォーム上において、効果的かつ生産的に先
進の画像処理やマルチメディア、通信製品向けソフトウェアを開発できます。
  (注)Windows NT(R)は、米国マイクロソフトコーポレーションの米国およびその他の国における登録商標
です。

製品価格と出荷日程
  ソフトウェア開発セットは、「MAP1000」と「iMMediaTools」開発ツールキット、iMMediaC VLIWコンパイラ、
リファランスボードMAUIで構成されます。
「MAP1000」のパッケージは399ピンBGA(Ball Grid Array)で、出荷当初は170MHz版を提供します。限定数
量のサンプルはすでにイクエーターが出荷を開始しており、平成11年にイクエーターが量産出荷を開始し
ます。
  LSIの一個当たりの価格は、サンプル価格が750ドル、1,000個購入時が650ドル、大量購入時には200ド
ル以下を予定しています。「iMMediaTools」は1セット10,000ドル、MAUIボードは1セット6,333ドルです。
なお、日立では平成11年後半からの出荷を予定しています。

[イクエーター社の概要]
  米国テキサス州オースティン、カリフォルニア州キャンベル、ワシントン州シアトル、東京に拠点を持つ、半
導体システム会社。1996年に設立され、半導体、アプリケーションソフト、システムソフト、reference designs
を開発、販売している。
URL:http://www.equator.com



                                                                                        以  上


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