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2001年12月13日

 

 
環境に配慮した薬剤を用いない超音波殺菌技術を開発
−塩素消毒の効かない水中の有害微生物にも有効−

  日立製作所 中央研究所(所長:武田英次)は、このたび、超音波処理によって効率よく水中の微生物を殺菌する超音波殺菌技術を開発しました。本技術は、厚さ数mmの水の膜に超音波を照射し、膜内に生じる小さな気泡の破壊作用によって、微生物を殺菌する新しい殺菌技術です。塩素消毒が困難な有害微生物の殺菌も可能であり、薬剤を使わない環境にも配慮したクリーンな殺菌方法として期待できます。

  近年、塩素消毒が困難な有害微生物による水質汚濁が国内外で問題となっています。当所では、これらの有害微生物を物理的に殺菌する技術として、超音波によるキャビテーション現象を利用した殺菌技術を開発しました。キャビテーション現象とは、水の中に含まれる直径数m程度の小さな気泡(キャビティ)が、強力な超音波の照射によって、負の圧力で膨張し、正の圧力で潰れる現象です。このキャビテーション現象によって、秒速100mともいわれる金属表面に孔をあけるほどの威力を持つマイクロジェット流が生じます。中央研究所が開発した「超音波殺菌セル」は、このマイクロジェット流の作用を効率よく利用するために、処理水を厚さ数mmの膜状にし、その膜領域にスクイーズ膜効果*1によるキャビテーションを生じさせることによって、処理効率の向上を実現する方式です。

  大阪府立大学と大阪市立大学の協力を得て、塩素消毒が困難な原虫類を混入した処理水を、一台の超音波殺菌セルに様々な流量で一度だけ通過させる処理実験を行なった結果、約80〜97%の殺菌率が得られました。超音波殺菌セル一台はポット程度の大きさであり、目標とする殺菌率や処理量に応じて、これを直並列に連結したシステムを構成することが可能です。試算によると、超音波殺菌セルを直列に4段連結し、これを14列並べることによって、原虫類の殺菌率が99%以上、処理量200トン/日以上の処理能力を持ったシステムが構築できる見込みです。

  本技術は、薬剤を必要としないため、河川や湖沼などの水環境の改善や、安全な水の確保に向け、環境にも配慮したクリーンな殺菌技術です。なお、本技術は12月13日から東京ビッグサイトで開催されるエコプロダクツ2001に出展する予定です。

■用語説明
*1 スクイーズ膜効果  
   流体膜で隔たれ、近接して配置された二面が急接近する際に、流体膜内に主として粘性による圧力が発生する現象。一方の面を高速で振動させることにより、流体膜には大きな変動圧力が繰返し生じる。しぼり膜効果ともいう。

以 上




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