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2002年3月12日
株式会社 日立製作所
株式会社 超高温材料研究所
立命館大学
ナノ結晶組織制御により高強度と高靭性を両立したステンレス鋼を開発
―200ナノメートルに結晶粒微細化、強度2倍以上、靭性も向上―

   日立製作所 日立研究所は、株式会社 超高温材料研究所ならびに立命館大学理工学部と共同で、このたび、汎用ステンレス鋼の強度と靭性を両立できる製造技術を開発しました。これにより、これまで高強度かつ高耐食性が要求されていた、タービン部品や、原子力発電・化学プラントにおける配管、締結部品等への適用が期待できます。

   種々のプラントでは、産業廃棄物の削減、資源の有効活用の点から、長寿命かつリサイクル性に富んだ構造材料が切望されています。従来、高強度かつ高耐食性が要求される部材には、資源的に稀な合金元素や戦略物質を含んだ合金を使用しており、価格変動リスクや難リサイクル性といった難点がありました。また、従来の強化法では、高強度化とともに靭性が低下するため、構造材料として用いる場合限界がある等の問題がありました。そこで汎用ステンレス鋼をベースとし、靭性を損ねないとされる結晶粒微細化により高強度化された材料創製を目的として、この「超微細結晶ステンレス鋼」の製造技術を開発しました。

   「超微細結晶ステンレス鋼」は、メカニカルアロイング法で強加工した粉末を固化成形する粉末冶金法を基本プロセスとして製造されます。本プロセスの特徴は、ナノメートルサイズの超微細結晶組織を示す強加工粉末から固化成形体を作製するので、圧延による結晶粒微細化法と比べて、微細な結晶組織のほか、材料形状の自由度が大きく厚肉の部材を得ることができます。しかし、従来の固化成形プロセスでは高温のため微細結晶を維持することができません。そこで、熱間等方圧加圧や熱間押出といった固化プロセスを用いてできるだけ低温で固化成形するとともに、ナノメートルサイズの酸化物や炭窒化物を適度に分散させる技術を開発したことにより、結晶粒の成長の抑制が可能となり超微細結晶組織を得ることに成功しました。
   本開発鋼は汎用ステンレス鋼をベースとし、強度と靭性に優れるだけでなく、耐食性も期待されるため、耐食性が要求される構造部材を用いた製品分野(電力、電機、化学等)において、製品の品質向上、安全性の確保、運用コスト低減、リサイクル等に貢献できると考えられます。

[開発技術の特徴]
(1) 汎用ステンレス鋼をベースとして、靭性を従来材以上に確保しながら引張強さを2倍以上(1100〜1400メガパスカル)に高めた材料を製造する技術です。
(2) 結晶粒径を従来材の300分の1である200ナノメートル(1ナノメートルは1メートルの10億分の1)程度に微細化できる技術です。
(3) 比較的厚肉の2〜20キログラムの鋼塊が製造可能です。

本開発は、経済産業省の研究開発制度に基づき、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)から財団法人次世代金属・複合材料研究開発協会(RIMCOF)と共同で受託した委託業務「スーパーメタルの技術開発」において、ナノ結晶組織制御材料創製技術(微粒子微細分散技術)研究体の中で実施致しました。

[用語説明]
メカニカルアロイング法; アトライタやボールミルを用いて、原料粉末および鋼球を一緒に攪拌することにより、機械的に合金化ならびに高ひずみの付加を行うプロセス
粉末冶金法; 金属粉末を加圧・加熱して金属製品を得る方法。

 

以 上




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