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2002年7月17日

遺伝子塩基配列の違いを高感度で検出する小型遺伝子解析装置を開発

−テーラーメード医療の実現に道を拓く−

小型遺伝子解析装置
小型遺伝子解析装置


 日立製作所 中央研究所(所長:西野壽一 以下、日立)は、このたび、個人の体質形成の要因となる、遺伝子*1)塩基配列の一塩基の違い(一塩基多型:SNPs= Single Nucleotide Polymorphisms)を高感度で簡便に検出する、小型遺伝子解析装置を開発しました。試料に試薬を添加するだけの簡便な操作で、SNPsの有無を数十秒で調べることが可能です。また、持ち運びが可能な小型装置のため、医療現場等、様々な場所で使用できます。今後、SNPsデータベースの整備を行うことなどによって、個人の体質に合わせた健康管理や医薬品処方など、テーラーメード医療の実現に道が拓かれます。本技術は新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託研究の成果です。

 ヒトの全DNA(デオキシリボ核酸)情報を解読するヒトゲノム解析計画が終了し、現在、ゲノム研究の分野は、遺伝子の機能を調べ、病気の診断や治療に活用する時代へと移行しつつあります。例えば医薬品を投与する場合、個人の体質や疾患により、その効果や副作用の現れ方等、感受性が異なりますが、それらはSNPsによって左右されています。このSNPsを読み取って、個人に最適な治療を実現しようとするのが、テーラーメード医療です。テーラーメード医療では、例えば、個人のアレルギーの有無や疾病のかかりやすさなどを、医療現場で確認し、それに合わせた医薬品の処方を行うことができます。従来のヒトゲノム解析では、DNAの塩基配列を全て読み取ることが目的だったのに対し、テーラーメード医療で求められる遺伝子解析では、関連する遺伝子のSNPsが存在するか否かを、安価かつ迅速に調べることが要求されます。また、測定場所も、従来は解析センタなどの専用施設へ送る必要があったのに対し、今後は医療現場をはじめ、多様な場所が想定されるため、持ち運びが可能で小型・簡便なシステムが望まれます。しかし、従来のヒトゲノム解析で用いられていた解析法*2)は、(1)操作が煩雑、(2)装置が大型で高価、(3)測定時間がかかる、等の理由でテーラーメード医療には適していませんでした。

 このような背景から日立では、遺伝子のSNPsを簡便に解析する手法を考案し、この手法を用いた、高感度の小型遺伝子解析装置を開発しました。開発した技術は、次の通りです。
(1) 生物発光法による簡便な測定法:SNPsが存在する試料に試薬(DNAプローブ*3)と薬品を合わせたもの)を加えると、DNAの2重螺旋の形成(相補鎖伸長反応)時にピロリン酸が生成され、これにより生物発光が生じます。この発光を高感度光センサーで検出し、SNPsの有無を測定する手法です。試料に試薬を加えるだけの簡便な操作により、医療現場において、数十秒でSNPsの有無を検出することができます。
(2) SNPsを高精度で検出する高感度計測:SNPsの有無を精度良く検出するために、DNAプローブの構造を工夫した人工ミスマッチプライマー(末端から3番目の位置にミスマッチ塩基を導入)を用いました。これにより、従来は塩基配列不一致の場合にも起こっていた、ミスマッチ伸長による背景光ノイズを大幅に低減することが可能となり、従来比二桁以上の高感度が達成できました。(下図参照)
(3) 小型遺伝子解析装置の実現:生物発光法を用いることにより、従来の蛍光法で用いられていたレーザ照射装置が不要になりました。また、0.1マイクロリットル(1000万分の1リットル)以下の微量溶液を簡単な操作で扱えるマイクロ流体技術と、反応により生じる発光を7%の高集光効率でとらえる集積化光センサー技術を適用したことにもよって、小型の装置を実現しました。

生物発光法を用いた遺伝子解析法の原理(イメージ)
生物発光法を用いた遺伝子解析法の原理

 本装置は持ち運びが可能であると同時に、操作が簡便なため、医療現場をはじめ食品・環境分野の検査現場においても幅広く利用することが可能です。本装置を用いることによって個人の遺伝子を低コストで簡便に解析することができ、病気の遺伝的背景、薬剤の効果や副作用の違いについてのデータが明らかになると期待されます。日立では今後、本装置を用いることによって、テーラーメード医療の実現と、健康で安全な生活に貢献していきたいと考えています。

【用語の説明】
1)遺伝子:DNAのうち、意味のある塩基配列、即ちタンパク質の情報(遺伝情報)をもったDNAのこと
2)現在利用されている主な遺伝子解析では、ゲル電気泳動分離や蛍光標識したDNAプローブを用いて検出しています。また、最近ではマイクロファブリケーション技術を用いたDNA測定手法として、DNAチップや微細流路を用いた電気泳動チップがあります。これらの手法は、いずれも蛍光検出法を用いているため、レーザ照射装置が必要となり、装置が大きく高価でした。また、蛍光標識反応から蛍光検出までの操作が煩雑でした。そのため、迅速で簡便な遺伝子解析法が望まれていました。
3)DNAプローブ:DNAは本来、二重螺旋(2本鎖)構造となっており、各塩基と対になる塩基の種類が決まっています。そこで、目的のDNAの、2本鎖の一方をDNAプローブとし、これに測定対象の試料を加え、2本鎖が形成(相補鎖伸長反応)されるかどうかでSNPsの有無を調べます。テーラーメード医療実現のためには、SNPsのパターンごとのデータベースに合わせたDNAプローブが必要です。



以上



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