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2002年6月17日
 
世界最小の駆動電圧0.4Vで動作するSRAM回路の試作に成功

    日立製作所(取締役社長:庄山悦彦)は、このたび、携帯電話や携帯情報端末に搭載されるシステムLSIのキャッシュメモリ(オンチップメモリ)として使用されるSRAM(Static Random Access Memory)において、世界最小電圧となる0.4Vの電源電圧で動作が可能な回路技術を開発し、試作チップにより性能を実証しました。この技術を用いれば、システムLSIの動作時の消費電力を大幅に低減することが可能になります。

    モバイル機器の中枢を担うシステムLSIでは、動画などの大規模データを高速に処理できる"高性能化"とともに電池寿命を延ばすための"低消費電力化"が要求されています。これらの要求を同時に満たすために、高速処理時には駆動電圧を高くして周波数を上げ、それ以外の時には電力消費を抑制するために周波数を下げると同時に駆動電圧を低くするという処理の負荷に応じた制御が行われています。
    システムLSIを構成する回路のうちCPU(演算回路)は、動作周波数を下げることによって低電圧動作が可能となります。しかし、メモリとして用いられるSRAM回路は、駆動電圧を小さくすると、SRAM回路そのものの動作マージンが低下することに加えて、製造時のばらつきや動作環境のばらつきの影響を大きく受けるため、逆に大きな動作マージンが必要となります。このため、SRAMでは動作周波数を下げても低電圧動作が難しいため、システムLSI全体の低電圧化を妨げる要因となっていました。

    このような背景から、当社では、従来から低電圧駆動のSRAMの開発に取り組み、0.65V動作のSRAMを実現しています。今回、さらなる低電圧化を目的として、以下の二つの技術を開発しました。
(1) SRAM回路の動作マージンを増加させる“アレイ微昇圧方式”:SRAM回路のうちデータの記憶領域にアクセス回路よりも0.1Vだけ昇圧した電圧を印加することによって、SRAMメモリセルの動作マージンを大幅に改善できることを見出しました。この部分での消費電力はSRAM回路全体の1%程度であるため消費電力の増加は少なく、また0.1V昇圧する回路も小型の回路で実現できます。
(2) 小さい動作マージンで動作する“高対称型メモリセル”:メモリセルの構造の対称性を高め製造時の製造ばらつきを小さくすることによって、従来使用されていたメモリセルよりも小さい動作マージンでも動作する高対称型メモリセルを開発しました。

    今回、本回路技術を用いて、0.18μmルールのCMOS技術を用いた32KBのオンチップメモリを試作した結果、駆動電圧0.4Vにおいて4.5MHz動作、消費電力140μWを達成しました。この電圧0.4VでのSRAM動作は、これまでに報告されているオンチップメモリでは最小の駆動電圧です。同じ回路を駆動電圧1.0Vにおいて240MHzで動作させた場合消費電力は44mWとなりますので、0.4Vとすることで消費電力を1/300に抑えられることが確認できました。本回路技術は、今後のシステムLSIの低電力化において重要な基本回路技術として期待できるものです。  

    なお本技術は、2002年6月13日から米国ハワイで開催される電子デバイスに関する国際会議「The 2002 Symposium on VLSI Circuits」にて発表されました。

以 上

   



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