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2002年3月19日
微小半田接合部の耐衝撃性を評価する新試験法を開発
― 接合部破断時の衝撃吸収エネルギー、衝撃破断荷重、吸収歪量測定 ―

   日立製作所 日立研究所(所長;児玉英世)は、このたび、半導体実装分野などで多用されている微細な接合部の耐衝撃強さを評価する新しい試験法を開発しました。従来の剪断や引張強度試験では判定が難しかった微小半田接合部の耐衝撃性を定量的に評価することができます。特に、衝撃的ストレスが想定される電子製品の接合材料・プロセス評価に活用が期待されます。

   近年、情報・通信を主体とするエレクトロニクス機器分野では、ノートパソコン、携帯電話、PHSに代表される携帯用電子機器が急速に普及しつつあります。一方、電子機器の高密度実装化により、ストレス緩衝効果があるリード部品から半田接合部に直接ストレスが加わる構造の部品が増えてきており、携帯用電子機器の耐落下衝撃性が信頼性の点で特に重要となっています。従来の衝撃試験法は、実装した電子機器を所定の高さからコンクリートの床面に落とし、機器の電気的損傷の有無を調べて評価していました。この方法は、実際の製品に近い状態に実装して評価するため、製品レベルでの信頼性を正確に把握できる利点はありますが、評価サンプルの作製に期間とコストがかかるため、開発初期段階での半田材料や基板やプロセス条件の評価に適用することが実際上困難でした。

   このような課題を解決するために、日立研究所では部品レベルで微小半田接合部の耐衝撃性を定量的に評価できる新しい手法を開発しました。具体的には、半田接合部の上部部材に側面から高速でツールを衝突させて破断させ、そのときのツールが失った運動エネルギーを測定して評価する方法です。一般に、半田のような柔らかい材料の場合、静的な強度試験では半田の母材で破断しますが、衝撃的な力を受けた場合には半田の変形抵抗(歪速度が増大すると降伏応力が増大して変形しずらくなる現象)が増大して接合界面に高い応力が加わり、接合界面で壊れる比率が増大します。従来の静的な強度試験では半田母材が破断して測定できなかった界面強度を、衝撃のスピードを数mm/sから落下衝撃と同等の1000mm/s以上に上げることによって評価可能となりました。

  
得られたデータからは、半田接合強度の観点から基板や半田材料の品質を判定して最適材料の選定が行え、同様に接合プロセスの最適化が図れます。新試験法の耐衝撃性評価サンプルは基板に半田接合部を形成した単純なものでよいため、従来必要であった部品組立や実装工程を省略でき、開発期間の短縮(例えば、基板や半田材の選定で3ヶ月⇒3週間)や開発コストの低減(例えば、評価用のチップや実装基板が不要、組立費用が不要など)が図れます。また、量産段階の部品の品質管理に適用すれば、不良品発生の防止や信頼性の確保が可能となります。

 本技術は、半田材料、配線基板のめっき膜質、めっき膜/半田材料の組合せ、半田プロセスなどの最適化を行う上で、その接合部の良否判定に非常に有効と考えています。今後、実装分野における半田材料、配線基板、めっき、電子部品、電子装置などを扱う各メーカや大学・研究機関などと幅広く協力して、本技術の普及を目指したいと考えております。
   なお当社では、来週(3月18日〜20日)神奈川大学で開催されるエレクトロニクス実装学会で、本技術に関する発表を行う予定です。

【開発技術及び装置の特徴】
1) 衝撃破断時のツール速度変化、加速度変化の測定により、衝撃吸収エネルギー、衝撃破断 荷重、最大破断歪量を算出して、耐衝撃強さを総合的に評価します。
2) BGA半導体パッケージの個々の半田ボールレベルから、ディスクリート部品の実装状態までの耐衝撃強さを評価できます。
3) 種々の衝撃を模擬した試験を、衝撃スピードや衝撃ツールの質量、ツール材質を変えることによって行えます。
4) 半田接合部の加熱に伴う接合界面の劣化、半田材料やめっき膜質に依存した接合界面の強 度変化などの現象を高感度かつ定量的に評価できます。

[用語説明]
(1) BGA:all rid llayの略。外部接続端子の半田ボールバンプが格子状に配列さ れた形態の半導体パッケージの呼称

以 上




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