日立製作所は、このたび、デジタルカメラ等の大容量ストレージメディアや小型ハードディスク(HDD)
置き換え用途向けに、多値技術を採用した業界最大容量の256Mビットフラッシュメモリ「HN29W25611」
を製品化し、平成10年11月からサンプル出荷を開始します。本メモリは三菱電機(株)との共同開発品
で、CD音質を1時間録音・再生するために必要な64Mバイトを2チップで実現することが可能です。
  また、本メモリを搭載したフラッシュカードとして、192Mバイトのコンパクトフラッシュ
(CompactFlash(TM)、以下CF)(注1)「HB288192C5」、および640MバイトのPC-ATAカードType-II(5mm厚)
(注2)「HB288640A5」も併せて製品化し、平成10年12月からサンプル出荷を開始します。

  近年、フラッシュカードは、各種情報機器への大容量ストレージメディアとして、急速に用途が広がっ
ています。なかでも、デジタルカメラやハンドヘルドPC市場の伸長により、CFやPC-ATAカード需要が
拡大しており、当社は64MビットAND型フラッシュメモリを搭載したフラッシュカードで、市場のニーズに
応えています。一方で、フラッシュメモリの急速な大容量化により、本格的なHDDの置き換え用途需要
も立ち上がりつつあり、通信・産業機器分野においては、従来のHDDと比較し、システムメンテナンス
負担が軽減でき、小型、低消費電力という特徴から30M〜150Mバイト容量帯で置き換えが進行してい
ます。

　今回製品化した256Mビットフラッシュメモリ「HN29W25611」は、1セルに1ビット情報を記憶させる従来
方式ではなく、1セルに2ビット情報を記憶させる多値技術を採用しています。多値技術は、チップサイズ
の縮小に有効な今後の大容量フラッシュメモリに適した技術で、通常のメモリでは"0"/ "1"の2つのしき
い値レベルであったのに対し、"00"/"01"/"10"/"11"の4つのしきい値レベルを持たせることで、1セル
で2セル分の働きが可能です。
本技術により、実際のメモリセル数の2倍の容量を実現できるため、本メモリは当社の64Mビットフラッ
シュメモリと同等のチップサイズになっています。

　また、本メモリは、データ転送の高速化を図るため、メモリセルの最適化に加え、書き換え単位を512バ
イトから2,048バイトへ拡大することで、2Mバイト/秒の書込み速度を実現しました。動作電圧は3.3V、5Vの
どちらでも可能なため、異なる電源電圧の機器間でも電圧・信号レベルを変換することなく使用することが
できます。さらに、従来の64Mビットフラッシュメモリとスタンバイ電流・動作電流が同等で、システムの低消
費電力化を実現できます。なお、システム設計の負担低減を図るため、チップ内にECC機能を搭載してい
ます。

　一方、本メモリを搭載した192MバイトCF「HB288192C5」および640MバイトPC-ATAカード「HB288640A5」
は、当社が開発した専用コントローラを搭載しており、複数チップのインターリーブ動作を実現し、最大3M
バイト/秒の書換え速度が可能です。また、当社の超薄型パッケージTCP(注3)を2段に積み重ねる積層技
術を使用することで、PC-ATA(type-II)ではチップ20個で640Mバイト、CFではチップ6個で192Mバイトを実
現しています。


　今後は、さらなる大容量フラッシュメモリの開発、および新しいフラッシュメモリ応用製品の展開を図って
いく計画です。

(注1) CompactFlash(TM)：CompactFlash(TM)は米国サンディスク社の商標であり、CFA(CompactFlash(TM) 
        Association)にライセンスされています。日立製作所はCFAのメンバーです。
(注2) PC-ATA：正確にはPCカードATA仕様。PCMCIA(Personal Computer Memory Card International 
        Association)で決めたカード仕様のうちのATA(Advanced Technology Attachment)仕様。
(注3) TCP：Tape Carrier Package

＜応用機器＞
・ハンドヘルドPC、PDA等の携帯情報機器
・固体録音機器
・産業・通信用外部記憶装置
・デジタルスチルカメラ、カムコーダ

＜価　格＞　

                                                                                                                          以  上